9月28日 編集手帳
真珠は痛める貝に宿るという。
身の内に入り込んだ小石などの異物に刺激を受け、
それを核にして貝は真珠をつくる。
肉に食い込む異物が痛くて、
少しでもやわらげたくて、
貝はあのなめらかな真珠質の膜で異物を覆うのか…と、
しろうと考えに想像するときがある。
人も同じだろう。
誰しも何かしらは災難や不幸の「異物」を胸に抱いている。
かけられた優しい言葉だったり、
友と交わすたわいない冗談だったり、
幼いわが子のカタコトだったり――
異物を覆う膜の一つひとつはどれもささやかなものだとしても、
それがあるから人はきょうを生きられる。
〈絹の上に一れんの真珠を置くなればもろもろの死の重きゆふぐれ〉(葛原妙子)。
重い「もろもろの死」を体験し、
いまも苦難の途上にある被災地の人々にとって、
プロ野球パ・リーグの楽天優勝はとりわけなめらかな真珠層の贈り物に違いない。
真珠は古い呼び名を「白しら 玉たま」という。
“白玉の歯にしみとほる”季節でもある。
今宵こよいは両腕を天に突き上げたマー君の残像を飛び切りの肴さかなにして、
目の高さに盃さかずきを掲げるとしよう。
東北のうまい地酒で満たし。
真珠は痛める貝に宿るという。
身の内に入り込んだ小石などの異物に刺激を受け、
それを核にして貝は真珠をつくる。
肉に食い込む異物が痛くて、
少しでもやわらげたくて、
貝はあのなめらかな真珠質の膜で異物を覆うのか…と、
しろうと考えに想像するときがある。
人も同じだろう。
誰しも何かしらは災難や不幸の「異物」を胸に抱いている。
かけられた優しい言葉だったり、
友と交わすたわいない冗談だったり、
幼いわが子のカタコトだったり――
異物を覆う膜の一つひとつはどれもささやかなものだとしても、
それがあるから人はきょうを生きられる。
〈絹の上に一れんの真珠を置くなればもろもろの死の重きゆふぐれ〉(葛原妙子)。
重い「もろもろの死」を体験し、
いまも苦難の途上にある被災地の人々にとって、
プロ野球パ・リーグの楽天優勝はとりわけなめらかな真珠層の贈り物に違いない。
真珠は古い呼び名を「白しら 玉たま」という。
“白玉の歯にしみとほる”季節でもある。
今宵こよいは両腕を天に突き上げたマー君の残像を飛び切りの肴さかなにして、
目の高さに盃さかずきを掲げるとしよう。
東北のうまい地酒で満たし。