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IS戦闘員だった子どもたち 解放後の新たな苦しみ

2018-08-14 17:30:00 | 報道/ニュース

7月23日 国際報道2018


イラクとシリアの広大な地域を支配した過激派組織IS。
支配地域を広げるなかで街の子どもたちを拉致するなどした。
そしてこうした子どもたちを将来のISを支える人材として
徹底した思想教育や戦闘訓練を行ったのである。
さらに戦闘の最前線に立たせたほか
大人よりも警戒されにくいことから自爆テロも強制するなど
重要な戦力として子どもたちを利用した。
数万人の戦闘員のうち こうした子どもたちは3,000人にのぼるとされているが
正確な実態は分かっていない。
ISが拠点を相次いで失い事実上崩壊するなか
戦闘員だった子どもたちがISの支配から逃れて次々と社会に戻ってきている。

ISから逃れた人たちが多く避難するイラク北部の町 ドホーク。
ISの戦闘員だった17歳の少年は今年3月までの4年間をISのもとで過ごした。
ふるさとがISに襲われ
家族23人が拉致された。
このうち兄妹2人は殺害され
5人は行方不明のままである。
ISが弱体化し監視の目が弱まるなか
家族が仲介業者などを頼ってなんとか連れ戻した。
(母親)
「言葉にできないほどうれしかったです。
 4年間 1度も会えませんでしたから。」
少年は13歳のときISに拉致され
戦闘員として過酷な訓練を受けた。
(ISの元戦闘員の少年)
「朝の4時から夕方まで一日中走らされました。
 指導役がバイクで後ろからついてきて遅れると足元に発砲するんです。
 断れないし出来ないとは言えませんでした。」
その一方で指導役のリーダーは訓練以外では優しく接してくれたと言う。
(ISの元戦闘員の少年)
「お互い認め合っていました。
 今も彼が私のリーダーです。」
やがて激しい戦闘の最前線に何度も立たされるようになった。
ISのもとで戦う姿がプロパガンダ映像にも残っていた。
「7日間にわたって休むことなく銃撃戦を続けました。」
ISでの戦闘について淡々と話していた少年。
しかし突然・・・。
「死んだ友だちのことをいつも思い出します。
 ISのことは忘れたいです。」
目の前で何人もの仲間が死んでいった戦場の凄惨な光景が
今も脳裏から離れないというのである。
ようやく訪れた穏やかな日常。
しかしISで過ごした激しい戦闘の日々との落差に戸惑い続けている。
学校にも通う気にはなれず家で時間をつぶす毎日である。
感情の起伏が激しくなり家族にもきつく当たることが増えた。
(母親)
「“家に戻ってきて後悔してる”なんて言うのです。
 食事も服も生活の何もかもが嫌だと。
 自分が育てた息子とは思えません。
 昔は本当に優しい子だったのに。」
(父親)
「息子は殺人やテロの中で育ったのです。
 ISの思想は抜けていません。
 私たち家族の中でISはまだ終わっていません。」
ISに強いられた残虐な行為の記憶と今も戦闘員を慕う気持ちの中で葛藤を抱える少年。
この先どう生きて行けばよいのか
それすらも分からないままである。
(ISの元戦闘員の少年)
「拉致される前の昔の生活や楽しかったことを思い出します。
 何もかもが変わってしまいました。」
ISは子どもたちに対して戦闘訓練を行なうだけでなく心まで支配していった。
子どもたちと信頼関係を作り上げ
“自爆テロをすれば天国に行ける”など徹底した思想教育を行なった。
(IS戦闘員)
「漫画やサッカーなんてくだらない。
 自爆攻撃が君たちを大人にする。
 君たちは勇ましいライオンだ。」
“幼いときに刷り込まれた洗脳を解くことは簡単ではない”と
ISの実態を追うシリアのジャーナリストは指摘している。
(ISの実態解明を目指すシリア人ジャーナリスト)
「子どもたちにとって殺人や処刑が日常になっていて
 すぐに洗脳が解けるわけではありません。
 社会復帰ができるように注意深く対処するべきです。」
子どもたちをISから断ち切ろうという取り組みが始まっている。
イラク北部の地元政府は子どもたちへのカウンセリングを行っている。
10歳のときにISに拉致された少年。
殺人など残虐な行為を繰り返し強制された。
現在14歳になった少年。
月に1度 心理療法士との面談を続けている。
(10歳でISに拉致された少年)
「人を殺した時は特に何も。
 そのときはISのメンバ―と同じ感覚でした。
 悪いと思いませんでした。」
ISでの凄惨な体験をようやく語り始めた少年。
社会復帰に向けて厳しい道のりが続いている。
(10歳でISに拉致された少年)
「何で殺さないといけなかったんだろう。」
(心理療法士)
「ISの影響を強く受けて性格が大きく変わっています。
 成長した時にどうなるのかは誰にもわかりません。」




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