Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

君ハ誰ダ?ナンテ野暮サ

2011-11-29 18:18:32 | days
さきほど、隣町へ行って帰る際に、コンビニに寄ったのです。
車を入り口のほぼ真ん前に停めて、
いざエンジンを切ろうかという手つきでキーに触れながら
ぼんやりとコンビニの入り口を見ていたら、
そこからちょうど、制服姿の女子高生が出てきた。

あ、こっち見てる。

その女子高生は細身でメガネをかけ、首筋までの丸っこい髪型。
スカートは短すぎもせず、長くもなくといった感じ。

僕に心を許したような笑顔を向けてくる。

やーな予感がしました。
いや、嫌な予感と言うか、楽しみな予感ですかね。
これからハプニングが起こるなぁという楽しい予感です。

その子、迷いなく僕の助手席の方向へやってきて、
ゆっくりとドアを開けて顔をのぞかせました。

「やぁ、お待たせ。じゃあ、帰ろうか」

とはさすがに言えず、

「間違ってますよ」

という面白くもなんともない、くそ真面目なセリフを吐き、
その子を返してしまった。

チャンスをつかめるかどうかは紙一重なのです。
僕はチャンスを逃してしまった。

実は彼女は、コンビニから出た瞬間に僕を見とめ、瞬時に、
「これは…」と判断したに違いないのです。
彼女が鍵だとすると、僕はそれに合う鍵穴だということを、
彼女はすぐに理解していたのです。

それで、彼女は、もう前置きもなにも、言葉なんかいらない、
ただ僕の車に乗り込んでしまえばいいのだ、僕もそれを望んでいるし、
お互い間近で顔を合わせてしまえばすぐにすべてわかりあえて、
10年来の知己以上の親密さを持ってコミュニケーションし合えると
踏んでいたでしょう。

僕だって、その用意はまるでできていなくはなかったのです。
乗りこんできた彼女に対して、その意外性も突発性もなにもかも
受け入れて、ただその瞬間をスタート地点として、
まっさらに、さりとて表面上は穏やかではあれど、内面は少々興奮しながら
助手席・運転席間以下にまで彼女との心理的な距離を縮めていける能力と
彼女との相性の良さが僕にはとりあえずあるのがわかるのです。

この場合、僕が車を発進させたところで、
「連れ去る」でも「拉致」でもありません。

突き詰めて言えば、これは運命の出会いだったのですから、
彼女が未成年であるということ、そういうことはまるで
道徳上の問題ではないことになります。

まぁ、「いくらだ?2万か?」
という話ではないのでね。

法律上の問題に関しては、彼女の対応次第でどうとでもなります。
近所のおさななじみの女の子を車で迎えに行ってやって捕まることはないのと一緒です。

せっかくチャンスの順番が僕にも巡ってきたというのに。

せめて、「どうしたの?」くらいで声をかけるべきだった。




というか、ええい、何の後悔だ。

でも、なんていうか、見知らぬ女子高生でありながらも
親しげな馴れた身のこなしで僕の車のドアを開けられたものだから、
一瞬、妹ができたような気がしましたよ。
美形の子ではなかったけれど、
僕の車を見たときのあの嬉しそうな顔は可愛かったですね。
人間誰しも、心を許したときの笑顔っていいもんだなぁっいうね。

僕はピリピリしてたりとげとげしかったりする空気が嫌いだし、
自分からそういう空気をなるたけ作りたくないのですが、
そういう気持ちの根底には、きっと、過去に見たこういう笑顔の記憶が
あるのだと思いました。
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