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マンデラ元大統領の理想を受け継いで

2013-07-26 08:16:37 | 海外ネットワーク
7月21日 NHK海外ネットワーク

肺の感染症が再発して6月から入院中の南アフリカ元大統領のマンデラ氏。
南アフリカ各地でマンデラ氏の回復を願う祈りが連日行われている。
(ネルソン・マンデラ氏)
「今戦いをやめたらアパルトヘイトは永遠に続いてしまう。」
アパルトヘイト人種隔離政策の撤廃運動を率いたネルソン・マンデラ氏。
1976年当時の南アフリカは白人と黒人は同じバスに乗ることを禁じられていた。
異なる人種間の結婚は許されず参政権は白人だけに認められていた。
マンデラ氏は1964年 国家反逆罪で終身刑となったが獄中から黒人の解放を訴え続けた。
国際的な批判が高まるなか南アフリカ政府は東国から27年経ってマンデラ氏を釈放する。
マンデラ氏は白人と対話を重ね人種隔離政策の撤廃を実現。
黒人として初めて南アフリカの大統領に就任した。
(マンデラ大統領《当時》)
「二度と絶対にこの美しい国で人が人を抑圧し
 人が屈辱を経験することはあってはならない。」
マンデラ氏は根深い対立の歴史を乗り越えてすべての人種が平等に扱われる国づくりに力を注いだ。
そうした功績が認められノーベル平和賞を受賞している。
マンデラ氏は7月18日に96歳の誕生日を迎えた。
ボランティアの人たちが色鮮やかなカップケーキを5,000個以上並べマンデラ氏の肖像画を作った。
マンデラ氏が掲げてきた理想は南アフリカの社会を変えようとする多くの人たちを今も突き動かしている。

南アフリカの人々にとって7月18日は特別な日である。
国連もこの日を『ネルソン・マンデラ国際デー』と定めている。
マンデラ氏はアパルトヘイトと戦った67年の歳月になぞらえ
皆で67分間の奉仕活動を行なおうというのである。
ホールではボランティアの人たちが貧しい子どもたちに食べ物を送った。
「貧しい人たちを助けるため67分間をささげることは大切だ。」
人種隔離政策が撤廃されて19年 黒人も参政権を得て職業や結婚の差別は無くなった。
しかし経済活動は今も白人主導で貧富の差が広がっている。
黒人の多くは今もかつての居住区で暮らしており人種間の溝は埋まっていない。
マンデラ氏が理想とした社会を実現しようと活動を続ける人たちがいる。
そのひとりマリリン・バッサンさん。
“1人1人の力が社会を変える”というマンデラ氏の言葉に動かされ活動を始めた。
毎日のように貧しい地区を訪ね野菜の作り方を指導している。
(マリリン・バッサンさん)
「マンデラ氏の理想を受け継いでいく。
 私たちには社会を変える力がある。
 だから改善するために行動するべきだ。」
週に一度は異なる人種の子どもたちを畑に連れて行く。
黒人と接する機会の少ない子どもたちは
初めは戸惑いながらも一緒に汗を流すうちに次第に打ち解けていく。
「初めは怖いと思った。
 実際に会ってみると怖がる必要がないことがわかった。」
「いろんな人と知り合えた。
 楽しかった。」
(マリリン・バッサンさん)
「親の中には今も子どもたちに異なる人種への恐怖を植え付ける人がいる。
 互いを怖がるという悪循環を断ち切るには子ども同士が会って理解しあう機会を作るしかない。」
教育を通じて社会を変えたいという人もいる。
保育園を運営するオルガ・シノボロさんは
高校を中退し学歴がなく仕事につけない現実に直面したとき
“教育は世界を変えるための最強の武器”というマンデラ氏の言葉に出会った。
自分と同じような失敗を未来がある子どもたちにはさせたくない。
13年前 小さな小屋で保育園を始め今では250人をあずかるまでになった。
(オルガ・シノボロさん)
「マンデラ氏の夢は子どもに教育をうけさせること。
 その夢を実現させたい。」
保育園には費用を払えない家庭の子どもも少なくない。
シノボロさんは寄付を募りながらそんな子どもたちも受け入れている。
卒園した子どもの家にもたびたび足を運び学業を続けられるよう見守っている。
大統領になったマンデラ氏は貧しい家庭の子どもたちの高校までの授業料を無料にした。
しかし貧困などで約50%の生徒が高校を中退。
その多くは黒人の子どもである。
教育を通じて子どもたちの可能性を広げたいというのがシノボロさんの願いである。
(オルガ・シノボロさん)
「教育をうければ暮らしをよくすることができる。
 簡単に実現できるとは思っていない。
 でも実現に向けて前に進んでいきたい。」
平等な社会の実現を追求してきたマンデラ氏。
後に続く人たちは自分の力で道を切り開こうとしている。

南アフリカではマンデラ氏の言葉
“1人1人の力で社会を変えられる”と口にする人に多く出会う。
9年前にすべての公職を退いたマンデラ氏だが
南アフリカの人にとってその存在がいかに大きいか思い知らされる。
南アフリカはいま世界最大の格差大国と言われるほど格差が広がり
半税や汚職の万円など問題は山積みである。
そういう厳しい現実があるからこそ
不屈の精神で道を開き対話を続けたマンデラ亜氏の生き様が人々の共感を呼んでいる。
マンデラ氏が思い描いたすべての人が平等な社会には程遠いのが現実だが
マンデラ氏の理想を道しるべに人々は困難に立ち向かっていこうとしている。
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