7月17日 編集手帳
あたりに人影はなく
風も絶え
しんと静まり返っている。
夏の昼下がりにはときどき
そんな沈黙の時間がある。
〈ひとり/げらげら/わらってる/まわりを しーんと/させちゃって〉。
まど・みちおさんの詩『ヒマワリ』である。
形容矛盾ではあるが
音のない世界をこれほどにぎやかに彩る花はほかにないだろう。
日曜の東京版に
千葉県成田市の牧場で黄金色に咲き誇る写真が載っていた。
早めの猛暑到来で、
花も幾らか急ぎ足であるらしい。
浮かんでくるヒマワリがある。
北上川のほとり
震災で児童74人が犠牲になった大川小学校(宮城県石巻市)のそばである。
わが子の生きた証しにと
あるご両親が種をまき
同じ境遇の親御さんと世話をした。
児童があの日
津波から逃れようと目指した高台である。
「しーん」とした夏景色に耳をすませば
記憶のなかの無邪気な「げらげら」が聞こえるかも知れない。
〈列車にて遠く見ている向日葵ひまわりは少年のふる帽子のごとし〉
(寺山修司)。
もうじき今年も
廃虚となった校舎を見おろす高台にその花は咲くだろう。
少年の
少女の
振る帽子のように。
あたりに人影はなく
風も絶え
しんと静まり返っている。
夏の昼下がりにはときどき
そんな沈黙の時間がある。
〈ひとり/げらげら/わらってる/まわりを しーんと/させちゃって〉。
まど・みちおさんの詩『ヒマワリ』である。
形容矛盾ではあるが
音のない世界をこれほどにぎやかに彩る花はほかにないだろう。
日曜の東京版に
千葉県成田市の牧場で黄金色に咲き誇る写真が載っていた。
早めの猛暑到来で、
花も幾らか急ぎ足であるらしい。
浮かんでくるヒマワリがある。
北上川のほとり
震災で児童74人が犠牲になった大川小学校(宮城県石巻市)のそばである。
わが子の生きた証しにと
あるご両親が種をまき
同じ境遇の親御さんと世話をした。
児童があの日
津波から逃れようと目指した高台である。
「しーん」とした夏景色に耳をすませば
記憶のなかの無邪気な「げらげら」が聞こえるかも知れない。
〈列車にて遠く見ている向日葵ひまわりは少年のふる帽子のごとし〉
(寺山修司)。
もうじき今年も
廃虚となった校舎を見おろす高台にその花は咲くだろう。
少年の
少女の
振る帽子のように。