日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

真珠層の贈り物

2013-10-04 08:00:00 | 編集手帳
9月28日 編集手帳

真珠は痛める貝に宿るという。
身の内に入り込んだ小石などの異物に刺激を受け、
それを核にして貝は真珠をつくる。

肉に食い込む異物が痛くて、
少しでもやわらげたくて、
貝はあのなめらかな真珠質の膜で異物を覆うのか…と、
しろうと考えに想像するときがある。

人も同じだろう。
誰しも何かしらは災難や不幸の「異物」を胸に抱いている。
かけられた優しい言葉だったり、
友と交わすたわいない冗談だったり、
幼いわが子のカタコトだったり――
異物を覆う膜の一つひとつはどれもささやかなものだとしても、
それがあるから人はきょうを生きられる。

〈絹の上に一れんの真珠を置くなればもろもろの死の重きゆふぐれ〉(葛原妙子)。
重い「もろもろの死」を体験し、
いまも苦難の途上にある被災地の人々にとって、
プロ野球パ・リーグの楽天優勝はとりわけなめらかな真珠層の贈り物に違いない。

真珠は古い呼び名を「白しら 玉たま」という。
“白玉の歯にしみとほる”季節でもある。
今宵こよいは両腕を天に突き上げたマー君の残像を飛び切りの肴さかなにして、
目の高さに盃さかずきを掲げるとしよう。
東北のうまい地酒で満たし。
コメント

北朝鮮の姿勢に変化

2013-10-04 07:00:00 | 海外ネットワーク
9月29日 NHK海外ネットワーク


北朝鮮はここ数か月 周辺国との対話を重視する姿勢を示してきた。
韓国と共同で運営している工業団地の操業も9月に再開させた。
さらに3年前から中断していた
朝鮮戦争などで離ればなれになった家族の面会を再開させることで韓国側といったんは合意していた。
しかし9月21日 北朝鮮は一方的に延期を発表。
対話ムードに水を差した形となった。

ケソン工業団地から5万人余を引き揚げさせた北朝鮮が一転して操業再開を提案。
衣類や機械を製造する工場は久しぶりに活気づいた。
去年1年間の生産額は日本円で460億円余。
北朝鮮にとっては外貨獲得の重要な手段である。
韓国企業も再開を歓迎した。
稼働停止により270億円余の損失が出ていたからである。
(韓国側企業関係者)
「フル稼働に向け出来るだけ休まず作業を続けていきたい。」
北朝鮮は韓国との関係改善に前向きな姿勢を見せ融和ムードを加速させていた。
9月23日には韓国が積極的に呼び掛けていた離散家族の再会事業を3年ぶりに開くことを受け入れた。
韓国では7万人余が北朝鮮にいる家族との再会を希望している。
そのひとりカン・ヌンファンさん(92)。
北朝鮮で公務員として暮らしていたカンさんは朝鮮戦争の戦火を逃れて韓国に避難。
休戦によって南北の往来はできなくなり4か月だけ一緒に暮らした妻と離れ離れになった。
その妻が子どもを産んでいたことを今回初めて知り再会事業で会うことになっていた。
(カン・ヌンファさん)
「息子が生まれていたなんて夢にも思わなかった。
 会いたい。」
カンさんのように朝鮮戦争(1950年)などで引き裂かれた離散家族。
韓国にいる離散家族として登録された人のうち半数近くは
北朝鮮にいる家族と面会を果たせぬまま亡くなった。
残る人たちのほとんどが70歳以上の高齢で時間は限られている。
キム・ミョンドさん(90)は朝鮮戦争前北朝鮮で両親と6人の兄弟と暮らしていた。
このうち一番末の弟だけ生存が確認された。
(キム・ミョンドさん)
「弟が子どもを連れて会いに来てくれることになったよ。」
(キムさんの妻)
「60年も恋しがってきた故郷の家族に会えるなんて感慨深いですね。
 あなた 泣かないでくださいね。」
大学進学のために一人で韓国にやってきたキムさん。
朝鮮戦争が起きたため二十歳の時以来弟とは会っていない。
(キム・ミョンドさん)
「弟が3つか4つのころだったと思います。
 おんぶしてやっていました。
 とても利口な子どもでしたね。」
再開に心を躍らせていた。
弟に贈り物を持っていこうとキムさん夫婦は買い物に出かけた。
洋服や時計それに靴。
(キム・ミョンドさん)
「実の弟ですから足のサイズも私と同じじゃないかと思って。」
北朝鮮での弟の暮らしを思い浮かべながら買い集めた品物は鞄に入りきらないほどになった。
(キム・ミョンドさん)
「弟にだけでもあえる。
 とてもうれしいです。
 どれだけ苦労してきたのか話を聞きたい。」
再開を楽しみにしていたキムさん。
ところが北朝鮮は
(朝鮮中央テレビ 9月21日)
「離散家族の再会は対話が行えるような正常な雰囲気ができるまでの間延期する。」
離散家族の再会を一方的に延期すると発表した。
南北対話に臨もうとする観光側の姿勢が誠実ではないなどと非難した。
この対話で主導権を握ろうと韓国政府に揺さぶりをかけてきたのである。
これに対し韓国は人道的な問題を政治的な駆け引きに使うべきではないと北朝鮮を厳しく批判。
(韓国 統一省報道官)
「すべての離散家族と韓国国民を傷つける反人道的な行為で非難されるべきだ。」
北朝鮮の戦略には惑わされないという構えである。
離散家族の再開はいつ実施されるのか。
今のところ見通しは立っていない。
弟への贈り物を買い込んでいたキム・ミョンドさんはがっかりしたものの希望は捨てていないと言う。
(キム・ミョンドさん)
「再開は難しいかもしれない。
 でも何としても弟と会いたい。」

韓国から外貨を獲得したい北朝鮮にとって
ケソン工業団地を完全に閉鎖するという選択肢はなかったとみられる。
そして更なる外貨を得ようと
5年前から中断している景勝地クムガン山の観光事業を正常化させたいと考えている。
このため北朝鮮はクムガン山観光に関する協議を韓国側が積極的な離散家族の再開を絡めて進めようとしたが
観光側はこれに応じなかったため離散家族事業を先送りした。
ただパク・クネ政権との関係改善を目指す姿勢に変わりはない。
前のイ・ミョンバク政権とは異なり
南北の融和ムードを演出して朝鮮半島の緊張緩和を印象づけ
アメリカとの2国間協議をを手繰り寄せる。
そして国際社会の制裁解除や支援の再開を得て経済の本格的な再建につなげたいと考えているとみられる。
北朝鮮にとって経済の立て直しは
キム・ジョンウン第一書記の政権基盤をゆるぎないものにするためにも重要な課題のひとつである。
そこで国内向けに掲げているのが“人民生活の向上”。
首都ピョンヤンでは高層アパートが次々と建設されている。
外国製の大型遊具が並ぶ遊園地は連日大勢の市民でにぎわっている。
9月には3D映画館も整備された。
ところがこうした動きはピョンヤンに限られていて
それ以外は以前としてインフラが立ち遅れている。
自動車よりも自転車や牛車が目立ちトウモロコシなどの収穫も手作業が中心である。
こうした状況を見ても自力での経済再建には限界があり
外国からの支援無くして国民全体の生活向上は望めない。
北朝鮮はこれまで核の脅威をテコにアメリカなどから見返りを引き出してきた。
核保有国になったと主張する今 非核化のカードの価値を最大限高め
出来るだけ多くの支援などを得たいところである。
当面は6か国協議の無条件での再開を目指して関係国との駆け引きを展開するものとみられる。






コメント