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リトアニア “歌う心”を次の世代に

2018-08-24 07:00:00 | 報道/ニュース

7月26日 国際報道2018


リトアニアで開かれた歌と踊りの祭典。
4年に1度開かれるこの祭りは
ユネスコの無形文化遺産に登録されている。
民族衣装に身を包んだ人たちが伝統的な歌や踊りを披露する。
リトアニアの人たちやリトアニアにルーツを持つ人たち
のべ3万6,000人が国内外から参加した。
(参加者)
「大勢の人がみんなで歌うことで大きな達成感が得られます。」
「みんなが力を合わせて
 リトアニアを作り上げることが大切です。」
6月 祭りを前にリトアニア第2の都市カウナスでは合唱グループが練習を繰り返していた。
中学生と高校生を中心にしたグループが歌うのは
リトアニアに古くから伝わる民謡である。
音楽教師のギエドレ・ラムネ・ペチュリエネさん(58〉がこのグループを指導している。
リトアニアでは
学校や地区ごとに合唱グループがいくつもあり
人々にとって歌は身近な存在である。
ペチュリエネさんも若いころから地元のグループで活動してきた。
(音楽教師 ペチュリエネさん)
「歌は大変な時もうれしい時も私たちを助けてくれます。
 唄はリトアニア人のアイデンティティなのです。」
ペチュリエネさんが歌が持つ力を実感したのは
リトアニアの独立運動の時だった。
旧ソビエトの一共和国として半世紀にわたって支配されてきたリトアニア。
1980年代の終わり
主権の回復を訴えて独立運動が始まった。
この運動は“歌う革命”とも呼ばれている。
独立を求める人々は
祖国に伝わる歌などを歌うことによって愛国心を高め
力を得たからである。
(音楽教師 ペチュリエネさん)
「時代の節目には必ず歌があり
 独立運動の時もそうでした。
 国を守るために起ち上がったのです。」
当時20代後半だったペチュリエネさんも家族や友人とともに運動に参加した。
1991年に旧ソビエトが軍を派遣した際には
議会やテレビ塔を守る群衆の中にいた。
♪ 偉大な神よ お守りください
この時も歌を歌うことで互いに励まし合ったと言う。
(音楽教師 ペチュリエネさん)
「私たちは暴力の頼らす
 歌い
 祈りました。
 勝利を信じ
 実際に独立を勝ち取ったのです。」
本番当日
ペチュリエネさんは祭り会場に向かう途中
子どもたちを議会前の広場に連れて行った。
子どもたちが生まれる前
どのような思いで人々が独立を求めて闘っていたのかを伝えたかったからである。
(音楽教師 ペチュリエネさん)
「私たちの議会を守るために毎日ここに通っていました。
 ソビエトが我々の独立に対して怒り
 自由を認めようとしなかったのです。」
みんなで合唱したのは
独立の願いを込めた歌である。
♪ 鳥たちよ 泣かないで
 兵隊は元気に帰ってくる
そして迎えた本番。
この日のために練習してきた古くからの民謡を披露する。
♪ 靴の木型のリンデンの木よ
 美しきリンデンの木よ
一緒に歌う観客たち。
会場は一体感に包まれた。
(生徒)
「歌は昔から歌い継がれ
 リトアニアの歴史そのもの。
 とても大切です。」
(音楽教師 ペチュリエネさん)
「歌を通じて社会の絆を感じたはずです。
 将来 歌うことを誇りにするでしょう。」
子どもたちに歌う心を未来につないでほしい。
ペチュリエネさんはそう願っている。



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