16年のプロ野球雑感:
不良債権:
週刊新潮のゴールデンウイーク特大号に面白い記事があった。そこには巨額な不良債権(不良資産?)を抱えたNYヤンキースの補強がままならぬとあり、年俸28億円という働かない投手サバシアを初めとするタシェエラ、エルズベリー、ロドリゲス、ベルトラン等々の20億円以上かそれに近い高額な年俸を複数年契約で取る使えない選手を抱えて、トレードの資金もないからだと解説されていた。
これを見て思い当たったのが、高橋由伸新監督を迎えた我らが巨人軍も似たような状況にあると思ってしまったことだった。それは、この球団にも今年、いや昨年からほとんど貢献していない我が国の水準での高給取りが沢山いたのである。即ち、内海哲也の4億円を筆頭に阿部慎之助の3億2,600万円、マイコラスの2億4,000万円、西村健太郎の1億3,000万円、大竹寛の1億円、昨年の5億円から5,000万円に引き下げられたとはいえ無用の長物と化した杉内俊哉という不良資産があるのだ。
しかも、これに懲りずに今年はロッテにいたクルーズ(Cruz)なる者を2億4,000万円で、NYヤンキースにいたというギャレットを3億円で取っている。そのクルーズは目下登録抹消中で、ギャレットは何と2割3分という体たらく。高年俸とは関係ないが、現在の布陣ではギャレット、片岡、村田、立岡と余所から獲ってきた者が中心で純粋に巨人で育てた者は言わば皆無だ。だが、例外として騒がれる割には伸びない高校から入ってきた坂本が一人いる。しかし、巨人の選手層は他球団に比較すれば圧倒的に厚く、優勝しても決しておかしくはないだろう。
ソフトバンク(SB)の強さ:
昨日の対日本ハム戦は興味深く観戦した。偏見だが、我が国のキー局のテレビ中継はセントラルリーグに偏っているので、この試合の中継などは貴重だった。日本ハムは日本に来てから負けていないSBの投手・バンデンハークから4点を取って有利な展開だったが、当方の閃きではSBが必ず引っ繰り返してバンデンハークに負けをつけないと思っていた。それほどSBが強いという意味だ。果たせるかな8~9回で追いついて、延長に持ち込んで当たり外れが大きいと思う松田がホームランを打って勝ってしまった。今年もSBの強さは揺るがないと思わせるのに十分だった。
ヤクルトの強さ:
昨日で昨年のセントラルリーグの覇者が漸く勝率5割に達した。ここの強さは川端、山田哲人、バレンティン、一寸雑すぎる雄平、目下負傷中の畠山と好打者、強打者を揃えているところにあると思う。だが、昨日は山中が弱者DeNAを挫いて完封したとはいえ、投手陣の駒不足という問題を抱えていると思う。山田哲人は私の好む運動神経発達型の好打者だが、未だ「これぞ」という時にホームランを打つのではなく、駄目押し的な時に打っている気がしてならないし、案外にあっさりと三振する癖がある。要するに確実性を上げて欲しいということ。今年の優勝は巨人の出来次第かな。でも、優勝出来ないと、昨年の勝ちはまぐれだったと言われかねないのでは。
DeNA:
昨日もヤクルトに完敗だった。このテイームは監督に誰を持ってこようと、横浜高校出身者への依存を止めようと何だろうと、今年も余り望みはないと思ってみている。そういう理由はずっと以前から変わらない現象だが、このテイームの野球の質が余りにも低いところにあるのだ。それは筒香だの梶谷だの良く打つ打者がいることはいるのだが、俗に言う「好球必打」が出来ておらず、「そんな球を打ってもヒットになるわけがない」ような投球に手を出すし、試合の流れを考えればどのように対処するかというような「勝負を読む力」が余りにも欠如しているのだ。換言すれば「野球をよく知らない者が多すぎる」とでも言えば良いか。
先頃、テレビに登場した野村克也元大監督が筒香を評して「彼に野球とは何かと尋ねて見ろ。おそらく答えられないだろう。それほど何も考えずに野球をやっているのだ」と手厳しかった。私は当にその通りだと思って聞いた。この欠陥は前監督がかの中畑だったからという程度の問題ではなく、長い間に適切な指導者がいなかったことの報いだと思っている、その代表格の筒香に日本代表チームの4番を打たせようという小久保監督の見識もまた怪しいというしかないのが残念だ。
DeNAの新監督になったラミレスは今年一杯は全て捨てゲームだとでも思って、選手たちに「野球とは何か」を教え直すことから始めた方が良いかも知れない。兎に角、全体的に粗雑すぎる。結局は甲子園ではその名を轟かせた横浜高校の野球は「甲子園で勝つ為のレベルに鍛えてまとめ上げたた」だけだったのかと思わせてくれる。