9月15日 国際報道2016
NFL 49ersのシーズン開幕戦。
ここで試合前 ひとりの選手の行動がアメリカ中から注目された。
コリン・キャパニック選手(28)
かつてクォーターバックとしてチームをスーパーボウルに導いたこともある。
しかし8月の練習試合で国歌斉唱が行われた際
1人起立しなかった。
その理由は人種差別に抗議するためだった。
警察官による黒人への暴行事件が相次ぐ現状は
アメリカ国歌で歌われる「自由の国」にはほど遠いと考えたのである。
(キャパにック選手)
「平等に扱われていない人々が大勢いる。
警察の暴力は見過ごせない大問題だ。」
アメリカではプロ・アマ問わずスポーツの試合の前には必ず国歌斉唱が行われ
人々には起立して愛国心を示すことが求められる。
それだけにキャパにック選手には批判が殺到した。
「ここはアメリカだ。
人々はこの旗に誓いを立てるんだ。
数百万ドルもらっている選手があんなことをするなんて
とんでもない。」
ユニフォームに火をつけるファンまで出た。
さらに共和党のトランプ候補も
「ひどいことだ。
彼はもっと自分に合った国を探すべきだ。
見つからないだろうが・・・。」
キャパニック選手は反論した。
(キャパニック選手)
「私は反アメリカ主義者ではない。
アメリカを愛しているから抗議をしているんだ。
すべての人に平等と正義がもたらされることを望む。
これはまさに人権問題なんだ。」
懸命な訴えに徐々に理解を示す人が増えてきた。
「勇気あふれる行動だ。
きょうこのユニフォームを買ったんだ。」
キャパニック選手の7番のユニフォームは売れ始め
シーズン開幕前の1週間でNFL全体で最も多く売れたユニフォームとなった。
「彼の抗議を支持するために買うんだ。」
そして迎えた12日(カリフォルニア州)の開幕戦。
アメリカ同時多発テロから15年目にあたり
巨大な国旗がグラウンド全体を覆った。
注目の国歌が流れ始めた。
キャパニック選手はまたも起立しなかった。
しかし今度は1人だけではなく
となりにチームメイトの姿があった。
そして相手チームの選手もこぶしを突き上げキャパニック選手に賛同した。
(キャパニック選手)
「こんなことをいつまでも続けたくないが
現状は1日で変わるようなものではない。」
批判を覚悟でキャパニック選手が投じた一石。
それは今も波紋を広げ続けている。