10月1日 経済フロントライン
巨額の公的資金を投入して4年前に設立されたジャパンディスプレイ。
薄さや消費電力を強みにしたスマホ用のパネルで世界シェアを高めてきた。
しかし中国などでのスマホ需要の落ち込みによって
収益が大きく悪化している。
立て直しを託されたのが本間充会長である。
サンヨー電気で電池事業を世界トップに押し上げた功績をかわれ
去年就任した。
掲げた方針は“スマホ依存からの脱却”。
全体の売り上げの85%をスマホに依存しているため
経営のリスクが高いと考えたからである。
(ジャパンディスプレイ 本間充会長)
「85%がスマホ事業で成り立っている会社は異常。
よそから見ても異常に見られているのではないか。
そこから早く抜け出したい。」
いまスマホに使われるパネルは大きな転換期にある。
液晶から有機ELに主役が移ろうとしているのである。
有機ELはパネルを曲げられるのが大きな特徴。
ジャパンディスプレイの最大の顧客であるアップルのiPhoneにも採用される見通しである。
有機ELは韓国メーカーがいち早く量産化に成功し大きくリードしている。
大規模な投資をしても
韓国勢との戦いは非常に厳しいと予想している。
そのためスマホ依存から脱却し
新たな分野を開拓しようとしているのである。
その柱の1つが自動車向けのディスプレイである。
ジャパンディスプレイが描く未来の世界です
各国の自動車メーカー向けに製作したPRビデオ。
これまで培ってきた液晶の耐久性や省エネの技術を生かし
車のあらゆる部分に組み込もうと開発を進めている。
画面があなた好みの快適な空間を演出します
メーター類はすべて液晶画面。
フロントガラスにも組み込まれ
前の車に近づきすぎると警告のメッセージが表示される。
開発を進めると同時に
すでに各国への営業を強化し始めている。
「9月の中旬にアジアのお客様に持っていこうと。
このエリアは自動車の動きが一番大きいところ。」
自動運転の開発が進むなか
この分野でいち早く世界をリードすれば
大きなシェアをつかむことができると考えている。
(ジャパンディスプレイ 本間充会長)
「車載事業は2021年に向けて1兆円規模の市場になる グローバルで。
逃すことはできない。
そこに今舵を切り始めている。
スピードを速くしていかなければ
市場は常に動いているので
そこを求められている。」
この他にも医療や教育などの分野でパネルの活用を模索するジャパンディスプレイ。
日の丸液晶メーカーはいま正念場を迎えている。