読書。
『夢の中で会えるでしょう』 高野寛
を読んだ。
1995年の4月から一年間、NHK教育テレビで放送された『土曜ソリトンSIDE-B』。その20周年を記念したイベント(全6回)をテキスト化したものです。番組の司会を担当したミュージシャンの高野寛さんをホスト役に、最初のゲストはおなじく司会を担当されていた緒川たまきさん。ページを繰ると、毎週土曜日23時が楽しみだったあの頃が甦ってきます。
ゲストは、先ほど書いた緒川たまきさんを皮切りに、スチャダラパーのBoseさん、お菓子研究家のいがらしろみさん、ラーメンズの片桐仁さん、ミュージシャンの高橋幸宏さん、同じくミュージシャンのコトリンゴさん、そして巻末には特別対談として俳優ののんさんがお招きされていました。
ここからは個人的に面白かったところから数か所を抜き書きしていきます。
まずはスチャダラパーBoseさんとの対談部分。
__________
Bose:結局、生き方と音楽とアートは繋がっている。だから、音楽だけ、アートだけを勉強することは、全く意味がない。
高野:時代の空気を感じながらものを作らないと、薄っぺらいものしかできないから。(p51)
__________
(大きく括っての)クリエイターだってちゃんと毎日を生きていないと、というか、時代にコミットして生きていないと、おもしろいものは作れないんじゃないかな、ということですよねえ。こういうのって、没頭していると忘れがちになります。
次は、YMOやサディスティックミカバンドなどで活躍された、高野さんの師匠・高橋幸宏さんとの対談部分。
__________
高野:(高野さんがオーディション合格後すぐに参加した1987年の)あのツアーはいろんな瞬間を見ました。幸宏さん、大阪のライブの打ち上げ後に、川に飛び込もうとしていましたよね。
髙橋:打ち上げが終わった後に、なぜか僕がワインを持ったまま道頓堀に飛び込もうとしたみたい。ツアーエンジニアの飯尾芳史くんが「今ここで飛び込んだらタイガースファンだと思われますよ」と言って止めてくれたの。「あ、そうか。阪神ファンだと思われるのは嫌だなって」とやめたんだよ。僕、ジャイアンツファンなんでね。
高野:あれは見事な止め方でした(笑)。ミュージシャンってなんてロックなんだろうと思いました。幸宏さんの歴代のツアーの中でもかなり破天荒な旅だったんじゃないですか。 (p107)
__________
今年亡くなられた高橋幸宏さんとの対談箇所です。穏やかな紳士という印象の方でしたけど、こういうやんちゃな部分はあるだろうなあと僕はずっと思っていたので、なんだかすっきりしました。まあそれに、卓越した才能のあるミュージシャンがなさった若い時期の振る舞いですし、こういうのはふつうにあるでしょうね。
最後に紹介するのは、坂本龍一さんのラジオ番組にデモ曲を応募したことがきっかけでデビューされたコトリンゴさんとの対談部分。
__________
高野:元々、あまり怒らないというのはないですか。
コト:いや、割とせっかちです。
高野:話すスピードとは違うんだね。
コト:ライブの三十分前から「もう出ていいですか」と訊いたりします。自分の喉の準備ができていると、今すぐ出たくなってしまうんです。
高野:わからなくもないですが(笑)。 (p128-129)
__________
本人の喉の準備ができてしまったから予定の三十分前から始めるライブっていうのも、もしも実際にやってしまったらそれはそれでシュール。
というところです。本書が発行されたのが2018年ですが、著者の高野寛さんは来年還暦を迎えられることを知り、時の流れの速さにほんとうに驚いています。ここまで時間の流れの容赦ないスピードを感じたのは初めてなくらいです。ということは、僕もけっこう長く生きてきたということですね。体感としては、なんだか「一瞬」みたいなものなんですが。
『夢の中で会えるでしょう』 高野寛
を読んだ。
1995年の4月から一年間、NHK教育テレビで放送された『土曜ソリトンSIDE-B』。その20周年を記念したイベント(全6回)をテキスト化したものです。番組の司会を担当したミュージシャンの高野寛さんをホスト役に、最初のゲストはおなじく司会を担当されていた緒川たまきさん。ページを繰ると、毎週土曜日23時が楽しみだったあの頃が甦ってきます。
ゲストは、先ほど書いた緒川たまきさんを皮切りに、スチャダラパーのBoseさん、お菓子研究家のいがらしろみさん、ラーメンズの片桐仁さん、ミュージシャンの高橋幸宏さん、同じくミュージシャンのコトリンゴさん、そして巻末には特別対談として俳優ののんさんがお招きされていました。
ここからは個人的に面白かったところから数か所を抜き書きしていきます。
まずはスチャダラパーBoseさんとの対談部分。
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Bose:結局、生き方と音楽とアートは繋がっている。だから、音楽だけ、アートだけを勉強することは、全く意味がない。
高野:時代の空気を感じながらものを作らないと、薄っぺらいものしかできないから。(p51)
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(大きく括っての)クリエイターだってちゃんと毎日を生きていないと、というか、時代にコミットして生きていないと、おもしろいものは作れないんじゃないかな、ということですよねえ。こういうのって、没頭していると忘れがちになります。
次は、YMOやサディスティックミカバンドなどで活躍された、高野さんの師匠・高橋幸宏さんとの対談部分。
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高野:(高野さんがオーディション合格後すぐに参加した1987年の)あのツアーはいろんな瞬間を見ました。幸宏さん、大阪のライブの打ち上げ後に、川に飛び込もうとしていましたよね。
髙橋:打ち上げが終わった後に、なぜか僕がワインを持ったまま道頓堀に飛び込もうとしたみたい。ツアーエンジニアの飯尾芳史くんが「今ここで飛び込んだらタイガースファンだと思われますよ」と言って止めてくれたの。「あ、そうか。阪神ファンだと思われるのは嫌だなって」とやめたんだよ。僕、ジャイアンツファンなんでね。
高野:あれは見事な止め方でした(笑)。ミュージシャンってなんてロックなんだろうと思いました。幸宏さんの歴代のツアーの中でもかなり破天荒な旅だったんじゃないですか。 (p107)
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今年亡くなられた高橋幸宏さんとの対談箇所です。穏やかな紳士という印象の方でしたけど、こういうやんちゃな部分はあるだろうなあと僕はずっと思っていたので、なんだかすっきりしました。まあそれに、卓越した才能のあるミュージシャンがなさった若い時期の振る舞いですし、こういうのはふつうにあるでしょうね。
最後に紹介するのは、坂本龍一さんのラジオ番組にデモ曲を応募したことがきっかけでデビューされたコトリンゴさんとの対談部分。
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高野:元々、あまり怒らないというのはないですか。
コト:いや、割とせっかちです。
高野:話すスピードとは違うんだね。
コト:ライブの三十分前から「もう出ていいですか」と訊いたりします。自分の喉の準備ができていると、今すぐ出たくなってしまうんです。
高野:わからなくもないですが(笑)。 (p128-129)
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本人の喉の準備ができてしまったから予定の三十分前から始めるライブっていうのも、もしも実際にやってしまったらそれはそれでシュール。
というところです。本書が発行されたのが2018年ですが、著者の高野寛さんは来年還暦を迎えられることを知り、時の流れの速さにほんとうに驚いています。ここまで時間の流れの容赦ないスピードを感じたのは初めてなくらいです。ということは、僕もけっこう長く生きてきたということですね。体感としては、なんだか「一瞬」みたいなものなんですが。