6月23日 海外ネットワーク
古代ユダヤのヘロデ王はイエス・キリストを殺そうとした残忍な王として
その名は新約聖書にも記録されている。
聖地“嘆きの壁”はヘロデ王が改築した神殿の基礎部分である。
ユダヤ人で知らない人はいないほどの歴史上の人物。
近年発見され話題になった“王の棺”は今年初めて公開された。
これまでの来場者は約17万人。
公開時期が延長されるほど大人気になっている。
2000年以上前の古代ユダヤの王にまつわる歴史的な発見として大きな話題であるが
ヘロデ王の遺跡はヨルダン川西岸で見つかっており
このことがイスラエルとパレスチナの間で論争を引き起こしている。
ヨルダン川西岸には多くのパレスチナ人が暮らしていたが
イスラエルは国際法に違反する形でユダヤ人が住むための入植地の建設を進めた。
このことによりパレスチナ側に強い反発を招いてきた。
ユダヤ人の入植地の近くにそびえる山。
ここで貴重な文化財が数多く見つかった。
発掘を行ったのはイスラエルの研究チームである。
遺跡が見つかったのはヨルダン川西岸の占領地。
パレスチナは“占領地でのイスラエルの発掘は国際条約違反”だと強く反発している。
(パレスチナ暫定自治政府 マアーヤ観光・井関担当相)
「イスラエルは占領者として尊大に振る舞い自分たちは何をしても良いと考えている。
ここが自分たちの土地であると言うため
歴史を奪おうとしていることを懸念している。」
これに対しイスラエルは
“違反はない
出土品は展示のあと元に戻すので問題ない”としている。
(博物館 展示担当者)
「博物館としては考古学の立場から発掘した品の保存や修復のために活動している。」
“遺跡保護を口実に占領地からパレスチナ人を追い出そうとしている”
そのような批判の声があがっている場所がある。
東エルサレムでは古代ユダヤのダビデ王の時代に建てられたとされる遺跡の発掘が進められている。
イスラエルは“遺跡は東エルサレムがユダヤ人の土地であることを示す有力な根拠”だと主張。
遺跡一帯を国立公園に指定しさらにその範囲を広げようとしている。
遺跡のすぐそばに住むファハリ・アブディアブさん(51)は先祖代々この土地で暮らしてきた。
4年前 アブディアブさんたちパレスチナ人の住宅88棟は
エルサレム市から突然立ち退くよう命じられた。
国立公園の拡張などがその理由だった。
アブディアブさんの隣の家は地元当局によって早々に壊された。
(ファハリ・アブディアブさん)
「この家の人たちは家具を持ち出す時間すら与えられなかった。
イスラエルはこの土地の占領を正当化し
私たちパレスチナ人を追放するためだけに遺跡や歴史を利用している。」
アブディアブさんの住宅も6月12日が期限だと通告されている。
期限が過ぎた今 いつ隣の家と同じ目にあわされるのか不安におびえている。
人類共通の財産であるはずの遺跡。
イスラエル国内でも“古代ユダヤの遺跡を政治的に利用すべきでない”という声が上がっている。
そのひとりであるイスラエルの考古学者ヨナタン・ミズラヒさん(41)。
長年エルサレムで遺跡の発掘に携わるなかで
自ら発掘した遺跡が政治目的に使われていると感じた。
ミズラフさんは今ボランティアで観光客に移籍を案内している。
平和に貢献すべき文化遺産が争いの種になることは決して許されないと訴えている。
(考古学者 ヨナタン・ミズラヒさん)
「こうした遺跡は絶対に政治的な場所にしてはいけない。」
遺跡が占領の正当化に利用されていると考えその流れを変えたいと願うミズラヒさん。
今ではこの活動に賛同したヨーロッパ各国の政府からも活動資金が寄せられるようになった。
観光客の反応からも手ごたえを感じている。
(ツアー参加者)
「イスラエルとパレスチナの紛争を解決するには
文化遺産や歴史の観点でもどちらか一方に偏ってはいけないことがわかった。」
(考古学者 ヨナタン・ミズラヒさん)
「この土地の歴史的遺産は異なる社会・人々にとって同じように重要。
このことを受け入れなければ紛争は解決できない。
この土地の物語や歴史は一つではない。」
古代の歴史を紐解く貴重な遺跡。
対立を深める火種ではなく
互いを認め合うきっかけにできるのか。
遺跡に向き合う姿勢が問われている。
古代ユダヤのヘロデ王はイエス・キリストを殺そうとした残忍な王として
その名は新約聖書にも記録されている。
聖地“嘆きの壁”はヘロデ王が改築した神殿の基礎部分である。
ユダヤ人で知らない人はいないほどの歴史上の人物。
近年発見され話題になった“王の棺”は今年初めて公開された。
これまでの来場者は約17万人。
公開時期が延長されるほど大人気になっている。
2000年以上前の古代ユダヤの王にまつわる歴史的な発見として大きな話題であるが
ヘロデ王の遺跡はヨルダン川西岸で見つかっており
このことがイスラエルとパレスチナの間で論争を引き起こしている。
ヨルダン川西岸には多くのパレスチナ人が暮らしていたが
イスラエルは国際法に違反する形でユダヤ人が住むための入植地の建設を進めた。
このことによりパレスチナ側に強い反発を招いてきた。
ユダヤ人の入植地の近くにそびえる山。
ここで貴重な文化財が数多く見つかった。
発掘を行ったのはイスラエルの研究チームである。
遺跡が見つかったのはヨルダン川西岸の占領地。
パレスチナは“占領地でのイスラエルの発掘は国際条約違反”だと強く反発している。
(パレスチナ暫定自治政府 マアーヤ観光・井関担当相)
「イスラエルは占領者として尊大に振る舞い自分たちは何をしても良いと考えている。
ここが自分たちの土地であると言うため
歴史を奪おうとしていることを懸念している。」
これに対しイスラエルは
“違反はない
出土品は展示のあと元に戻すので問題ない”としている。
(博物館 展示担当者)
「博物館としては考古学の立場から発掘した品の保存や修復のために活動している。」
“遺跡保護を口実に占領地からパレスチナ人を追い出そうとしている”
そのような批判の声があがっている場所がある。
東エルサレムでは古代ユダヤのダビデ王の時代に建てられたとされる遺跡の発掘が進められている。
イスラエルは“遺跡は東エルサレムがユダヤ人の土地であることを示す有力な根拠”だと主張。
遺跡一帯を国立公園に指定しさらにその範囲を広げようとしている。
遺跡のすぐそばに住むファハリ・アブディアブさん(51)は先祖代々この土地で暮らしてきた。
4年前 アブディアブさんたちパレスチナ人の住宅88棟は
エルサレム市から突然立ち退くよう命じられた。
国立公園の拡張などがその理由だった。
アブディアブさんの隣の家は地元当局によって早々に壊された。
(ファハリ・アブディアブさん)
「この家の人たちは家具を持ち出す時間すら与えられなかった。
イスラエルはこの土地の占領を正当化し
私たちパレスチナ人を追放するためだけに遺跡や歴史を利用している。」
アブディアブさんの住宅も6月12日が期限だと通告されている。
期限が過ぎた今 いつ隣の家と同じ目にあわされるのか不安におびえている。
人類共通の財産であるはずの遺跡。
イスラエル国内でも“古代ユダヤの遺跡を政治的に利用すべきでない”という声が上がっている。
そのひとりであるイスラエルの考古学者ヨナタン・ミズラヒさん(41)。
長年エルサレムで遺跡の発掘に携わるなかで
自ら発掘した遺跡が政治目的に使われていると感じた。
ミズラフさんは今ボランティアで観光客に移籍を案内している。
平和に貢献すべき文化遺産が争いの種になることは決して許されないと訴えている。
(考古学者 ヨナタン・ミズラヒさん)
「こうした遺跡は絶対に政治的な場所にしてはいけない。」
遺跡が占領の正当化に利用されていると考えその流れを変えたいと願うミズラヒさん。
今ではこの活動に賛同したヨーロッパ各国の政府からも活動資金が寄せられるようになった。
観光客の反応からも手ごたえを感じている。
(ツアー参加者)
「イスラエルとパレスチナの紛争を解決するには
文化遺産や歴史の観点でもどちらか一方に偏ってはいけないことがわかった。」
(考古学者 ヨナタン・ミズラヒさん)
「この土地の歴史的遺産は異なる社会・人々にとって同じように重要。
このことを受け入れなければ紛争は解決できない。
この土地の物語や歴史は一つではない。」
古代の歴史を紐解く貴重な遺跡。
対立を深める火種ではなく
互いを認め合うきっかけにできるのか。
遺跡に向き合う姿勢が問われている。