読書。
『銃・病原菌・鉄 (上・下)』 ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰 訳
を読んだ。
なぜ、世界は不均衡なのか。
ヨーロッパやアメリカの白人、日本人などのように、富める国を築き上げ、
豊かに暮す民族がいる一方で、
オーストラリアのアボリジニやニューギニアの人びとのように、
古来からの狩猟採集生活から発展していなかったり、
ごく初歩的な農業を営むくらいで、社会が大きく進化しない民族がいるのか。
そのことについて人類1万3000年の歴史を振り返り、
答えを探る本です。
人によっては、
その不均衡は、民族が優秀か否かによる違いだといいます。
白人が優秀で知能が高く、アボロジニは動物に近い下等種である、
というのです。
しかし、著者のダイアモンド博士は、それは違うのだ、と、
見事に論証を展開していきます。
簡単にいうと、その原因は「環境」によるのです。
栽培可能な種類の植物が身近に植生していて、
さらに家畜化可能な動物が周りに生息していた。
それらの利を生かして、狩猟採集社会から、
定住型の農耕牧畜社会へと移行していくと、
食糧生産ができるようになり、
食糧が備蓄できるようになる。
すると、その余計に蓄えた食糧で養える階層の人びとが出てきます。
貧富の差も出てくるし、
食糧生産に従事しない、たとえば兵士や何かの専門家などの職種の人びとが生まれる。
また、文字が生まれたりもするし、
あらたな技術が生まれたりもする。
そうやって社会ができあがり、発展していくわけでした。
その途上で、家畜から伝染病がもたらされ、
人々には免疫ができていく。
アメリカ新大陸が発見されて、
インカやアステカ、ネイティブアメリカンに人たちがヨーロッパ人に駆逐されたのは、
なにも軍馬や兵器の違いによるものだけじゃなくて、
その大きな原因となるものは、ヨーロッパの人たちがもちこんだ、
病原菌にあるということでした。
その病原菌によって、豚や鳥をしらず、ゆえに豚や鳥由来の伝染病に免疫のなかった
新世界の人びとはばったばったと倒れていって、征服されたのでした。
また、アメリカ新大陸がヨーロッパを植民地にしたり、
中国がヨーロッパを従えたりすることがなかった理由も述べられています。
技術や農業などの伝播は、緯度の差が無かったり同じだったりする地域ならば、
速く伝わっていくそうですが、経度の差が無くて緯度に差がある、
アフリカ大陸やアメリカ大陸だとなかなか伝わっていかないことも証明しています。
上巻は、主に農耕や牧畜の起こり方をつぶさに見ていく部分に力のある読みもので、
下巻は、文字や技術の始まりから始まって、オーストラリアやアメリカ大陸や中国など、
ヨーロッパのような歴史のはっきりした地域を除く地域に、
どう人が移り住み、生活をしていったかを説明しています。
上下巻併せて800ページありますけれども、
中身が濃く、論理の展開が見事でおもしろいです。
朝日新聞が選んだ、「ゼロ年代の50冊」で1位に輝いた本でもありますし、
ピュリッツァー賞を獲得した本でもあります。
大著ですので、機会があれば手にとってみてください。
いろいろと史学的な謎が解けると思います。
『銃・病原菌・鉄 (上・下)』 ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰 訳
を読んだ。
なぜ、世界は不均衡なのか。
ヨーロッパやアメリカの白人、日本人などのように、富める国を築き上げ、
豊かに暮す民族がいる一方で、
オーストラリアのアボリジニやニューギニアの人びとのように、
古来からの狩猟採集生活から発展していなかったり、
ごく初歩的な農業を営むくらいで、社会が大きく進化しない民族がいるのか。
そのことについて人類1万3000年の歴史を振り返り、
答えを探る本です。
人によっては、
その不均衡は、民族が優秀か否かによる違いだといいます。
白人が優秀で知能が高く、アボロジニは動物に近い下等種である、
というのです。
しかし、著者のダイアモンド博士は、それは違うのだ、と、
見事に論証を展開していきます。
簡単にいうと、その原因は「環境」によるのです。
栽培可能な種類の植物が身近に植生していて、
さらに家畜化可能な動物が周りに生息していた。
それらの利を生かして、狩猟採集社会から、
定住型の農耕牧畜社会へと移行していくと、
食糧生産ができるようになり、
食糧が備蓄できるようになる。
すると、その余計に蓄えた食糧で養える階層の人びとが出てきます。
貧富の差も出てくるし、
食糧生産に従事しない、たとえば兵士や何かの専門家などの職種の人びとが生まれる。
また、文字が生まれたりもするし、
あらたな技術が生まれたりもする。
そうやって社会ができあがり、発展していくわけでした。
その途上で、家畜から伝染病がもたらされ、
人々には免疫ができていく。
アメリカ新大陸が発見されて、
インカやアステカ、ネイティブアメリカンに人たちがヨーロッパ人に駆逐されたのは、
なにも軍馬や兵器の違いによるものだけじゃなくて、
その大きな原因となるものは、ヨーロッパの人たちがもちこんだ、
病原菌にあるということでした。
その病原菌によって、豚や鳥をしらず、ゆえに豚や鳥由来の伝染病に免疫のなかった
新世界の人びとはばったばったと倒れていって、征服されたのでした。
また、アメリカ新大陸がヨーロッパを植民地にしたり、
中国がヨーロッパを従えたりすることがなかった理由も述べられています。
技術や農業などの伝播は、緯度の差が無かったり同じだったりする地域ならば、
速く伝わっていくそうですが、経度の差が無くて緯度に差がある、
アフリカ大陸やアメリカ大陸だとなかなか伝わっていかないことも証明しています。
上巻は、主に農耕や牧畜の起こり方をつぶさに見ていく部分に力のある読みもので、
下巻は、文字や技術の始まりから始まって、オーストラリアやアメリカ大陸や中国など、
ヨーロッパのような歴史のはっきりした地域を除く地域に、
どう人が移り住み、生活をしていったかを説明しています。
上下巻併せて800ページありますけれども、
中身が濃く、論理の展開が見事でおもしろいです。
朝日新聞が選んだ、「ゼロ年代の50冊」で1位に輝いた本でもありますし、
ピュリッツァー賞を獲得した本でもあります。
大著ですので、機会があれば手にとってみてください。
いろいろと史学的な謎が解けると思います。