Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

現実世界での小説というポジション

2019-01-24 21:16:00 | 考えの切れ端
今回は、小説っていったいなんなんだろう?
というありふれた疑問について、
僕なりに考えた、そのヒントになるような考えを述べます。

で、いきなりぴょんと飛んで、数学の話になるんですが、
みなさんは虚数って覚えていますか?(まだ習っていない方もいらっしゃるかも)

虚数は、想像上の数で実際の数ではないとされます。
でも、数学で役に立つ概念。
Wikiによれば、
「2乗した値がゼロを超えない実数になる複素数」
となっている。
なんのことかよくわからない人はけっこういそうです。
要は、実際には存在しない数であり、
想像の中だけの数なんだそうです、そのままとらえれば。

そんなわけで、虚数は、発見されてからしばらく、
こんなものは必要ない、使えない、なんて考えられていた。
しかし、「虚数が存在する」と仮定して考えると便利だったり、
虚数を用いることでやっと簡単に理解することができたりするものに気付くようになった。

僕は数学が不勉強のためくわしくはわかりませんが、
ちょっと調べると以上のようなことがわかります。
もっと知りたい方は検索してみてください。

それで、虚数とまるで同様なものが小説世界にもあるなあと思い当たる。
小説世界に、
いわゆるスピリチュアル的な要素や
ファンタジックな要素で物語を構築する種類のものがあるのは、
それらがまったく現実的ではないけれども、
それでしか人が癒されないものがあるからです。
力量のある作家は虚数的にそういった要素を上手に使って物語を編む。
夢の世界で繋がるだとか、テレパシックな要素だとか、
いろいろあります。

さらにいえば、
小説という種類の存在自体が、
現実世界に対して虚数的な存在と言えなくもないかもしれないですね。

小説は想像上のもので実際のものごとではないけれども、
小説を読むことで、現実世界の難しいところを
比較的簡単に理解したり見通せたりする場合はありそうです。
そして、さっきも書いたように、小説でしか癒せない問題もあるでしょう。

現実というか、社会というか、僕らを取り巻く環境や運命って複雑で、
理解を超えている場合がたくさんありますよね。
そういうものに翻弄されても、
小説という「架空のもの」・「虚構のもの」を用いることによって、
腑に落ちるものへと昇華してくれたり、
説明をつけてくれたりします。

だから、僕なんかはこう思いました。
「もっとみんなで小説を読んでいこうよ!」と。
小説なしで生きていくには世の中はフクザツに過ぎませんか。

虚数に思い当たったことで、
そんな考えの切れ端が生まれたのでした。
街に出ることも大事ですが、
まったく虚構に触れないことって、
人生にとっては危なげだしとてもアンバランスなのでは、
ということでした。
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