読書。
『自衛隊入門』 宮本猛夫
を読んだ。
自衛隊発足の流れから始まり、どういった組織体系になっているのか、その実力はどれほどのものか、どういった任務をこなしているのか、自衛官はどういった日々を過ごしているのか、自衛官の私生活はどういったものなのか、などを各章にわけながら、シンプルな文章でわかりやすく教えてくれる本です。
2015年の本ですから現在はどうかわからないですが、サイバー部隊の人員の少なさが気になりました。この部隊は約90人の体制で発足しているんです。アメリカや中国は数万人規模なんだそう。人員確保や防衛費の問題もありますけれども、これはおそらく規模は拡大されてるんじゃないかなと思います。
各国の兵力との比較も、こんなに違うんだなあ、と思いました。自衛隊の人数24万人にたいして、北朝鮮は119万人。韓国66万人と出ていました。アメリカや中国の兵力も100万人規模でしたし、この両大国は艦船や航空機の数自体が自衛隊とはケタが違いました。また、たとえば島などが侵略されて要塞化されてしまうと、自衛隊には敵基地を攻める装備がないので、米軍頼みになるんだとありました。これは「専守防衛」の自衛隊だからです。有益な演習は日本国内ではできないのでアメリカで米軍と合同で行っていたりするそうですし、もしもいきなり日米安保を無くすととんでもないことになりますね。北朝鮮からのミサイル発射を補足するのも、日本のレーダーでは遅くて、アメリカの軍事衛星がとらえた情報をアメリカ軍からもたらされてからになっているそうです。日本にはそういった軍備が無いのでした。
あと、領空侵犯による自衛隊機スクランブル発進の回数は、本書で挙げられていたサンプルの年だと「810回/年」もありました。また、領海侵犯というものもありますが、どちらとも自衛隊は憲法上先制攻撃できないので、通信による警告で退いてもらうかたちが一般的だそうです。
僕なんかのイメージですと、自衛隊といったら、雪まつりで雪像を作っていたり、競馬のファンファーレの演奏をしていたり、といった面が眼についていました。それが活動の端っこのところなのはわかっていても、本来の活動の具体的なところってよくわからないでいました。毎日訓練しているんだろうなあと、たまに砲撃の音が響いてくるのを聞きながらぼんやり考えることはありながらも。その程度の知識を持つ僕みたいな人には、本書は自衛隊の輪郭や色彩が掴めるみたいにおもしろい。
ミリタリーヲタク向けでも、右翼寄りでもないことが、こういう本の方向性としては大切なんだろうと思います。そのあたり、クリアした本でした。
最後に。巻末に付記のようなかたちで、2011年に起こった東日本大震災時に自衛隊が活動した様子が簡単に書かれています。3月11日14時46分の地震発生から4分後には防衛相に対策本部が置かれ、その7分後には情報収集の海自ヘリが飛び立っている。12日早朝の段階で、2万人規模の災害派遣準備ができていたそうです。その後、まもなく10万人規模の災害派遣に増員されるのですが、全国の自衛隊員数が約24万人ですから、その規模の大きさ、国がすぐさまきちんと注力した感じがわかると思います。救援活動のほうでは、15日までのあいだに、19000人以上を救出しました。福島第一原発事故においては、テレビ中継でヘリコプターが空から水を落下させる冷却作業を見た方は多かったと思います。また、自衛隊の消防車で近辺から放水して冷却をしていたさまも覚えている方はいらっしゃるでしょう。あのときは、これじゃダメだろうと、とあまりに効果の薄そうな手段が取られていることに、そしてそんな手段しか取れない事態であることに、僕は青くなったものでしたが、今こうして生活していられるとおり、ひとまずなんとかなったのでした。原子炉建屋で水素爆発が起こったあと、決死隊として自衛隊員が14名、現地に残っていたそうですし、最初の爆発のときには自衛隊員4名が負傷して、ポンプ車が一部破損していた、と。
災害派遣は12月26日まで行われ、救出者数19286名、収容した遺体は9505体にものぼったそうです。遺体が腐敗していた時などは、きれいに洗浄して遺族に引き渡していたとあります。その他、自衛隊の入浴キットによって入浴できた人の数はのべ100万人だそうです。そういう職業だとはいえ、自衛隊のこうした尽力はとてもありがたかったです。
『自衛隊入門』 宮本猛夫
を読んだ。
自衛隊発足の流れから始まり、どういった組織体系になっているのか、その実力はどれほどのものか、どういった任務をこなしているのか、自衛官はどういった日々を過ごしているのか、自衛官の私生活はどういったものなのか、などを各章にわけながら、シンプルな文章でわかりやすく教えてくれる本です。
2015年の本ですから現在はどうかわからないですが、サイバー部隊の人員の少なさが気になりました。この部隊は約90人の体制で発足しているんです。アメリカや中国は数万人規模なんだそう。人員確保や防衛費の問題もありますけれども、これはおそらく規模は拡大されてるんじゃないかなと思います。
各国の兵力との比較も、こんなに違うんだなあ、と思いました。自衛隊の人数24万人にたいして、北朝鮮は119万人。韓国66万人と出ていました。アメリカや中国の兵力も100万人規模でしたし、この両大国は艦船や航空機の数自体が自衛隊とはケタが違いました。また、たとえば島などが侵略されて要塞化されてしまうと、自衛隊には敵基地を攻める装備がないので、米軍頼みになるんだとありました。これは「専守防衛」の自衛隊だからです。有益な演習は日本国内ではできないのでアメリカで米軍と合同で行っていたりするそうですし、もしもいきなり日米安保を無くすととんでもないことになりますね。北朝鮮からのミサイル発射を補足するのも、日本のレーダーでは遅くて、アメリカの軍事衛星がとらえた情報をアメリカ軍からもたらされてからになっているそうです。日本にはそういった軍備が無いのでした。
あと、領空侵犯による自衛隊機スクランブル発進の回数は、本書で挙げられていたサンプルの年だと「810回/年」もありました。また、領海侵犯というものもありますが、どちらとも自衛隊は憲法上先制攻撃できないので、通信による警告で退いてもらうかたちが一般的だそうです。
僕なんかのイメージですと、自衛隊といったら、雪まつりで雪像を作っていたり、競馬のファンファーレの演奏をしていたり、といった面が眼についていました。それが活動の端っこのところなのはわかっていても、本来の活動の具体的なところってよくわからないでいました。毎日訓練しているんだろうなあと、たまに砲撃の音が響いてくるのを聞きながらぼんやり考えることはありながらも。その程度の知識を持つ僕みたいな人には、本書は自衛隊の輪郭や色彩が掴めるみたいにおもしろい。
ミリタリーヲタク向けでも、右翼寄りでもないことが、こういう本の方向性としては大切なんだろうと思います。そのあたり、クリアした本でした。
最後に。巻末に付記のようなかたちで、2011年に起こった東日本大震災時に自衛隊が活動した様子が簡単に書かれています。3月11日14時46分の地震発生から4分後には防衛相に対策本部が置かれ、その7分後には情報収集の海自ヘリが飛び立っている。12日早朝の段階で、2万人規模の災害派遣準備ができていたそうです。その後、まもなく10万人規模の災害派遣に増員されるのですが、全国の自衛隊員数が約24万人ですから、その規模の大きさ、国がすぐさまきちんと注力した感じがわかると思います。救援活動のほうでは、15日までのあいだに、19000人以上を救出しました。福島第一原発事故においては、テレビ中継でヘリコプターが空から水を落下させる冷却作業を見た方は多かったと思います。また、自衛隊の消防車で近辺から放水して冷却をしていたさまも覚えている方はいらっしゃるでしょう。あのときは、これじゃダメだろうと、とあまりに効果の薄そうな手段が取られていることに、そしてそんな手段しか取れない事態であることに、僕は青くなったものでしたが、今こうして生活していられるとおり、ひとまずなんとかなったのでした。原子炉建屋で水素爆発が起こったあと、決死隊として自衛隊員が14名、現地に残っていたそうですし、最初の爆発のときには自衛隊員4名が負傷して、ポンプ車が一部破損していた、と。
災害派遣は12月26日まで行われ、救出者数19286名、収容した遺体は9505体にものぼったそうです。遺体が腐敗していた時などは、きれいに洗浄して遺族に引き渡していたとあります。その他、自衛隊の入浴キットによって入浴できた人の数はのべ100万人だそうです。そういう職業だとはいえ、自衛隊のこうした尽力はとてもありがたかったです。
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