読書。
『福島第一原発観光地化計画』 東浩紀:編
を読んだ。
震災によって事故をこうむった福島第一原発を、
ダークツーリズムの観念を中心として観光地化してしまおうという、
思想家で小説家でもある東浩紀さんらによる、
プレゼンテーション的性格の本です。
本当に実現できるのだろうか、という問いはまず置いておきながら、
現実味の濃いものも薄いものも一緒くたにとにかく計画し、
そして夢想でもあるような本計画を現実というものへと橋渡しをして、
一応のカタチをともなわせてお披露目したのが本書だと言えそう。
うじうじしていても仕方ない。
きっとそういう思いからはっきりしない復興計画を打破するように、
たぶん荒唐無稽から始まったかもしれなくても、
それを練って荒唐無稽じゃないじゃないかと思わせられるものまで
昇華されている計画です。
この本のとおりに実現できるのかはわからないですが、
僕も福島を観光地化することには賛成で、さらに、
原発周辺地区の一部を再開発してこのような施設、
それは博物館でありモニュメントでありホテルでありショッピングモールであり、
そういったものにするのには、いろいろな批判がありそうですが、
それでも、理にかなっている、と僕は思います。
ボランティア、寄付、NPO、税金、そういった「きれい」なお金や人々だけで、
力強く復興をするのには無理があると思っています。
独立採算できるくらいの強いコンテンツを福島第一原発事故というものから
抽出あるいは融合させて、「どうだ!」というくらいの気持ちで提示していくことは
すごく大事なことのように感じられます。
観光地化するにあたって、そのベースとなる理念については、
駒崎弘樹さんの提言に強く共感を持ちました。
それは、かいつまむと、戦後の平和教育のように
しっかりとその経験や悲劇を共有していこうとする態度です。
それによって、もう二度とこんな悲劇を経験してはならないという
共通認識が生まれるはず。
そして、それには、原発依存から抜けだしたいという
思考や心理が芽生えるのではないだろうか。
そういうのって、「まとも」なのではないかな。
また、ダークツーリズムという言葉は、
東浩紀さんのツイッターや本書ではじめて知りました。
災害や戦争や事故に見舞われた場所を観光する行為だそうで、
日本では昔から、広島や長崎を修学旅行で訪れるなど、
言葉以前に定着している向きがある、というようなことも書かれていました。
欧米では一昔前くらいから言葉と行動が一致して、すなわち、
自分の行為がダークツーリズムだと自認しながら行われているということだそうで、
そのあたり、これから来訪してくる外国人とのコミュニケーションなどにおいても、
ダークツーリズムという言葉を知っておくことは有益だろうということです。
初めてこの言葉を聞くと、「ダーク」なんていうから、邪な感じもするし、
面白がって廃墟を覗いて肝試しをする若い連中と似たように感じられるかもしれませんが、
ちゃんとした公式の言葉だと知ると、そういう懸念も吹き飛ぶだろうし、
言葉自体にも慣れてきます。
プレゼン的性格の本なので、ちょっと読み物として面白い、仕事の資料みたいな感じもします。
しかし、遠くから眺めるように読み始めたとしても、中盤に差しかかるころには、
計画に巻き込まれるような感覚を持つくらい、読ませる力も持っています。
福島の今後だけじゃなくて、きっとこれは日本の今後のことになるので、
本書を読んでおくのは好ましいかもしれないです。
『福島第一原発観光地化計画』 東浩紀:編
を読んだ。
震災によって事故をこうむった福島第一原発を、
ダークツーリズムの観念を中心として観光地化してしまおうという、
思想家で小説家でもある東浩紀さんらによる、
プレゼンテーション的性格の本です。
本当に実現できるのだろうか、という問いはまず置いておきながら、
現実味の濃いものも薄いものも一緒くたにとにかく計画し、
そして夢想でもあるような本計画を現実というものへと橋渡しをして、
一応のカタチをともなわせてお披露目したのが本書だと言えそう。
うじうじしていても仕方ない。
きっとそういう思いからはっきりしない復興計画を打破するように、
たぶん荒唐無稽から始まったかもしれなくても、
それを練って荒唐無稽じゃないじゃないかと思わせられるものまで
昇華されている計画です。
この本のとおりに実現できるのかはわからないですが、
僕も福島を観光地化することには賛成で、さらに、
原発周辺地区の一部を再開発してこのような施設、
それは博物館でありモニュメントでありホテルでありショッピングモールであり、
そういったものにするのには、いろいろな批判がありそうですが、
それでも、理にかなっている、と僕は思います。
ボランティア、寄付、NPO、税金、そういった「きれい」なお金や人々だけで、
力強く復興をするのには無理があると思っています。
独立採算できるくらいの強いコンテンツを福島第一原発事故というものから
抽出あるいは融合させて、「どうだ!」というくらいの気持ちで提示していくことは
すごく大事なことのように感じられます。
観光地化するにあたって、そのベースとなる理念については、
駒崎弘樹さんの提言に強く共感を持ちました。
それは、かいつまむと、戦後の平和教育のように
しっかりとその経験や悲劇を共有していこうとする態度です。
それによって、もう二度とこんな悲劇を経験してはならないという
共通認識が生まれるはず。
そして、それには、原発依存から抜けだしたいという
思考や心理が芽生えるのではないだろうか。
そういうのって、「まとも」なのではないかな。
また、ダークツーリズムという言葉は、
東浩紀さんのツイッターや本書ではじめて知りました。
災害や戦争や事故に見舞われた場所を観光する行為だそうで、
日本では昔から、広島や長崎を修学旅行で訪れるなど、
言葉以前に定着している向きがある、というようなことも書かれていました。
欧米では一昔前くらいから言葉と行動が一致して、すなわち、
自分の行為がダークツーリズムだと自認しながら行われているということだそうで、
そのあたり、これから来訪してくる外国人とのコミュニケーションなどにおいても、
ダークツーリズムという言葉を知っておくことは有益だろうということです。
初めてこの言葉を聞くと、「ダーク」なんていうから、邪な感じもするし、
面白がって廃墟を覗いて肝試しをする若い連中と似たように感じられるかもしれませんが、
ちゃんとした公式の言葉だと知ると、そういう懸念も吹き飛ぶだろうし、
言葉自体にも慣れてきます。
プレゼン的性格の本なので、ちょっと読み物として面白い、仕事の資料みたいな感じもします。
しかし、遠くから眺めるように読み始めたとしても、中盤に差しかかるころには、
計画に巻き込まれるような感覚を持つくらい、読ませる力も持っています。
福島の今後だけじゃなくて、きっとこれは日本の今後のことになるので、
本書を読んでおくのは好ましいかもしれないです。
この本のとおりに実現できるのかはわからないですが、僕も福島を観光地化することには賛成で、さらに、原発周辺地区の一部を再開発してこのような施設、それは博物館でありモニュメントでありホテルでありショッピングモールであり、そういったものにするのには、いろいろな批判がありそうですが、それでも、理にかなっている、と僕は思います。ボランティア、寄付、NPO、税金、そういった「きれい」なお金や人々だけで、力強く復興をするのには無理があると思っています。独立採算できるくらいの強いコンテンツを福島第一原発事故というものから抽出あるいは融合させて、「どうだ!」というくらいの気持ちで提示していくことはすごく大事なことのように感じられます。