読書。
『無関係な死・時の崖』 安部公房
を読んだ。
代表作『砂の女』を書いていた時期に並行して書かれたいくつかの短篇作品を収録したものです。『砂の女』を思わせる、黴臭いくらいの和のテイストを感じる作品もありますし、初期の作品から続くテイストであろう想像力がぶっとんでいるおもしろい作品もあります。『なわ』なんていう残酷なものもあり、読み手をひとつところに停滞させず、そればかりか揺さぶってくる短篇集になっていると思いました。
とくに「人魚伝」という作品に夢中になれました。沈没船の探索中にであった緑色した人魚に恋する話ですが、一筋縄では終わらない。この作品もそうなのですけれども、既視感を覚えることなく、「いままさに知らない物語のなかにいる!」ということのわくわく感がとてもよいです。自分の知らないものや、自分にとって新しいものに触れている喜びがあります。そして、ぶっとんでいながらも、読むのに耐えうる弾性を備えている作品群でした。
どうやら安部公房の作品は、僕の性分にあうものが多そうです。じめじめしたような和のテイストの強いものはあまり好きではなく、できればドライなもののほうが楽しめるのほうなのですが、でも安部公房の作品に触れているうちに、苦手なぶぶんにも慣れてくるような感じがありました。もっと慣れてくると、たぶんなにか発見があるのではないだろうか。
まだまだ彼の作品を読みたくなりました。
『無関係な死・時の崖』 安部公房
を読んだ。
代表作『砂の女』を書いていた時期に並行して書かれたいくつかの短篇作品を収録したものです。『砂の女』を思わせる、黴臭いくらいの和のテイストを感じる作品もありますし、初期の作品から続くテイストであろう想像力がぶっとんでいるおもしろい作品もあります。『なわ』なんていう残酷なものもあり、読み手をひとつところに停滞させず、そればかりか揺さぶってくる短篇集になっていると思いました。
とくに「人魚伝」という作品に夢中になれました。沈没船の探索中にであった緑色した人魚に恋する話ですが、一筋縄では終わらない。この作品もそうなのですけれども、既視感を覚えることなく、「いままさに知らない物語のなかにいる!」ということのわくわく感がとてもよいです。自分の知らないものや、自分にとって新しいものに触れている喜びがあります。そして、ぶっとんでいながらも、読むのに耐えうる弾性を備えている作品群でした。
どうやら安部公房の作品は、僕の性分にあうものが多そうです。じめじめしたような和のテイストの強いものはあまり好きではなく、できればドライなもののほうが楽しめるのほうなのですが、でも安部公房の作品に触れているうちに、苦手なぶぶんにも慣れてくるような感じがありました。もっと慣れてくると、たぶんなにか発見があるのではないだろうか。
まだまだ彼の作品を読みたくなりました。