Fish On The Boat

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『2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす』

2011-11-11 19:22:09 | 読書。
読書。
『2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす』 足立直樹
を読んだ。

2010年の2月発行の本です。良書でした。
サブタイトルは「激安・便利・快適の大きすぎる代償」です。

僕たちの生活が、地球環境に大きな大きな負荷を与えていることに
焦点を当てて、生活の仕方、ひいていえば価値観、そのパラダイムシフトが
必要なんじゃないかと、飛躍することもなく、地に足がついた状態で、
その重要性と見えてくる方向性を説いてくれています。
語っていることが、地に足がついて感じられるのは、
きちんと現実や現状に即した著述をしてくれているからだと思います。

たとえば、バイオ燃料や家畜のえさのための大豆畑などがその需要に合わせて
拡がりをみせていく中で、その負荷はどこにかかっているかということ。
実はアマゾンの森林面積を激減させているそうです。
つまり、エコのように思えるバイオ燃料によって、自然環境が破壊されて、
ますます気候変動の規模が膨らんでいくことになっていく。

たとえば、日本全国の自動販売機550万台が1年間に消費する電力量は
原発1基分に相当するという、この無駄さ。

それらは氷山の一角です。

日本でいえば、高度成長期からと思われる消費主義の傾向に
歯止めがかからないことが、環境への負荷を低減させていくことを難しくしています。

この本に書かれていましたが、日本人を表現するこんな言葉が
イギリスの経済紙に載ったそうです。
「untaught people」
現実を知らされていない人々という意味。
僕ら日本人は海外からそう見られているんだなぁと、
ちょっとしたショックとともに、
ハッとする気分にもなります。
なぜ日本人はそうなのかについても、この本の序盤に書かれています。

消費の仕方で民意をあらわしていく世の中のスタイルが提示されてもいます。
安さの裏側に、不当な労働を強いられている現実がないかどうか。
その商品には製造するにあたってどれだけの環境負荷がかかっているか。
その企業は二酸化炭素に代表されるような、オフセット、つまり、環境に負荷を与えた分を
取り戻す活動をしているかどうか。
そういった情報が公正に消費者に提示されて、消費者はそれらの情報を加味して
商品を購入するのです。購入することで、その企業を支持し、
その商品の背景を認めるのです。
そうすれば自然と淘汰が起こって、環境負荷の著しい企業や
労働環境の劣悪さによる低価格を実現した企業などは消えていくと思いませんか。

勉強が大変かもしれんませんが、どうです、今回の原発事故によってみんなちょっとは
放射能について勉強したのではないでしょうか。
身近に危機が迫れば、少々の知識をつけるのは難しくないです。
環境問題に危機を感じないのは、「現実を知らされていないから」かもしれない。
本書を手に取ることによって、いくつかの現実を知ることができますよ。

そんなわけで、めずらしく★★★★★評価の本です。
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