goo blog サービス終了のお知らせ 

日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

孤高の暖簾

2013-10-07 19:00:00 | 編集手帳
10月1日 編集手帳

女主人公・多加たかが言う。
「商人あきんどいうもんはどない大きな肚はら持ってても、
 算そろ 盤珠弾ばんだまはじく時だけは細こまこう汚きたのう弾くもんだす」。
山崎豊子さんの直木賞受賞作『花のれん』にある。

『白い巨塔』『華麗なる一族』など後年の代表作を読んだ目には、
主人公の口を借りて創作の秘密を語っているようにも映る。
戦後日本の“暗部”を丸ごと作品に取り込む大きな「肚」と、
物語の面白さを細かく弾いた「算盤」と――
どちらが欠けても山崎文学の魅力は語れまい。

詩人のオスカー・ワイルドは語ったという。
〈現実が芸術を模倣する〉。

戦闘機の機種選定を巡る政界と商社の癒着を描いた『不毛地帯』を連載中にロッキード疑惑が浮上するなど、
ワイルドの言葉そのままの先見性に満ちた作品群を残した。
夢中でページをめくらせた財前五郎教授や万俵まんぴょう大介頭取が咲かせる“悪の華”の、なんと妖しかったことか…。
山崎さんが88歳で亡くなった。

かつて山崎さんが書いた色紙に〈暖簾のれんは商人の命〉とある。
作家にとっても命であったろう。
誰の真似まねではなく、
誰にも真似できない孤高の暖簾を、
細腕で守り抜いた人である。
コメント

“攻めの農業”コスト削減でコメの競争力向上

2013-10-07 07:05:27 | ビズ プラス
9月29日 BIZ+SUNDAY


米の生産コストを徹底的に抑え競争力を高めてきた農業生産法人がある。
従業員100人 年商10億円の西部開発農産である。
地元有数の会社に育て上げた会長の照井耕一さん。
耕作放棄地を積極的に買い上げコメの作付面積を拡大してきた。
その広さは205ヘクタール。
東京ドーム44個分。
東北では最大規模を誇る。
照井さんは耕作放棄地を減らすことで地域の農業と雇用の場を守りたいと考えている。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「受け入れる人もいない。
 全部うちの会社が引き受けている。
 この辺一帯はすべてうちの会社でやっている。」
照井さんは規模の拡大によって生産コストの大幅な削減に成功。
米60キロあたりにかかるコストは全国平均1万6000円に対して9552円。
約60%にまで抑えている。
今年 照井さんは新たなコスト削減策に取り組んでいる。
稲の直まき栽培である。
直まき栽培では田植えの前に苗を育てた水田を整備したりする必要がない。
専用の機会もアメリカから輸入し作業時間を短縮。
生産コス全体の15%の削減を見込んでいる。
しかしTPP交渉の結果 
仮により安い輸入米が入ってくれば効率化が追い付かず大きな影響を受けるのではと懸念している。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「やはりTPPは怖い。
 外国から入ってくる価格は5000円前後。
 そうなると3000円の差がある。
 仮に8000円でできたとしてもうちらは原価なので
 それの上積み 1000円2000円ないとやっていけない。
 経営は。」
会社を成長させるには製造業と同じように海外進出が欠かせない。
照井さんは今年ベトナムで日本の米の試験栽培に乗り出した。
照井さんが海外進出の舞台に選んだベトナムは
米の二期作三期作が可能で多くの収量が見込める。
照井さんの試算では米60キロ当たりの生産コストは4200円まで下げられると言う。
その上で目指すのはアジア各地への輸出である。
ASEAN東南アジア諸国連合では自由貿易協定が結ばれている。
ベトナムから富裕層が多いシンガポールやタイへコメを関税なしで輸出する戦略である。
さらにTPP交渉の結果次第ではアメリカやオーストラリアへ輸出していく構想である。
9月上旬 照井さんは栽培現場の視察に訪れた。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「TPPは基本的には反対。
 世の中がそういう情勢であれば避けて通れない。
 そうなったときに海外で食糧を生産する。
 会社として生きる道の一つの戦略にしたい。」
照井さんは現在首都ハノイ近郊の4軒の農家と契約している。
ひとめぼれやあきたこまちを栽培し米の生育具合を確認している。
「日本米は成長が早く作りやすい。」
この日 照井さんは稲の異変に気がついた。
黒くなっている部分には実が付いていない。
高温のもとでスコールが降ったため一部で受粉ができていなかったのである。
今後 日本の農業試験場で対策を検討することにした。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「リスクがあるからこそやりがいがある。
 経営というのはどこかで求めなきゃとか何かをするとか
 そういうものを考えないとやっていけない。」
コメント