45回目の結婚記念日を迎えた。
45年前のあの日、親戚だけの結婚式を済ませて、新居に戻り
旅支度をして二人で上野駅に向かった。
新婚旅行のつもりだったが行き先の計画もなく、
「均一周遊券」を買って、上野発の急行夜行列車に乗った。
東北地方限定で乗り降り自由、急行券いらずの切符だ。
私の大学受験の浪人時代に行った場所を辿ってみよう
としたことが行き先のアイデアになった。
夜行列車に揺られながら、二人でしばらく話しているうちに、
新妻は座席に横になって寝てしまった。
私はひとり、白いワンピース姿の彼女をじっと見つめながら、
この後の生活に思いを巡らせていたことを、今思い起こし
ている。45年前のことである。
奥羽本線のどこかの駅で降りて、予約もせずに、
国民宿舎に泊まった。どこだったか、覚えていない。
あくる日は、青森駅の観光案内所で、旅館を予約して、
路線バスに乗った。夕方だったので、十和田湖に向かう道は
暗く、やっとのことで十和田湖のそばの目指す旅館にたどり着いた。
次の日は奥入瀬渓流を散歩。
お土産などを買ったあと、青森から盛岡行きに乗って、
そこから特急列車に乗り換えて上野に着いた。
当時は新幹線などなかったので移動に時間がかかったものだ。
新居に戻ったのは8月30日だったと思う。
31日に学校に出勤し、お土産を配った。すぐに二学期が始まり
忙しい毎日だったが、新居のある目白駅に着くとまっしぐらに
帰りを急いだ。二人とも若かった。
「きみまろ」ではないが、「あれから45年」あっという間に
過ぎて行った。
45回目の結婚記念日を「サファイア婚」というようだ。
サファイアの輝きにふさわしい生活を送っただろうか。
次はあと5年後の金婚式である。