読書。
『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 大城太
を読んだ。
世界中に散らばり、各々の土地に住み着く中国人たち。彼らは華僑と呼ばれますが、本国に居続ける攻撃的中国人とは違い、その境遇に適応するように身に着いた守りの哲学で生きているとされます。そして、困窮する者はいない。本書はそんな華僑たちの思考法則を教わり、自らもビジネスで成功した著者による柔らかな「生き方」「儲け方」の指南書です。46項目に分けて、解説してくれています。僕としては自分の価値観や考え方の死角にあるような話で、とても興味深かったです。
華僑の人たちに特徴的なのは、商売がうまいこと。「商魂たくましい」などと評されますが、人間中心に考えながらの「経営思考」と「サバイバル思考」がそこにはあります。他国でチャイナタウンを作り上げるように、華僑である彼らはコミュニケーションを重視します。けれどもシビアさもしっかりとある。
日本人は不安に苛まれる人だらけだと思いますが、華僑は不安を抱えていない、とあとがきで述べられています。かれらは家族や仲間を大事にし、仲間意識もすごく強い。その結果、「自分には信頼できる仲間がいる」という気持ちが支えとなっているのだそうです。
では、引用を中心に、内容を少し見ていきます。
著者がどうして華僑のA師匠に弟子入りしようと考えたのか。その理由が、なかなか日本社会を言い得ています。
__________
どこまでも学歴や肩書きがつきまとう日本社会では、10代・20代ですでに勝負がついており、私の経歴ではどうあがいても逆転できません。でもどうしても一発逆転したい。ならばゲリラになるしかない。ゲリラが装備すべきはルール無用の中国流だ、と考えたのです。(p14)
__________
→多くの人は心理的にブレーキが働いて、なかなかこうは考えられないのではないでしょうか。世間の空気を破ってしまうから、はみ出してしまうから、と従順に適応してしまうことって多いかもしれない。そこを、端的にこう述べてもらうと、ちょっとすっきりしますし、「ではどうするか」を考える土台にもなります。とはいえ、それにしても夢のない社会だなあ、と思えてくるのですけれども、だからこそいろいろな方面で頑張る人もでてくるんですよね、苦労はしますけど。
次は、華僑の師匠の元でいろいろと失敗をしてしまった著者の弁。
__________
おかげで私は、貴重な失敗をたくさん経験することができました。失敗から学べというわりに失敗を許さない日本社会では、そうはいきません。(p21)
__________
→日本人は失敗に対する免疫力が弱いと語られるところもありました。そういった日本人の個人的な資質を作るのは、失敗に対する世間的な価値観の強さによってなのかもしれないなあ、と思ったのですが、実際はどうでしょうね。失敗から学ぶことはトライアンドエラーであり、そうやって経験を積んで向上していくものですから、失敗をつよく糾弾されることで挑戦しにくい組織または社会というのはよくないですし、子jンとしてもそういった環境がストレッサーになるでしょう。
次は、「一番自分に合ったやり方選べば一番利益が伸びる」の項での太線部分を。
__________
最初に教えられたやり方にこだわらず、自分に最適なやり方何かと柔軟に考えれば道は拓ける。(p71)
__________
→教えられた通りにやってみて、それでうまくいかなかったら、「自分には見込みがないのだろうか」だとか「自分には能力がないのではないか」だとかと考えたりするかもしれません。でも、そうではなくて、ただやり方が合わないだけです。自分に合ったやり方を見つけたり、編み出していければ、ほんとうにその分野にまったく向いていないタイプじゃなければ、大概はうまくできる、ということなんだと思います。
次は、人との距離感について。
__________
俗に夫婦関係は片目をつぶったほうがうまくいくと言われますが、ビジネスの人間関係も同じです。(p84)
__________
→価値観の違う人間同士でうまくやっていくためには、片目をつぶるような付き合いがのぞましい。価値観がいっしょだったならば、両目で見つめ合ってつきあえるけれども、そういった人ばかりの会社では、いちどうまくいかないと二の矢、三の矢が継げないと著者は述べています。二の矢、三の矢を継いでいくためにも、片目をつぶる関係の人間関係でできあがった会社のほうがいい、という考え方でした。
次は、お金に対する意識のところを。
__________
さて「お金は天下の回りもの」の解釈からもわかるように、日本人はお金というものをスピリチュアルにとらえる傾向があります。
一生懸命働いていればいつかは自分のところにもお金が回ってくるだろう、などと本当に真面目です。しかしそこにあるのは真面目さだけ。
お金が天から降ってくることなどあり得ません。自ら手を出してお金を得るための行動をしなければ、天下を回っているお金とは一生無縁でしょう。(p171)
__________
→華僑にはおごり・おごられのおごり合いの哲学があるそうです。そうやってお金を回して仲間を増やしたりします。また、投資する心理としても、お金を「回す」という意識でいるようです。けして、自然に「回る」のではないようです。そういった、ある意味でのお金へのきれいな執着が、自分にもお金が回ってくる仕組みとなっている。
といったところです。最後にふたつほどトピックを紹介して終わります。
・今でも週刊誌などの記事になっていたりしますが、2013年発刊の本書のなかですでに、「これからは中国で水が売れる」という話がありました。この頃から、中国では水道の蛇口から汚水が出るなどという水質汚濁問題は周知の事実だったらしいです。こういった情報からスピーディーに動くのが華僑や中国のビジネス。この頃から、中国富裕層は高級ミネラルウォーターを欲しがっていたようで、「『華僑』は市場の独占を狙っています」などと書かれていました。知る人だったなら、北海道の水源地が買われていく理由がはっきりわかったんでしょう。中国の水質汚染問題なんて僕は知らなかったです。(p63-66)あたりでした。
・華僑のA師匠が口するという「後院失火(ごいんしっか)」ということわざ。家が火事だったら外の敵と戦えないの意味で、つまり、家庭に火種があれば火消しに追われてビジネスに集中できない、と。これは、まさにまさに、ですねえ。(p202)あたりでした。
『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 大城太
を読んだ。
世界中に散らばり、各々の土地に住み着く中国人たち。彼らは華僑と呼ばれますが、本国に居続ける攻撃的中国人とは違い、その境遇に適応するように身に着いた守りの哲学で生きているとされます。そして、困窮する者はいない。本書はそんな華僑たちの思考法則を教わり、自らもビジネスで成功した著者による柔らかな「生き方」「儲け方」の指南書です。46項目に分けて、解説してくれています。僕としては自分の価値観や考え方の死角にあるような話で、とても興味深かったです。
華僑の人たちに特徴的なのは、商売がうまいこと。「商魂たくましい」などと評されますが、人間中心に考えながらの「経営思考」と「サバイバル思考」がそこにはあります。他国でチャイナタウンを作り上げるように、華僑である彼らはコミュニケーションを重視します。けれどもシビアさもしっかりとある。
日本人は不安に苛まれる人だらけだと思いますが、華僑は不安を抱えていない、とあとがきで述べられています。かれらは家族や仲間を大事にし、仲間意識もすごく強い。その結果、「自分には信頼できる仲間がいる」という気持ちが支えとなっているのだそうです。
では、引用を中心に、内容を少し見ていきます。
著者がどうして華僑のA師匠に弟子入りしようと考えたのか。その理由が、なかなか日本社会を言い得ています。
__________
どこまでも学歴や肩書きがつきまとう日本社会では、10代・20代ですでに勝負がついており、私の経歴ではどうあがいても逆転できません。でもどうしても一発逆転したい。ならばゲリラになるしかない。ゲリラが装備すべきはルール無用の中国流だ、と考えたのです。(p14)
__________
→多くの人は心理的にブレーキが働いて、なかなかこうは考えられないのではないでしょうか。世間の空気を破ってしまうから、はみ出してしまうから、と従順に適応してしまうことって多いかもしれない。そこを、端的にこう述べてもらうと、ちょっとすっきりしますし、「ではどうするか」を考える土台にもなります。とはいえ、それにしても夢のない社会だなあ、と思えてくるのですけれども、だからこそいろいろな方面で頑張る人もでてくるんですよね、苦労はしますけど。
次は、華僑の師匠の元でいろいろと失敗をしてしまった著者の弁。
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おかげで私は、貴重な失敗をたくさん経験することができました。失敗から学べというわりに失敗を許さない日本社会では、そうはいきません。(p21)
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→日本人は失敗に対する免疫力が弱いと語られるところもありました。そういった日本人の個人的な資質を作るのは、失敗に対する世間的な価値観の強さによってなのかもしれないなあ、と思ったのですが、実際はどうでしょうね。失敗から学ぶことはトライアンドエラーであり、そうやって経験を積んで向上していくものですから、失敗をつよく糾弾されることで挑戦しにくい組織または社会というのはよくないですし、子jンとしてもそういった環境がストレッサーになるでしょう。
次は、「一番自分に合ったやり方選べば一番利益が伸びる」の項での太線部分を。
__________
最初に教えられたやり方にこだわらず、自分に最適なやり方何かと柔軟に考えれば道は拓ける。(p71)
__________
→教えられた通りにやってみて、それでうまくいかなかったら、「自分には見込みがないのだろうか」だとか「自分には能力がないのではないか」だとかと考えたりするかもしれません。でも、そうではなくて、ただやり方が合わないだけです。自分に合ったやり方を見つけたり、編み出していければ、ほんとうにその分野にまったく向いていないタイプじゃなければ、大概はうまくできる、ということなんだと思います。
次は、人との距離感について。
__________
俗に夫婦関係は片目をつぶったほうがうまくいくと言われますが、ビジネスの人間関係も同じです。(p84)
__________
→価値観の違う人間同士でうまくやっていくためには、片目をつぶるような付き合いがのぞましい。価値観がいっしょだったならば、両目で見つめ合ってつきあえるけれども、そういった人ばかりの会社では、いちどうまくいかないと二の矢、三の矢が継げないと著者は述べています。二の矢、三の矢を継いでいくためにも、片目をつぶる関係の人間関係でできあがった会社のほうがいい、という考え方でした。
次は、お金に対する意識のところを。
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さて「お金は天下の回りもの」の解釈からもわかるように、日本人はお金というものをスピリチュアルにとらえる傾向があります。
一生懸命働いていればいつかは自分のところにもお金が回ってくるだろう、などと本当に真面目です。しかしそこにあるのは真面目さだけ。
お金が天から降ってくることなどあり得ません。自ら手を出してお金を得るための行動をしなければ、天下を回っているお金とは一生無縁でしょう。(p171)
__________
→華僑にはおごり・おごられのおごり合いの哲学があるそうです。そうやってお金を回して仲間を増やしたりします。また、投資する心理としても、お金を「回す」という意識でいるようです。けして、自然に「回る」のではないようです。そういった、ある意味でのお金へのきれいな執着が、自分にもお金が回ってくる仕組みとなっている。
といったところです。最後にふたつほどトピックを紹介して終わります。
・今でも週刊誌などの記事になっていたりしますが、2013年発刊の本書のなかですでに、「これからは中国で水が売れる」という話がありました。この頃から、中国では水道の蛇口から汚水が出るなどという水質汚濁問題は周知の事実だったらしいです。こういった情報からスピーディーに動くのが華僑や中国のビジネス。この頃から、中国富裕層は高級ミネラルウォーターを欲しがっていたようで、「『華僑』は市場の独占を狙っています」などと書かれていました。知る人だったなら、北海道の水源地が買われていく理由がはっきりわかったんでしょう。中国の水質汚染問題なんて僕は知らなかったです。(p63-66)あたりでした。
・華僑のA師匠が口するという「後院失火(ごいんしっか)」ということわざ。家が火事だったら外の敵と戦えないの意味で、つまり、家庭に火種があれば火消しに追われてビジネスに集中できない、と。これは、まさにまさに、ですねえ。(p202)あたりでした。
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