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乳がん乳房切除 現状と課題

2013-07-02 08:02:34 | 報道/ニュース
6月29日 おはよう日本

日本で乳がんを発症する人は毎年6万人。
その約10%は遺伝子の変異が原因とされている。
国内でも10を超える医療機関が乳がんを予防する乳房切除手術の準備を始めている。
今後 日本でも乳がん予防を目的にしたこの手術が広まりそうである。
手術を受けるまでの流れは
まず医師が患者に対してカウンセリングを行う。
患者の同意を得たうえで遺伝子検査を行う。
その検査の結果可能性が高いとわかった場合 乳房の切除をする。
この手術を先進的に行っているのがアメリカである。
年間25万件の遺伝子検査が行われている。

米カリフォルニア州にある癌専門クリニック。
遺伝子検査を希望する患者の血液を採取して検査を請け負う企業に送っている。
これまで30人以上がこうした検査に基づいてがん予防のために乳房を切り取る手術を決断してきた。
この病院では患者が納得して検査が受けられるよう
医師やカウンセラーが徹底したカウンセリングを行っている。
(医師)
「遺伝子検査で陽性だった場合
 予防的に乳房を切除する選択肢が考えられる。」
(患者)
「もし私が陽性なら乳房を切除するしかないのでしょうか?」
(医師)
「いいえ 切除は選択肢の一つにすぎません。
 切除したくないなら定期的に検診を受けるという方法もあります。」
アメリカではどのような患者に検査を受けるべきかを示すガイドラインも確立されている。
検査を勧める対象は
癌を抑制する遺伝子に異変があると認められた家族がいる人
45歳未満でがんを発症したことがある人
などとしている。
(カウンセリングにあたった医師)
「患者の中には乳房を失うことでつらい思いをする人がいるので
 私たちは選択肢について何度も説明を繰り返します。
 難しい決断ですが多くの乳がん患者にとって命を救ってくれる決断なのです。」
実際に乳房の切除に踏み切る人も増えてきている。
ロサンゼルスに住むロレル・シャーンさん(42)は
検査の結果 乳がんになるリスクは90%と告げられた。
(ロレル・シャーンさん)
「恐怖心 悲しみ 怒りを感じました。
 当時3人目の娘を産んだばかりでした。
 こどもたちの成長が見られないと思うと本当に怖い気持ちでいっぱいでした。」
シャーンさんは
両方の乳房を切除して癌になる細胞をほぼ取り除いたことから
乳がんのリスクkは4%以下に低下した
と医師から伝えられた。
(ロレル・シャーンさん)
「病気にコントロールされる人生ではなく
 自分でコントロールできる人生を手に入れられたと思います。」

予防のために乳房を切除する手術は日本でも広まるのか。
東京都内にある癌専門病院ではアンジェリーナ・ジョリーさんの手術以来
乳がんの遺伝子検査を受けたいとカウンセリングに予約の申し込みが殺到している。
診療を行う日はすべて予約でうまっている。
しかしこの病院で実際に検査を受ける人はそれほど多くない。
ーカウンセリングを受けた人の記録ー
わかっていても結果をもらったら落ち込むだろうな
子どもに話して絶望されても困る

カウンセリングの段階で不安を訴える声が多かったのである。
実際に遺伝子検査を受けて戸惑いをおぼえた人もいる。
乳がんの再発を繰り返したことから遺伝子検査を受けた女性。
検査の結果 がんが再発する危険性が高いことがわかった。
家族にもその事実を告げたがそのことで今も悩んでいる。
(遺伝子検査を受けた女性)
「家族兄弟とか叔母が遺伝子の変異を持っているのではないか不安が出てきた。
 知らない方がよかったのではないかと。」
6月28日の日本乳癌学会では
専門のカウンセリングを受けられる医療機関が少ないという指摘が相次いだ。
専門家は検査を受ける人の不安に丁寧に答えられるために
カウンセリング態勢の充実は不可欠だと話している。
(日本乳癌学会に参加した聖路加国際病院 山内英子医師)
「今はまだ心の準備ができていない方もいると思う。
 知りたい知りたくないの選択
 そういう思いで非常に苦悩している女性がいることをわかってもらったうえで
 社会として態勢を整えていくことをやっていければいいと思う。」

遺伝子の変異がある人は最大90%近い確率で乳がんを発症するが
それを5%程度にまで下げることができるメリット。
それに対し検査への精神的な負担や手術の痛みなどのデメリットがある。
乳がんによる死亡率を下げられるかはまだよくわかっていない。
手術を受けても乳癌を絶対に防げるわけではなく発見が遅れれば手遅れになってしまう。
手術を受けずに乳がんになってもこまめな検診で早期発見すればほとんどは治療可能である。
こうしたことからアメリカでも手術を受けることが良いという意見ばかりではない。
将来自分ががんになる危険性が高いかどうかを知ることになるが
専門家によるカウンセリングが不可欠である。


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