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若き才能の躍動

2016-10-10 07:30:00 | 編集手帳

9月20日 編集手帳

 

 秋空の下、
83万人もが押し寄せた日があったそうだ。
1970年9月、
閉幕を目前にした大阪万博での話である。
終電が出た後も大勢の客がホームにあふれ、
1万人以上が会場で夜を明かした。
あの夢をもう一度というところか。
大阪府が2025年、
2度目の万博開催を構想している。
「人類の健康・長寿への挑戦」とのテーマ設定はなるほど今日的ではある。

関西の財界は「費用対 効果。
金を出す価値があるのか」と冷静だ。
奇妙キテレツな「太陽の塔」の建設に国がポンと億単位の予算を用意した頃とは違う。
夢を見るのもそろばんずく、
あとさきを考え抜く大人が増えた。

70年万博ではデザインや展示、
パビリオンの設計等で、
若い才能が躍動した。
コシノジュンコさん当時30歳、
横尾忠則さん33歳、
黒川紀章さん35歳…。
彼らを信じ、
任せる胆力を備えた傑物がいた証左でもあろう。

「無難に、
 バランスをとって、
 右を見たり左を見たり。
 これでは魅力は開かない」。
「塔」の作者、岡本太郎さんの言葉である。
昔日の万博少年ばかりで描く未来図はどこか退屈だ。
若き異端の人の知恵や所懐こそ聞いてみたい。




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