7月20日 おはよう日本
日本の台所 東京築地市場。
日本中の食材が集まる築地市場。
いま宮城県産のワタリガニが大人気である。
市場関係者は
値段が毛ガニの半分以下で身や卵に甘みがあることが魅力だと言う。
(卸売業者)
「ほぼ100%宮城。」
(仲卸業者)
「鮮度はいい。
まして価格も安いから売れる。」
かつて宮城県ではほとんど獲れなかったワタリガニ。
いまでは築地市場の取扱量の8割を占めるまでになった。
県内有数のワタリガニの漁獲量を誇る七ヶ浜町。
ここでも以前はほとんど獲れなかった。
状況が一変したのは東日本大震災以降である。
震災のあった平成23年の漁獲量は9トンだった。
それが3年前に500トンを超えて全国1位となり
その後も増え続けている。
(漁師)
「獲れすぎだ。
こんなに量があがることはなかった。」
なぜワタリガニが急増したのか。
宮城県水産技術総合センターは震災後の海底の変化に着目した。
センターの調査の結果
宮城県の沿岸部では海底の泥が大幅に増えていることがわかった。
津波の引き波で陸上や干潟の泥が海底に運ばれ
ワタリガニが生息しやすい環境ができたのではないかと分析している。
(宮城県水産技術総合センター)
「泥に潜って越冬することが知られている。
震災後に泥場がかなり増えていて
もしかしたらそれが
ガザミ(ワタリガニ)の越冬場所を大きく増やしたということがあるかもしれない。」
県や地元の漁協はワタリガニを新たな特産品にしようと動き出した。
5月 亘理町に東京の料理人などを招いた。
県産のワタリガニをPRするためである。
港の視察のあと試食会が開かれた。
地元の料理人が用意したのは4品。
ワタリガニを使ったグラタン
カニの身や卵をとじたゼリー
それにブイヤベースや塩ゆでしたカニである。
参加したのは東京の高級ホテルの料理長や有名店の社長らである。
視察に参加した人の中ではさっそく商品化の動きが始まっている。
都内に14店舗をかまえ海外にも進出している有名ラーメン店。
開発に取り組んでいるのはワタリガニのだしをベースにした冷やしラーメンである。
甲羅の下にカニの身やだしで作ったゼリーを盛り付け
涼しげに仕上げた。
宮城県産を前面に出し来月にも商品化されることになった。
(有名ラーメン店 店長)
「すごくだしがよく出てスープにいい味が出ている。
ラーメンでやれるコストでもあるので
すごく可能性があるのではないか。
積極的に使っていきたいと思う。」
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の水産業。
急増するワタリガニは新たな特産品となるか
関係者の期待が高まっている。
地元ではワタリガニを使った特産品の開発も検討されていて
復興の後押しになるのではと期待されている。