10月20日 NHK海外ネットワーク
長年にわたってアメリカと激しく対立してきたイラン。
1979年にテヘランで起きたアメリカ大使館員人質事件をきっかけに両国が国交を断絶して30年余り。
かたや「大悪魔」かたや「悪の枢軸」と罵り合ってきた両国の間で直接交渉ができる環境が整った。
9月 ロウハニ大統領がオバマ大統領と歴史的な電話会談を実現した。
こうした動きの背景にはアメリカに住む30万人以上とも言われるイラン系市民の水面下での働きかけもあった。
アメリカの大学で国際政治学を教えるイラン人のアミールアフマディ教授。
イラン・アメリカ友好協会の会長も務めている。
(アミールアフマディ教授)
「これはアメリカのヘーゲル国防長官と一緒の写真。
かつてのバンス元国務長官やクリントン元大統領とも撮っている。」
5年前に撮られた写真には
核協議でイラン側の代表を務めたザリーフ外相と隣に立つのはアメリカのヘーゲル現国防長官。
テヘランとワシントンの双方に独自の人脈を築いてきた。
国交断絶後 激しく対立してきたアメリカとイラン。
その関係改善はアラブの春以降 混迷を深める中東の構図を大きく変えることになると言う。
(アミールラフディ教授)
「今 中東は未曽有の混乱状態。
この状況を長期間続けるわけにはいかない。
アメリカとイランの関係改善が進めば中東情勢は良い方向に変わる。」
関係改善を妨げているのが核開発問題である。
教授は今回アメリカ政府に対して
イランが原子力発電などのために低レベルのウラン濃縮を続けることは認めるべきだと助言した。
(アミールアフマディ教授)
「私はアメリカの政府関係者にアドバイスした。
もしアメリカが核問題の解決を本気で望むなら
3,5%程度の濃縮ウランをイランが持つことを認めるべきだと。
だがそれ以上の濃度はだめと伝える。
それならイランは受け入れるはずだ。」
保守強硬派が依然強い権力を持つイラン。
しかし反米的な言動で知られたアフマディネジャド前大統領ですら
実はアメリカとの関係改善を望み密かに教授に相談してきたと言う。
(アミールアフマディ教授)
「前政権下でもアメリカとイランはテロ対策などで協力していた。
前大統領は濃縮度20%以上のウランを放棄する準備もしていた。
ただアメリカ側が彼との交渉を望んでいなかった。」
しかしイランには今後の交渉で気をつけなくてはならないことがあると言う。
アメリカと同盟国でイランに対する軍事攻撃を辞さない姿勢を取り続けているイスラエルへの対応である。
(アミールアフマディ教授)
「私はロウハニ大統領らにアドバイスした。
アメリカとの関係を考える時にイスラエル抜きでは進められない。
イスラエルは強力。
敵に回すのではなく協力するべき。」
イランは欧米との交渉と同時に国内をどうまとめるのか。
イラン人の間にはアメリカに対する根強い不信感がある。
急速な関係改善には保守強硬派の反発も予想され
最高指導者ハメネイ師がどこまでロウハニ大統領の対米政策を認めているのか未知数な部分がある。
イラン側はウラン濃縮活動の縮小やIAEAの査察拡大の妥協案を提案したもようだが
これに見合う十分な見返りが得られなければ政権基盤は危うく
欧米と国内を両睨みしながらの綱渡りが続きそうである。
アメリカ側は今回の協議をイランの核開発問題を外交的に解決するまたとないチャンスととらえている。
アメリカにとってイランは大規模な軍事行動もありうると考えてきた長年の懸案である。
しかしオバマ大統領はこの問題について国内で弱腰と非難されながらも
制裁による圧力で対話の道を探ってきた。
それだけにイランが対話路線を掲げるロウハニ大統領を選挙で選び
アメリカとの関係改善に踏み出してきたことはまさに期待して以上の展開である。
そのためアメリカとしてはロウハニ政権に最初から厳しい要求を突き付けて
せっかく生まれた交渉の芽を摘むことが無いよう細心の注意を払って今後の交渉を進めるものとみられる。
アメリカは制裁の緩和に簡単に応じられない事情がある。
イランに敵対するアメリカの同盟国イスラエルは明確に反対している。
またイスラエルロビーが強い影響力を持つアメリカの議会でも与野党を問わず多くの議員が制裁緩和に反対である。
(前米国務省イラン制裁調整官 ロバート・アインホーン氏)
「経済制裁はイランに決定的な影響を与えた。
その緩和に議員の支持を得るにはアメリカに有利な交渉結果が必要だ。 」
中東地域の混乱が深まるなか
アメリカとしてはイランの核開発問題を前進させることでこの地域での影響力を復活したい考えである。
双方の落としどころをどう見つけていくのか。
アメリカ政府にとっては具体的な交渉が始まるこれからが正念場となる。
長年にわたってアメリカと激しく対立してきたイラン。
1979年にテヘランで起きたアメリカ大使館員人質事件をきっかけに両国が国交を断絶して30年余り。
かたや「大悪魔」かたや「悪の枢軸」と罵り合ってきた両国の間で直接交渉ができる環境が整った。
9月 ロウハニ大統領がオバマ大統領と歴史的な電話会談を実現した。
こうした動きの背景にはアメリカに住む30万人以上とも言われるイラン系市民の水面下での働きかけもあった。
アメリカの大学で国際政治学を教えるイラン人のアミールアフマディ教授。
イラン・アメリカ友好協会の会長も務めている。
(アミールアフマディ教授)
「これはアメリカのヘーゲル国防長官と一緒の写真。
かつてのバンス元国務長官やクリントン元大統領とも撮っている。」
5年前に撮られた写真には
核協議でイラン側の代表を務めたザリーフ外相と隣に立つのはアメリカのヘーゲル現国防長官。
テヘランとワシントンの双方に独自の人脈を築いてきた。
国交断絶後 激しく対立してきたアメリカとイラン。
その関係改善はアラブの春以降 混迷を深める中東の構図を大きく変えることになると言う。
(アミールラフディ教授)
「今 中東は未曽有の混乱状態。
この状況を長期間続けるわけにはいかない。
アメリカとイランの関係改善が進めば中東情勢は良い方向に変わる。」
関係改善を妨げているのが核開発問題である。
教授は今回アメリカ政府に対して
イランが原子力発電などのために低レベルのウラン濃縮を続けることは認めるべきだと助言した。
(アミールアフマディ教授)
「私はアメリカの政府関係者にアドバイスした。
もしアメリカが核問題の解決を本気で望むなら
3,5%程度の濃縮ウランをイランが持つことを認めるべきだと。
だがそれ以上の濃度はだめと伝える。
それならイランは受け入れるはずだ。」
保守強硬派が依然強い権力を持つイラン。
しかし反米的な言動で知られたアフマディネジャド前大統領ですら
実はアメリカとの関係改善を望み密かに教授に相談してきたと言う。
(アミールアフマディ教授)
「前政権下でもアメリカとイランはテロ対策などで協力していた。
前大統領は濃縮度20%以上のウランを放棄する準備もしていた。
ただアメリカ側が彼との交渉を望んでいなかった。」
しかしイランには今後の交渉で気をつけなくてはならないことがあると言う。
アメリカと同盟国でイランに対する軍事攻撃を辞さない姿勢を取り続けているイスラエルへの対応である。
(アミールアフマディ教授)
「私はロウハニ大統領らにアドバイスした。
アメリカとの関係を考える時にイスラエル抜きでは進められない。
イスラエルは強力。
敵に回すのではなく協力するべき。」
イランは欧米との交渉と同時に国内をどうまとめるのか。
イラン人の間にはアメリカに対する根強い不信感がある。
急速な関係改善には保守強硬派の反発も予想され
最高指導者ハメネイ師がどこまでロウハニ大統領の対米政策を認めているのか未知数な部分がある。
イラン側はウラン濃縮活動の縮小やIAEAの査察拡大の妥協案を提案したもようだが
これに見合う十分な見返りが得られなければ政権基盤は危うく
欧米と国内を両睨みしながらの綱渡りが続きそうである。
アメリカ側は今回の協議をイランの核開発問題を外交的に解決するまたとないチャンスととらえている。
アメリカにとってイランは大規模な軍事行動もありうると考えてきた長年の懸案である。
しかしオバマ大統領はこの問題について国内で弱腰と非難されながらも
制裁による圧力で対話の道を探ってきた。
それだけにイランが対話路線を掲げるロウハニ大統領を選挙で選び
アメリカとの関係改善に踏み出してきたことはまさに期待して以上の展開である。
そのためアメリカとしてはロウハニ政権に最初から厳しい要求を突き付けて
せっかく生まれた交渉の芽を摘むことが無いよう細心の注意を払って今後の交渉を進めるものとみられる。
アメリカは制裁の緩和に簡単に応じられない事情がある。
イランに敵対するアメリカの同盟国イスラエルは明確に反対している。
またイスラエルロビーが強い影響力を持つアメリカの議会でも与野党を問わず多くの議員が制裁緩和に反対である。
(前米国務省イラン制裁調整官 ロバート・アインホーン氏)
「経済制裁はイランに決定的な影響を与えた。
その緩和に議員の支持を得るにはアメリカに有利な交渉結果が必要だ。 」
中東地域の混乱が深まるなか
アメリカとしてはイランの核開発問題を前進させることでこの地域での影響力を復活したい考えである。
双方の落としどころをどう見つけていくのか。
アメリカ政府にとっては具体的な交渉が始まるこれからが正念場となる。