Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

共有地ノ悲劇

2011-03-24 20:02:27 | days
学校で心理学を教えているY君という方がいるんです。
大学では失恋についての研究をされています。
僕とは昔、4年くらい一緒にバイトしていた仲間という関係です。

そんな、社会心理学にも通じたY君に、
今回の原発事故に関する買い占めや買いだめについて
質問をしました。

「皆が皆、最悪の事態を考えて、食糧や燃料の買いだめをしたり
っていうことをやったら、社会心理学の立場から考えたら、大多数の利益には
つながらないことになるでしょう?そのへん、説明がききたいです…。 」

と。

また、その前に僕はこんなツイートをしていました。

「政府の言うことだって東電のいうことだって
信じられないっていう気持ちはすごくわかるし、
だから最悪のことを考えて個人的に方策を練って実行しようとする人はいるだろうけど、
社会心理学的にそれが大多数の利益につながるかどうかは疑問じゃないっすかね。」

つまり、大体は、「自分だけなんとかよくなろう」とする心理について言ったんです。

それでY君からはまず、政府の発表が不明瞭だから不安がることになるんだという説明を受けました。
その通りですね。はっきりしないものを信じることは難しい。
神を信じなさい的に政府を信じられないでしょう。
ただ、それへの返信で僕はこう書きました。

「ただ、今回のこの事故に関して、どこまで明瞭にできるのかは難しいと思います。
それ相応の勉強を、民衆はしないと、発表されることについての明瞭さも
わからないかもしれない。」

それだけ瀬戸際にいるんじゃないかということです。
「まったく安心です!」というわけでも、
「すっごい危険なんです!」というわけでもないでしょう。
白黒つかないグレーゾーンみたいなところで落ち着きそうだと、
みんな見ているんじゃないかな。
それで、そんなグレーゾーンの中で、どこからどこまでは大丈夫かということは、
部分的だったり、範囲が決められていたりして、そこのところは勉強しなきゃいけないんじゃないかと
思ったわけです。

話は戻りますが、今回の買いだめについてのY君の指摘は鋭いです。
それは「共有地の悲劇(コモンズの悲劇)」という法則が
今のところあてはまるんじゃないかということです。

Wikiの「共有地の悲劇」をリンクしておきます。

さらに、概要を引用します。

【たとえば、共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。
農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。
自身の所有地であれば、牛が牧草を食べ尽くさないように数を調整するが、
共有地では、自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やしてしまい、
自身の取り分が減ってしまうので、牛を無尽蔵に増やし続ける結果になる。
こうして農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、
結果としてすべての農民が被害を受けることになる。
また、牧草地は荒廃するが、全ての農民が同時に滅びるのではなく、
最後まで生き延びた者が全ての牧草地を独占する。このことから、
不当廉売競争による市場崩壊とその後に独占市場が形成される過程についても、
コモンズの悲劇の法則が成り立つ。】

つまり、限りある資源、商品であるものを、買いすぎることによって、物が無くなる。
結果として、すべての人が被害を受けるのです。
この引用文の最後の方に、最後まで生き延びたものが牧草地を独占するとありますが、
さてさて、この場合は一地方の牧草地だから独占ができて反映できそうにも思うかもしれないです。
しかし、実際の生活を考えれば、少数が生き残ったところで、もとの生活レベルで
生活はできないでしょう。
漁業を出来る人は生き残っているだろうか?
農業をできる人は生き残っているだろうか?
工業をできる技術者が生き残っているだろうか?
大体、建設や製造を行う土台となる技術力は残っているのか?
モノづくりをする人手はあるのか?
答えはかなり悲観的なものになるでしょう。

Y君へのメールでは

「まぁ、「牧草地」とされる地方の外やら国外に逃げる手段がありますけれど。
逃げるか暴動ですけどね、最悪は。
とはいえ、今回は国の備蓄した石油・米だとか、輸入(救援物資含む)だとかで解消される
のではないかなと思うのですが、買占めや買いだめをやって、なんの不利益も罰も
受けないで済んだ記憶を残すっていうのは、ちょっと不公平というか、
未来のためにならないでしょうね。 」

と書きました。


つまりはですね、買いだめをした後の世界のことをイメージしているのかどうかを問いたいです。
国が滅びる、地方が滅びることになるのだから、買いだめをする人は、県外に逃げたり
国外に逃げたりする方が賢明です。そうしないならば、買いだめはしないというのが、
つきつめた考えではないでしょうか。

今回の放射線物質に関して言えば、
何もしなければ全員共倒れっていうイメージもあるのかもしれない。
でも、それだって、そう考えるならば、初めから逃げよという結論に達しそうです。

いま、一番物資が不足しているのは被災地の、それもたぶん、福島の原発から近いところですよね。
みんな、たとえば地方の人はよく、政治家や与党に対して「地方の切り捨てはやめろ!」と本気で
怒って意見したり懇願したりします。
ところがどうです、今の安全圏にいる地方が、被災地の切り捨てととられかねないこと、つまり
買占めをやっているでしょう。

僕の町の生協からは米がなくなったようです。
雑貨スーパーからはティッシュペーパーと電池がなくなったようです。

これらは被災地に送られているのでしょうか?
ちょっと疑問だったりしますね。


今日はこんなところです。

ちょっと極論過ぎた感がありますが、
理屈で説明せねばという思いからこうなっていますので、あしからず。
…、でもちょっと反省しようかな…。

Y君ありがとう。
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