10月1日 経済フロントライン
高度経済成長に合わせ全国に拡大した総合スーパー。
しかし2000年代に入り相次いで経営危機に陥った。
あれから10年余
競争を勝ち抜いたはずの大手スーパーも業績が低迷。
店舗の閉鎖を進めるなど苦境に立たされている。
(総合スーパー 担当役員)
「当初予定していた営業利益が確保できず
多くの皆様の期待を裏切ってしまった。」
M&Iホールディングスは
傘下のイトーヨーカ堂の不振で
今年度のグループの最終利益は前年度の半分以下になる見通しだと発表。
来年2月までにイトーヨーカ堂20店舗を閉鎖。
東海地方を拠点とするユニーは
9月にファミリーマートと経営統合したが
これに合わせ傘下の総合スーパー全体の1割にあたる約30店舗を閉鎖する方針。
最大手のイオンは
ダイエーを傘下に収めて規模の拡大を続けてきたが
総合スーパー事業は2割近く減益。
いま戦略の見直しを余儀なくされている。
全国に600以上の店舗を持つイオン。
3~5月までの総合スーパー事業は93億円の営業赤字。
いま危機感を強めている。
(イオンリテール 三宅香執行役員)
「厳しい状況が続いている。
お店作りひとつとってもどこに行っても金太郎あめ。
それが客の求めているのもではないという時代になってきたことが
課題のひとつだと思います。」
横浜の東戸塚店。
食品から衣類や生活用品まで幅広い商品をそろえる典型的な店のひとつである。
しかし衣類などの販売不振が続いている。
売り上げはピーク時の7割まで落ち込んでいる。
こうした中イオンでは店舗運営の戦略を抜本的に見直すことにした。
これまでは店舗の改装や商品の仕入れなど
本社がトップダウンで決めてきた。
それを各店舗が地域の事情に合わせ独自に判断して行えるようにしたのである。
東戸塚店では店が提案して大規模なリニューアルを行うことにした。
(東戸塚店店長)
「地域に子どもが多い。
これまで子どもに向けられなかったニーズを実現する。」
現在 周辺ではマンションが次々と建設され
30代から40代の住人が増えている。
リニューアルでは
売り上げが伸び悩んでいた2階の衣類や3階の生活用品を大幅に減らし
2階に集約。
空いた3階をすべて子育て世代をターゲットにした売り場にすることにした。
一方 本社は各店舗のサポートに徹する。
専門知識を持つ社員で約100のチームを作った。
「ラーニング(知育玩具)売り場を日本一の広さで展開していきたい。」
東戸塚店では子ども用品専門のチームが
どのような商品を充実させればよいのか相談にのっている。
9月24日のリニューアルオープン当日
3階には8,000点もの商品が並ぶ巨大なおもちゃ売り場。
スリッパやタオルなど生活用品が売られていた場所には多くの親子連れが訪れた。
「すごく楽しい。」
「すごく変わりました。
以前の売り場はぱっとしない感じだった。
全然違います。」
しかし来客数を今後も増やしていくことができるのか。
店が主役となって進める改革の真価が問われるのはこれからである。
(イオンスタイル東戸塚 岡沢譲治店長)
「都市とともに街も変わり住んでいる人も変わるので
随時見ながら
いまこの売り場がずっといいというのではなく
店が変化させていくことが必要。」