新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月9日 その2 櫻井よしこさんは語った

2020-07-09 14:13:17 | コラム
カナダのNortel Networksの破綻:

8日夜のPrime Newsに出演された櫻井よしこさんは色々な事柄を取り上げた語られたが、その中で最も刺激的だったのが「この2009年に破綻したとされるカナダの世界的にも著名なIT企業である“Nortel Networks”がどのような経緯で破綻したか」という点だった。中国がこの度香港に適用した「国家安全法」の規定によれば「違反者は外国居住者でも云々」とあるのだから、あそこまでNortel破綻の原因を語られた櫻井よしこさんが今後もしも香港に渡られれば、たちどころに拘束されてしまうのではないかとまで懸念しながら承っていた。

確か桜井さんはブルームバーグだったかの報告書を見ながら語っておられたのだが、その内容を簡単に要約すれば「中国が徹底的にNortelにハッキング攻勢をかけてその持つ技術、例えば5G等々を手に入れ、それを華為等に渡して現在の世界に冠たる5Gや6G等の分野でアメリカを凌駕する先進国にのし上がった」という辺りになるか。テレビに「そこまでいっていいんかい」という番組があるが、私はその番組のタイトルを地でいっているような感で聞いていた。Nortelはその結果で得意先を根こそぎ奪われて破綻したという事だった。

その辺りを検索してみれば、山田敏弘氏のIT mediaに下記のように詳細に報じられていたので、諸賢の参考までに引用してみよう。

>引用開始
10年以上、倒産まで攻撃を続けた中国の手口
 最初に明確にしておきたいのは、中国政府系のサイバー攻撃者やハッカーたちの最大の目的の一つは、知的財産など経済的な情報を盗むことにある。加えて、それらを盗むための足掛かりとなる個人情報をかき集めている場合もある。また、軍部や政府などの機密情報を盗むことも狙っている。要するに、相手を「破壊」するというよりは、経済的・軍事的・政治的なアドバンテージを得るため、産業や軍事などの分野でサイバースパイ行為に力を入れているのである。
 しかもその攻撃は、かなり昔から行われている。ブルームバーグ誌が報じたカナダのケースでは、狙われたのは大手通信機器企業ノーテル・ネットワークスで、1990年代後半から継続してサイバー攻撃が続けられていた。
 ノーテル社からサイバー攻撃によって盗まれたのは、後に4Gや5Gなどにつながっていく米国の通信ネットワーク機器の設計図などの詳細情報や、財務状況、顧客との商談に使うパワポの資料など、貴重な資料の数々だった。ただこうした攻撃は、カナダの諜報機関であるカナダ安全情報局(CSIS)も把握しており、同社にも早くから注意を促していた。
 ただ残念なことに、同社はそれを聞き入れることなく、事の重大さを理解せず、放置した。この「放置」というのは、過去のケースを見ても、大規模なサイバー攻撃被害に見られるありがちなミスである。例えば、2016年の米大統領選では、米民主党全国委員会がロシア政府系ハッカーらの攻撃を受けて、大量の内部情報を盗まれているが、FBI(米中央情報局)はその攻撃を検知して委員会に注意するよう早い段階で連絡を入れていた。だが担当者らはそれを放置し、米大統領選の結果を左右したといわれる歴史的なサイバー攻撃を許してしまった。
 04年ごろになると、中国はノーテル社幹部らのアカウントを乗っ取るところまで深く侵入し、社内情報をそこから上海のコンピュータに送っていた。これは中国のサイバー攻撃の典型的な手法で、APT攻撃(高度で持続的な攻撃)と呼ばれている。とにかく、時間をかけてじっくりと盗んでいくのが特徴だ。しかも根こそぎ情報を盗み出すため、この攻撃は「バキューム・クリーナー・アプローチ(掃除機戦術)」とも呼ばれた。

<引用終わる

私にはこれ以上のことは分かる訳がないが、中国という国の凄さとそのやり口に凄まじさがハッキリと見える気がした。本当にこんな事があったのだろうかというか、出来るものなのかと恐れ入っていただけだった。

アメリカのBrooks Brothersが破綻した

2020-07-09 09:09:57 | コラム
Brooks BrothersがChapter 11の保護を請願:

今朝は珍しく5時過ぎという遅い時刻に起床したところ、テレビのニュースがBrooks Brothers(BB)の経営破綻を報じていた。驚いたというよりも、有名デパートが破綻する時期にあってはBBほどの格式ある人気店でもChapter 11(我が国で言う民事再生法)になるとは、アメリカの景気悪化の中ではこういう言わば高級な洋品店に皺寄せが来るのかと痛感させられた。BBは私の好みのブランドの一つであり、アメリカ出張の度毎にポロシャツやワイシャツやネクタイ等を買い求めていたのだった。

ブランドとしての格というかデザインが垢抜けているかどうかという点は、 Ralph Lauren、即ち“Polo”には一歩譲るだろうとは思う。だが、その少し保守的なデザイン感覚には捨てがたいものがあって愛用していた。但し、スーツだけはアメリカ製には私の身長に合う大きさがなくて、国内で買い求めていた。Chapter 11の保護を求めたという以上はブランドも店舗も残るのだろうとは思うが、最早アメリカに行くこともなければ、お洒落の必要もなくなった人生なので、静かにBBの成り行きを見守るだけになるだろう。

何故、アメリカのブランド品を好んで買っていたのかという疑問をお持ちの方もおられるかと思うので、その理由(ワケ)を順序不同で説明しておこう。先ずは値段である。BBは確かにアメリカでも高級品店の範疇に入るだろうが、そこは為替レートの悪戯で、アメリカで私のような小柄な者にも合うようなサイズの物を買う分には、国内で買うよりも遙かに割安になるのだ。次はデザインだ。Poloと比較すれば明らかに保守的だし斬新ではないが、その分無理なく安心して着ていられるのだ。ネクタイも同様だが、遺憾ながらBBは締め心地が宜しくなかったのは残念だった。

次に重要な点は(仮令アメリカで縫製加工されていなくとも)アメリカのデザインであり、一目見ればその金色の羊(Golden Fleece)のロゴマークも手伝って、アメリカの物と解るのだ。何年前だったか、イタリアに赴任された外交官がその著書に「イタリアで街中の盗難やスリ等の危険を避ける為には、現地に到着するや否やイタリア製の服を買って着用せよ。そうすることで泥棒たちに現地人と思わせれば危険がなくなる」と書いておられたのと同様に、私は考えているのだった。即ち、アメリカにいる限りは、BBでもPoloでも何でも「国産品」の着用を心掛けていたのだった。

その効果があったのかどうかは不詳だが、あれほど長い時間アメリカで方々の街を訪れていても、一度も外国人と思われたことがなかったと思っている。それも何か一言でも英語を話す前でもそうだった。しかしながら残念なこともあった。それは多くの場合に中国系アメリカ人と思われてしまうこと。空港に到着した際にロビーに出た途端に、何度か中国人と思しき者に駆け寄られて中国語で話しかけられたことが数回はあったと思う。もしかすると、アメリカのブランド物を着用に及んでいた効果がなかったのかも知れない。

最後に言わば忠告めいた事を経験から申し上げて置こう。それは「何もアメリカにだけに限ったことではないが、外国に行かれるときには如何にも日本製というか現地のファッション乃至は流行とかけ離れた服装をされないこと」なのだ。私の永年のアメリカ暮らしとヨーロッパにおける経験でも「この方は日本から来られた」と一目で解るのは、その服装に要因がある。現地の人たちの寛いだ服装の中では、その緊張感に溢れた着飾り振りが特に目立ってしまうのだ。しかも、我が国では未だにキャジュアル(「カジュアル」はカタカナ語)な服装を着こなしている方が極めて少ない。

そこには我が国独得のデザインの問題もあるが、外国に行くという事で妙に意識されて堅苦しいよそ行きの服装か、妙に沢山の色を使っている物を選んでおられるので解るのだ。それに「革靴」の愛用者が多いのも特徴だ。観光旅行ではスニーカーで十分なのだ。そんなことを言われても、何処で買って準備すれば良いのかと言われそうだ。それは、一寸足を伸ばせば東京近郊にはアウトレットモールが方々にあるし、BBでもPoloでも一寸した街は販売店がある、デパートだって運が良ければ「セール」に出会うことだってある。でもBBの店舗は残るのだろうか。