読書。
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』 村上春樹
を読んだ。
1997年から2009年までの12年間に行われた、
小説家・村上春樹さんへのインタビュー集です。
僕はまだ未読なのですが、『1Q84』が書き終えられて、
まだ刊行されていない時期が2009年だということです。
ご自身の著作の話、創作の技法や心構えなどから、
著者自身はちょっと本意ではないようなのですが、
著作の内容に関する質問への答えなども収録されています。
また、数多くの翻訳の中から、
とくにレイモンド・カーヴァーに関する内容のものが
一つの章を割いてありますし、
そのほかにも言及があります。
村上春樹さんは、
非リアリズムの作家でありますが、
『ノルウェイの森』では唯一リアリズムの手法を試して成功させ、
その技法に自信を持ち、たぶんに、その経験をも、
その後の非リアリズムの作品に活かしているのではないだろうかと思います。
彼が翻訳を手掛け、敬愛もしているレイモンド・カーヴァーは
リアリズムの作家だとされているし、
古い小説家のフィッツジェラルドもその手に分類される作家のようですし、
村上さんと同じように分類されるマジックリアリズムの作家には
あまり興味を持っていないようなんです。
自分にないもの、自分と違うタイプのものを好む傾向は、
きっとそこから学べるものが大きいからなのかもしれないですね。
「井戸」だとか「地下室」だとかという比喩を用いながら、
彼の作りだす不思議な物語、世界、キャラクター、
ストーリーの流れなどを説明しています。
そして、その説明の言葉そのものがもはや読み物と化していて、
読み手はぐぅっと惹きつけられながら、
まるで村上春樹という小説家を主人公とした物語の断片を
読んでいるような気にすらさせられました。
村上春樹さんは、よく書きなおす作家だということ。
長編は一日10枚のペースで毎日休みなく書きつづけるということ。
短編は一筆書きのように書きあげるということ。
などなど、いろいろと、物語創作の実際面を知りたいひとにも
刺激的な内容になっていました。
たいていにおいて(というか、ぼくがそういうタイプなのですが)、
物を書くひというのは孤独の中に身を置いて、
その孤独に居心地の好さすら感じ、
その技術面やスタンスについては独学で、
他の書き手とそのあたりの情報交換などはあまりしないのではないでしょうか。
いやいや、なかには文壇の付き合いでいろいろと
参考情報を与えたり得たりしている人もいるでしょうし、
作家友だち、作家飲み仲間、などと仲良くしているひとも
多くいるようです(たとえば、直木賞作家の西加奈子さんは
作家友だちと飲み会をするだとかいいますし)。
まあ、いろいろということですが、
一匹狼的な(狼というより猫のほうが
村上春樹さんのことを言い当てているとは思いますが)生き方やあり方、
そしてそれは、作家であるということと不可分なひとりの人間の
呼吸というものが感じられるし、
もちろん、蓄積された経験も感じられるし、
頭の部分で喋っていること以外の部分もわかるようでもあります。
そういうことも含めて、本書は村上春樹さん自身に近づく、
彼のミステリアスな部分の回答集(Not 解答集)でありましょう。
ぼくは彼の作品の9割以上を読んでいるようなひとですが、
本書は時間を忘れて夢中になって読める本でした。
ハルキストじゃなくても、
彼の作品に共鳴した経験があるひとで、
クリエイティブさに興味のあるひとであれば、
とても楽しめる本になっているでしょう。
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』 村上春樹
を読んだ。
1997年から2009年までの12年間に行われた、
小説家・村上春樹さんへのインタビュー集です。
僕はまだ未読なのですが、『1Q84』が書き終えられて、
まだ刊行されていない時期が2009年だということです。
ご自身の著作の話、創作の技法や心構えなどから、
著者自身はちょっと本意ではないようなのですが、
著作の内容に関する質問への答えなども収録されています。
また、数多くの翻訳の中から、
とくにレイモンド・カーヴァーに関する内容のものが
一つの章を割いてありますし、
そのほかにも言及があります。
村上春樹さんは、
非リアリズムの作家でありますが、
『ノルウェイの森』では唯一リアリズムの手法を試して成功させ、
その技法に自信を持ち、たぶんに、その経験をも、
その後の非リアリズムの作品に活かしているのではないだろうかと思います。
彼が翻訳を手掛け、敬愛もしているレイモンド・カーヴァーは
リアリズムの作家だとされているし、
古い小説家のフィッツジェラルドもその手に分類される作家のようですし、
村上さんと同じように分類されるマジックリアリズムの作家には
あまり興味を持っていないようなんです。
自分にないもの、自分と違うタイプのものを好む傾向は、
きっとそこから学べるものが大きいからなのかもしれないですね。
「井戸」だとか「地下室」だとかという比喩を用いながら、
彼の作りだす不思議な物語、世界、キャラクター、
ストーリーの流れなどを説明しています。
そして、その説明の言葉そのものがもはや読み物と化していて、
読み手はぐぅっと惹きつけられながら、
まるで村上春樹という小説家を主人公とした物語の断片を
読んでいるような気にすらさせられました。
村上春樹さんは、よく書きなおす作家だということ。
長編は一日10枚のペースで毎日休みなく書きつづけるということ。
短編は一筆書きのように書きあげるということ。
などなど、いろいろと、物語創作の実際面を知りたいひとにも
刺激的な内容になっていました。
たいていにおいて(というか、ぼくがそういうタイプなのですが)、
物を書くひというのは孤独の中に身を置いて、
その孤独に居心地の好さすら感じ、
その技術面やスタンスについては独学で、
他の書き手とそのあたりの情報交換などはあまりしないのではないでしょうか。
いやいや、なかには文壇の付き合いでいろいろと
参考情報を与えたり得たりしている人もいるでしょうし、
作家友だち、作家飲み仲間、などと仲良くしているひとも
多くいるようです(たとえば、直木賞作家の西加奈子さんは
作家友だちと飲み会をするだとかいいますし)。
まあ、いろいろということですが、
一匹狼的な(狼というより猫のほうが
村上春樹さんのことを言い当てているとは思いますが)生き方やあり方、
そしてそれは、作家であるということと不可分なひとりの人間の
呼吸というものが感じられるし、
もちろん、蓄積された経験も感じられるし、
頭の部分で喋っていること以外の部分もわかるようでもあります。
そういうことも含めて、本書は村上春樹さん自身に近づく、
彼のミステリアスな部分の回答集(Not 解答集)でありましょう。
ぼくは彼の作品の9割以上を読んでいるようなひとですが、
本書は時間を忘れて夢中になって読める本でした。
ハルキストじゃなくても、
彼の作品に共鳴した経験があるひとで、
クリエイティブさに興味のあるひとであれば、
とても楽しめる本になっているでしょう。
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