正負の数の指導をした夜の学習教室。入試も終わり久しぶりに、生徒に会う。
おそるおそる結果を聞いたら、定時制高校に合格したという。よかった。
さてその日は3年生最後の教室となった。介護施設の一部屋を借りて
おこなっているので、施設長さんのお話。
教室を運営する側としては、お話のあとでお礼の言葉を伝え色紙を渡す予定であった。
お話が始まった。
「この教室で学んでどうでしたか?」
やばいことに、一番落ち着きのない生徒が反応を示し、施設長さんはこの
生徒を指名した。
「君、どうでしたか?」
答えて曰く
「疲れた」
ああ、やっちゃった。
施設長さんはむっとしたらしい。
「君、真面目に答えなさい。」
といって、全体に向かってまた同じ質問をした
「他の人、どうでしたか。」
またまた、やばいことに、特に落ち着きのない生徒が反応した。
この生徒に助けを求めるべく質問した。
「君、どんなことを学びましたか?」
答えて曰く
「全部」
またやっちゃった。
これですべておしまいである。
施設長さんは立ち往生し、
「湿っぽくなりましたね」
「私は60歳になります。人生の半減期です」
「半減期って何だか分かりますか?」
原発事故の話しをし、半減期の説明。
・・・・・・・・
「君たちは若いです。これからです」
「こんな話しをするつもりはなかったのですが・・・」
・・・・・・
などと口走り、何とか話しをおさめたが、場の空気はシーンとして
白々しいものになっていた。
その後、代表生徒がお礼の言葉とともに色紙を渡して形だけは
治まった。施設長さんが会場を出て、次のプログラムになった。
こうして面目を潰された施設長さんであったが、中学生とつきあって
いると、こういうヒヤヒヤした場面がよく起こりうるので、大人の側
としては事前の準備が必要だろう。
つづく