新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

スズキよ、お前もか!

2016-05-19 08:47:00 | コラム
自動車メーカーは性悪か:

三菱自動車の相川社長が遂にと言うべきか何と言うべきか知らないが、辞意を表明したと報道された。テレビのニュースの画面では所謂「苦悶の表情」だった。私は「子会社が勝手にやったことだった」とか「実態を社長が知らなかった」とか苦渋の言い訳が続いていたこの会社の経営陣の良識を疑っていたし、何れにせよ、あれほどマスコミを含めて各方面からの批判を浴びていれば社長の引責辞任は止むを得ないだろうと見ていた。仮令既に所謂「社会的制裁」を十二分に受けていても。

ところがである、マスコミが故蜷川幸雄氏に延々と弔意を表し終わったかと思ったところに、今度は何とスズキ自動車の鈴木会長自身が登場して燃費の不正表示を詫びたのだった。しかもスズキはその前に自社は過ちは犯していないと言っていたばかりだった。これまでの80有余年の人生で運転免許を取得したこともないほどで、自動車の運転を志したこともない私は燃費とは祖も如何なるものか、何故それほど重要かについては車所有者のような認識などない。しかしながら、自動車メーカーは色々と言い訳をするように、その良否は売れ行きを左右するもののようだくらいは何となく承知していた。

海外のメーカーでは先頃ドイツのフォルクスワーゲンが物議を醸して自動車メーカーという業種に広く疑いを持たせる機運の醸成に貢献したばかりだ。私は「性善説」を信奉する日本国民の一人として、我が国の自動車メーカーを信用していたので、三菱に続いてスズキも平然として需用者を欺いていたとは驚き以外の何物でもなかった。この有様では救済者然として三菱の筆頭株主となった日産や、トヨタやホンダやスバルも疑わねばならないのかと、海外にまで不安のタネをまき散らさないかと不安になってきた。

折角、我が国の技術水準の高さと高い労働力の質を世界に認めさせる原動力であった自動車産業がこの有様では、国全体の信用問題にも関わるのではないかと、悲観論者の私は不安になってきた。トランプさんはアメリカが輸入する日本の自動車に関税をかけて云々ととぼけたことを言っておられるが、アメリカ自身がクレームをつけてアメリカで現地生産させるようになったのをご存じないようだ。だが、現地生産であっても日本車の評判が悪化しては困るだろうなどとまで考えている。

因みに、自動車について疎い私は「燃費」とは英語で”mileage”かなと思って和英辞典を見ると、その他に”fuel efficiency”というのが出てきた。これならば当に燃費だが「三菱もホンダも市場での燃費競争が激しいのだろうが、経営の”efficiency”が悪くなることをしたものだ」などと考えている次第だ。