新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

America Insight

2018-10-07 10:33:24 | コラム
文化比較論(同じように会社と名乗っていても):

名店街形式だった:
私は以前から「我が国との文化の違いで、アメリカでは全てが個人の能力と主体性が基本にあって社会でも会社でも成り立っている点が、皆で一丸となって進めていこうという我が国の精神との大きなの違いである」と述べてきていた。ここではそういう個人が主体となっている仕組みが、アメリカの会社組織ではどのようになっているかを、あらためて振り返ってみた。そういう意味で America Insight という表題にしたのである。

私はアメリカの会社の在り方は株式会社という大きな組織が存在し、その目には見えない大きな会社が名店街風の建物を各事業部に分割して賃貸に出してあり、そこを借り受けた各事業本部長が即戦力となるマネージャーかまたは部員を集めて各人に又貸し、独立した商店として運営させていると思って見てきたし、実際に私が自分で出した店を思うがままに運営させて貰ってきた。

言うまでもないことで、各マネージャーと部員たちは事業部長と個別に年俸も含めて契約し、それぞれ独自の Job description (職務内容記述書)を与えられているのだから、隣に出ている店の店主とはその仕事の内容が一切重複することなどあり得ないのである。各人はそれぞれ独自の手法で自分の店を切り盛りしていくのであって、横との連絡であるとか相談などはする必要もなければ、すること自体が無意味なのである。

各人は自分に与えられた課題を恙なく消化する方法を常に綿密に計画し、それに従って自分で自分に命令を発して動いているのだから、その進行状況次第では出勤から退勤の時刻までも自分で決めているのである。故に、我が国の会社のように9時までに出勤していなければならないなどという「遅刻」というような束縛はないのだ。昨日にやり残した仕事があれば、朝は6時にでも出勤して片付ければ良いのであるし、その日の予定が早めに終われば午後3時にでも帰宅して翌日に備えて英気を養っておくことだって出来る。

但し、自分の店の利益が予算に到達していなかったり、与えられた課題を完遂していなかったような場合には、先ずは翌年の減俸を覚悟せねばならないし、最悪の場合にはトランプ大統領が好んで使われたと聞く “You are fired.”も覚悟せねばならないのが、アメリカという国の会社における社会通念なのである。何分にも「二進法」でしか物事を考えられない人種の国であるから、その点だけは弁えて踏み込んでいかねばならない考えようによっては危険な世界である。

ここでは仮令どんなに小さくとも言わば一国一城の主の如き権限を与えられて仕事をさせて貰ってきていたのだから、「客観情勢がどうの」とか「為替が我に利あらず」などという言い訳は通用しない世界である。それでは我が国では尊重されている「チームワーク」などは考えられているのかと問われれば、「矢張りそういう思想は希薄である」と答えざるを得ない。我が事業部の副社長兼事業部長は “team effort”という表現を使って「皆で努力して日本市場の#1シェアーホールダーを目指そうと督励していた。



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