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“敷地売却”直面する課題

2013-07-12 08:54:48 | 報道/ニュース
7月8日 おはよう日本

日本にマンションが作られるようになって約50年。
国土交通省の調査によると今や国民の10人に1人がマンションで暮らしている。
老朽化してそのままでは住むことができなくなったマンションは
建て替えや修繕を行うか
解体して敷地を売却し共有関係を解消することになる。
仙台市では東日本大震災で100棟以上が前回と認定され住民は選択を迫られた。
この中で敷地の売却を選んだ住民が大きな課題に直面している。

仙台市では今3つのマンションで敷地の売却が検討されている。
仙台市中心部から車で20分ほどの住宅地にあるマンション跡地。
かつてここには14階建てのマンションがあり189世帯が暮らしていた。
解体前は建物全体が傾きエレベーターや廊下など共有部分も壊れ
生活できる状態ではなくなっていた。
管理組合が震災直後に作成した建て替えに関する見積りは
再び住めるようになる期間は最低でも3年
追加費用は1世帯当たり1,600万円必要という内容だった。
(マンション管理組合 元理事長 伊藤宗昭さん)
「年金暮らしの私たちにとって費用はとても出せる金額ではない。」
住民は建て替えや修繕をあきらめ去年建物は解体された。
ところが敷地の売却方法をめぐって意見がまとまらない状況が続いている。
当初管理組合は公募で最高値の相手に売却を考えていた。
(マンション管理組合 元理事長 斉藤宗昭さん)
「第三者に委ねて公募での売却が一番良い。
 その方が元所有者も納得すると思う。」
こうしたなか売却には自分たちの希望を反映させたいという声も上がった。
このグループは売却相手に高齢者の福祉施設を併設したマンションを建ててほしいとしている。
希望する住民は再び部屋を購入して入居できるようにするためである。
(住民グループ代表 石田貞一さん)
「あの土地を捨てるのにもう一回帰りたい戻りたいという気持ちがある。
 そういう人たちが戻れるのであれば何とかしてあげたい。」
公募による売却か
売却に希望を反映させるか
意見がまとまらないまま1年近くたっている。
国は6月に法律を改正しこれまで全員の同意が必要だった敷地の売却を
災害による被害に限って5分の4の同意で決議できるよう緩和した。
東日本大震災にさかのぼって適用させることが検討されている。
今回の敷地売却で希望を反映させるべきというグループが集めた同意書は
189世帯のうち134世帯分。
今後条件が5分の4に緩和されてもあと18世帯分足りない。
(住民グループ代表 石田貞一さん)
「我々素人ですから集まってやるのには限界があります。
 早々に結論を出さないとおじいさんおばあさんたちもかなり限界が来ています。」
売却の合意はできてもその後の手続きで思わぬ問題に直面し計画が進んでいないマンションがある。
(マンション代表 土屋信也さん)
「この土地が震災後2年以上たってもこのまま放置されている。」
問題となったのが不動産につけられた抵当権
住民たちが部屋を担保にして借りた借金である。
このマンションは7階建てで140世帯があった。
そのうち13世帯が部屋を抵当に入れていた。
マンションの抵当権は通常は各部屋に付けられている。
建物が解体されて無くなると抵当権は共有の敷地に移される。
しかし抵当権が付いたままでは通常買い手が見つからない。
マンションの代表者たちが登記簿を調べたところ
抵当権は額面で合計1億7,000万円以上と分かった。
所有者がその借金を返済できない場合は金融機関と抵当権を外す交渉を行い
最悪の場合住民全体で借金を肩代わりすることも検討している。
代表者たちは今 借金の無い住民が肩代わりする可能性も含めて相談を始めているが
解決の糸口は見えていない。

抵当権の問題について日本マンション学会では
専門家が間に入って金融機関と交渉しスムーズに抵当権を外すような仕組みが整えば
マンション住民が他人の借金を肩代わりするようなことがなくなるのではないかと話している。
また解体や売却の具体的な手順や予想される問題点などを記したマニュアルを作って
少しでも解決につなげていきたいとしている。
国はこれまで建て替えや修繕を前提としてきたが
今後解体や売却という問題は老朽化によって被災地だけでなく全国各地で起きる可能性がある。
専門家など第三者が売却方法など助言や意見調整する仕組みや
行政や金融機関などと交渉する際に主体となる所有権の介助組合を作るなど対策を急ぐ必要がある。




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