10月6日 NHK海外ネットワーク
TPP交渉に参加している国の中で異色の存在ともいえるのがベトナム。
唯一の社会主義国で
国の豊かさを示す国民1人あたりの国内総生産も1500ドル余とほかの国々に遠く及ばない。
国有企業も多く高い関税によって国内産業を保護してきたベトナムは
なぜTPPの自由貿易圏作りに加わろうとしているのか。
ベトナムは5%を超える経済成長が続く。
平均年齢が若く今後も発展が見込まれる国である。
ベトナムは1980年代“ドイモイ”と呼ばれる改革開放路線を導入し急成長を遂げた。
しかし経済の態勢はいまも社会主義のままである。
経済の中核を担っているのは国有企業。
国有企業と民間企業は同じ条件で競わせるべきだとするTPP交渉でのアメリカの主張にも反対を続けている。
政府が積極的に情報を公開していないこともあって国民のTPPへの関心も高くはない。
「聞いたことはあるが詳しくは知らない。」
「食品の名前か何か?」
「いきなり聞かれても何も思い浮かばない。」
ベトナムがTPPに参加する狙いはどこにあるのか。
中国からの輸入はこの2年間で40%以上増えている。
ベトナムにとって中国は今や最大の貿易相手国。
ただ輸入が急増して貿易赤字が膨らみ続ければ中国経済に飲み込まれかねないという警戒感もある。
「品質は悪いし安全性も心配だけど安いので中国製品はどんどん入ってきている。」
一方 中国に対する輸出は海産物などの1次産品が中心である。
しかし衛生上の問題を中国側から指摘され一方的に輸出を止められるなど
ベトナムの業者が困惑することもしばしばあるという。
(中国との貿易を営むベトナムの会社代表)
「政策の変更で荷物が国境で止められることもある。
貿易ではお互いの信頼関係が大切。」
経済成長がやや減速し始めたベトナム。
それだけにTPPを通してアメリカなど安定した輸出先を拡大し
中国頼みの貿易の在り方を見直したいというのが狙いである。
中国依存からの脱却に拍車をかけているのが南シナ海の島々の領有権をめぐる中国との対立である。
ハノイの歴史博物館では南沙諸島も西沙諸島も歴史的にベトナムのものだと説明する展示を行ってきた。
(グエン・ディン・チエン副館長)
「1904年の中国の地図を見ると中国の最南端は海南島だったことがわかる。
南沙諸島と西沙諸島はもっと南にあり中国には領有権がないことを証明している。」
ベトナムでは南シナ海の海域で漁船が中国艦船から威嚇射撃を受ける例も後を絶たない。
ベトナムのTPP参加にはアメリカなどとの結びつきを強めることで中国をけん制する狙いもうかがえる。
(ベトナム ファム・チ・ラン元首相顧問)
「中国とはお互いにバランス良く発展していくことが大切。
中国にはベトナムなど周辺国の権利を尊重してほしい。
ベトナムが中国の隣人であるという現実は変えられないから。」
TPP交渉に参加している国の中で異色の存在ともいえるのがベトナム。
唯一の社会主義国で
国の豊かさを示す国民1人あたりの国内総生産も1500ドル余とほかの国々に遠く及ばない。
国有企業も多く高い関税によって国内産業を保護してきたベトナムは
なぜTPPの自由貿易圏作りに加わろうとしているのか。
ベトナムは5%を超える経済成長が続く。
平均年齢が若く今後も発展が見込まれる国である。
ベトナムは1980年代“ドイモイ”と呼ばれる改革開放路線を導入し急成長を遂げた。
しかし経済の態勢はいまも社会主義のままである。
経済の中核を担っているのは国有企業。
国有企業と民間企業は同じ条件で競わせるべきだとするTPP交渉でのアメリカの主張にも反対を続けている。
政府が積極的に情報を公開していないこともあって国民のTPPへの関心も高くはない。
「聞いたことはあるが詳しくは知らない。」
「食品の名前か何か?」
「いきなり聞かれても何も思い浮かばない。」
ベトナムがTPPに参加する狙いはどこにあるのか。
中国からの輸入はこの2年間で40%以上増えている。
ベトナムにとって中国は今や最大の貿易相手国。
ただ輸入が急増して貿易赤字が膨らみ続ければ中国経済に飲み込まれかねないという警戒感もある。
「品質は悪いし安全性も心配だけど安いので中国製品はどんどん入ってきている。」
一方 中国に対する輸出は海産物などの1次産品が中心である。
しかし衛生上の問題を中国側から指摘され一方的に輸出を止められるなど
ベトナムの業者が困惑することもしばしばあるという。
(中国との貿易を営むベトナムの会社代表)
「政策の変更で荷物が国境で止められることもある。
貿易ではお互いの信頼関係が大切。」
経済成長がやや減速し始めたベトナム。
それだけにTPPを通してアメリカなど安定した輸出先を拡大し
中国頼みの貿易の在り方を見直したいというのが狙いである。
中国依存からの脱却に拍車をかけているのが南シナ海の島々の領有権をめぐる中国との対立である。
ハノイの歴史博物館では南沙諸島も西沙諸島も歴史的にベトナムのものだと説明する展示を行ってきた。
(グエン・ディン・チエン副館長)
「1904年の中国の地図を見ると中国の最南端は海南島だったことがわかる。
南沙諸島と西沙諸島はもっと南にあり中国には領有権がないことを証明している。」
ベトナムでは南シナ海の海域で漁船が中国艦船から威嚇射撃を受ける例も後を絶たない。
ベトナムのTPP参加にはアメリカなどとの結びつきを強めることで中国をけん制する狙いもうかがえる。
(ベトナム ファム・チ・ラン元首相顧問)
「中国とはお互いにバランス良く発展していくことが大切。
中国にはベトナムなど周辺国の権利を尊重してほしい。
ベトナムが中国の隣人であるという現実は変えられないから。」