Fish On The Boat

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『話す力』

2024-02-21 19:50:13 | 読書。
読書。
『話す力』 イノベーションクラブ
を読んだ。

ビジネス面でのコミュニケーションに役立つ能力のひとつ、「話す力」の基本スキルをシンプルに教えてくれる本です。「1対1でも何を話していいかわからない」「話せるけどわかりにくい」といった初心者の方から、「相手の反応に合わせて話し方を変えられる」中級者を経て、そして「相手を共感・納得させられる」上級者にとってのおさらいまで、ほぼオールレンジの指南書でした。文字はかなり少なく、すいすい読めていってしまう快感もあいまって、楽しく学べると思います(ただ、話しが得意ではない理由が、緊張やあがり症であった場合は、本書の範囲ではなく、また別の処方箋を頼る必要があります)。

本書では、話す力の大筋に沿って、「シンプルしかけ」という簡単に行えるスキルもいくつか収録されています。これがなかなかおもしろかったので、少しだけご紹介します。

まずは、「イー10秒」という技。口角を横に広げて「イー!」と10秒続ける、これを何度か繰り返すと、商談でいい笑顔を使えますよ、というスキルです。よくしゃべったり笑ったりしていないと、顔の筋肉ってうまく動かなくなりますから、こういうストレッチ的な動作で、表情筋がほぐれるのでしょう。

つぎに、「うなっぴー」を探せ、というスキルを。相手の反応を見ながら話をすることは、話すスキルのなかでもまあまあレベルの高いところにあたるそうです。ただ、3,4人以上だとかの複数人を相手にして話すときには、聞き手の態度はそれぞれなので反応を読み取るにしてもばらばらな情報が入ってきて、話の仕方に困ったりしてしまう。そういうときは「うなっぴー」を探しましょう、とありました。たとえば5人を相手に話すとき、5人を順々に見ながら話をしていく。そのなかで、こちらの話に頷いたりしっかり聞いてくれているのがわかるような人がいると、その人を的にして話すとよいそう。

「うなっぴー」を探すには3つの利点があります。1つは、うなっぴーを探すことで全員を見渡せる。2つ目に、うなっぴーが見つかったときに自分の話を聞いてくれている人がいるとわかり安心が得られる。3つ目に、うなっぴーに的を絞り語りかけるように話すことで、より説得力のある話ができるのでした。

複数人の聞き手の中から頷いたり納得している風に話を聞いてくれる人を見つけたら、その人メインに話す方向へとシフトすることで、話すリズムが取れるともあります。これは「みんなに公平に」という気持ちでいると逆に要領を得ない話しぶりになるので、こういうふうに気をつけようというスキルですね(余談ですが、僕はこのうなっぴーにあたるらしく、講演や講習、講義でよく先生や講師と見つめ合っているタイプです。壇上に立つ人たちはこういう技術を知っているものなんですね。無意識的なものもあったかもしれませんけども。)

最後にもうひとつ。相手がこちらの話を聞いて「納得」してもらうことって、話をする目的の大事なひとつですが、相手が「納得」するためには、その話をする「理由」がはっきりわからないといけない。そのうえで、その効果やメリットがイメージできて、「その結果どうなるのか」もわかることが必要だとありました。そのための口ぐせとして「具体的に言うと~」を身に付け、そこから話を繋げていくことも、「シンプルしかけ」のひとつでした。

そのほか「シンプルしかけ」以外でのトピックを。お釈迦様の言った「人を見て法を説く」は「相手に合わせて話し方を変える」ことですが、上級テクニックまでになるとそういった工夫が必要だと書かれています。また、最上級テクニックは「沈黙を使う」ですが、これは話す力に自信があって場数を踏んでいて余裕がないとなかなか使えないかもしれないです。

トピックとしておもしろかったのは、ボディラングエッジのところで紹介されている「ケネディ・チョップ」です。頭上から手刀を振り下ろすジェスチャーで話をするケネディ大統領のVTRを見たことがある人はいらっしゃると思いますが、あの動作を「ケネディ・チョップ」と呼ぶそうです。ケネディ大統領はこのジェスチャーで、自分の強い思いを聴き手に伝えていた、とあります。たしかに、あのジェスチャーには断固とした強さが感じられます。

と、だいぶ偏った感想になりました。「です、ます」で短く区切る話し方のよさも書かれていましたが、これって文章を書くときでもそうだったりしますよね。あらためて噛みしめておこうと思います。


Comments (2)
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