9月17日
中小企業を主な顧客とする千葉興業銀行。
最近 マイナス金利政策の影響もあり収益が悪化。
今年度は24%減益の見込みである。
「1人1人が今期の1,2倍~1,3倍のパフォーマンスがあげられるように。」
この銀行の収益の約7割を占めるのが
企業などへの貸し出しなどによる金利収入である。
営業担当者は得意先を回ってさらなる資金調達を促している。
金利が下がれば
企業が銀行から資金を借り
投資を増やす。
これが日銀のシナリオである。
しかし
(医療関係の会社)
「わざわざ借りて何かをやろうとは思わない。」
次に訪ねた会社でも
(電気工事の会社)
「最近 製造業が元気がなくて投資があまりないので。」
金利がいくら低くても
景気の先行き不安などから
設備投資に消極的な企業が多いのが現状である。
貸し出しはなかなか増えない。
(千葉興業銀行 本店営業部 村社宏剛副部長)
「皆さん将来への不安を口にするお客様が多い。。
設備投資が非常に案件として少ない。」
収益環境が悪化するなか
この銀行は貸し出しにつながるビジネスを自ら生み出そうとしている。
この日 銀行が仲介役となって引き合わせたのは
地元の菓子メーカーの農業生産法人である。
千葉特産の落花生とパイを組み合わせて
新商品を開発しようというのである。
小さくても新たなビジネスを起ち上げてもらおうと懸命である。
(千葉興業銀行 法人戦略部 宮本英利部長代理)
「企業に借りてくださいというよりは
いかにして借りる必要が出てくるのかを
需要を作っていくのがまず先決。」
(千葉興業銀行 青柳俊一頭取)
「金融機関の体力が全体的に落ちてくる。
マイナス金利はボディブローのように効いてくると思う。」
厳しい経営環境は地方銀行の再編を加速させている。
8月も東京に本店を置く3つの地方銀行が合併を発表した。
(東京TYフィナンシャルグループ 味岡桂三社長)
「マイナス金利は金融機関の経営にとってアゲインスト(逆風)の風。
1バンクになることがベストの選択。」
新たに発足する銀行は
貸し出しに頼る経営からの脱却を模索している。
その1つが顧客へのコンサルティングである。
「お客さもの課題をお聞きして
解決をして
コンサルティングをしていきたい。」
有料でサービスを提供し
新たな収益源に据えようとしている。
(東京TYフィナンシャルグループ 強瀬理一さん)
「融資だけのビジネスでは金融機関は成り立っていかない。
総合的な金融サービス業で生き残っていかなければいけない。」
マイナス金利政策は消費者にとってもリットも生んでいる。
住宅ローンの金利が下がり
返済額を減らすことができるために
借り換え需要が高まっている。
しかしマイナス金利が拡大すると思わぬ事態が起こる可能性もある。
一昨年6月にマイナス金利が導入されたユーロ圏のポルトガル。
金利は-0,4%である。
住宅ローンの金利も大幅に低下している。
首都リスボンに住むヌノ・ブルドゥさんはいずれは家を買いたいと考えている。
住宅ローンの金利が低い今は大きなチャンス。
しかしローンを借りるのはむずかしくくなっている。
(ヌノ・ブルドゥさん)
「銀行はお金を貸したいはず。
それが銀行の仕事だからね。
しかし今は貸し出しの条件が厳しく
貸してもらえない。」
原因は銀行の貸し渋りである。
あまりに金利が下がってしまったため利ざやがほとんどなくなり
貸し出し件数を絞っているのである。
さらに銀行は申し合わせて
「住宅ローンの金利を今以上に下げない」と発表。
これに対し国民から大きな反発の声が上がっている。
(消費者団体)
「銀行は自分たちの問題を消費者に押し付けているだけだ。」
(左派政党の国会議員)
「金利が高い時は何もしなかったのに
金利が低くなったら下限を設けるのはフェアじゃない。」
本来は貸し出しを増やすためのマイナス金利。
ポルトガルでは皮肉にも“貸し渋る”という事態を招いている。