7月24日 キャッチ!ワールドEYES
6月 シンガポールで
アジア太平洋地域の安全保障について話し合うアジア安全保障会議が開かれた。
例年 南シナ海の領有権争いが大きなテーマとなる会議で
今回 北朝鮮問題とともに注目を集めたのは
インド洋にも広がろうとしている中国の海洋進出に対するインドの反応だった。
中国の海洋進出 軍備増強に各国から強い懸念が示されているなか
アジアのもうひとつの大国インドに期待が高まっている。
そしてインド軍も大きく変わろうとしている。
インドのモディ首相は各国の国防関係者を前に中国の海洋進出を批判した。
(6月1日 インド モディ首相)
「地域の秩序は国の大きさや力に関係なく
すべての国が平等な立場で築くべきです。」
そしてインド洋のすべての国々にとって
安全と発展のために
政治的 経済的 軍事的なつながりの強化が重要だと訴えた。
このモディ首相の発言を後押ししたのがアメリカだった。
(6月2日 アメリカ マティス国防長官)
「モディ首相が強調したインド洋でのインドの主導的役割は
地域や世界の安全保障上とても重要です。」
インド軍は今アメリカ軍に代わりインド洋の安全保障の要となっている。
インド軍が展開している場所として公表されたインド洋の地図によると
海軍の艦艇がアフリカの中部まで進み
広い範囲を巡回して警戒にあたっていることがわかる。
今年3月にはインドの離島 アンダマン・ニコバル諸島沖で
インドの呼びかけで合同軍事演習を行った。
参加したのはオーストラリアに加え
インドネシア マレーシアなどの東南アジア諸国
中東のオマーンや東アフリカのタンザニアなど
インド洋に面する16カ国である。
(インドネシア海軍 将校)
「インドネシア海軍はインド洋の周辺国とともに
インド海軍との連携をさらに強めていきたい。」
インド軍はこの演習の目的がシーレーン=海上交通路の安全を確保し
国際法に反する行為に対処する作戦だと強調。
中国を強く意識した演習であることを示唆した。
(インド海軍 ランバ参謀長)
「中国はインド洋に常時6~8隻の艦艇を配備しています。
我々は24時間体制で監視を続け情報収取をしています。」
インド洋に入ってきた中国軍の艦艇をインド軍がツイッター上に掲載した。
“目を光らせているぞ”と言わんばかりに中国をけん制している。
海上だけでなく陸上でもインド軍の役割が変わってきている。
去年インドと中国の国境沿いで中国が進めた道路建設を巡り対立。
両軍が2か月以上にらみ合うことになった事態を受けて
山岳での戦闘を想定した武器の開発を急いでいる。
(インド陸軍 ラワト参謀長)
「これまで西パキスタンの前線ばかり警戒していましたが
北(中国)の国境にシフトする時が来ました。」
今年4月にインド国内で開かれた兵器の見本市。
参加した軍事関連企業670社のうち75%をインドの企業が占めた。
パキスタンに加え中国という仮想敵国に備えるためには
膨れ上がる防衛費を抑えながら装備を充実させなければならない。
そのため現在60%以上を輸入に頼っている武器の国産化を進めようと
インドの企業に開発を競わせているのである。
(マヒンドラ・グループ シュクラ社長)
「軍が必要とする装備は何でも作りアフターサービスもしっかりやります。」
今年4月インド軍は陸海空の3軍による過去最大の訓練を14日間にわたって実施。
目的はパキスタンと中国を同時に相手にした二正面作戦の時の部隊の動き
武器の配置を確認することである。
その一部がメディアに公開された。
中国と国境を接する北東部。
中国も領有権を主張し1962年には両国の軍事衝突が起きた山岳地帯である。
兵士や武器を積んだヘリコプターや大型輸送機が相次いで到着していた。
(インド空軍 報道官)
「こうした場所では
必要な部隊や装備をいかに早く到着させるかが
戦況を有利に進めるうえで重要です。」
訓練では戦闘機による爆撃シミュレーションも実施。
西のパキスタン国境沿いから北の中国との国境沿いまでの速やかな移動を想定し
国産の巡行ミサイル“プラモス”も実際に搭載させた。
(インド シタラマン国防相)
「西と北の国境では戦い方が異なります。
私たちは実戦を想定したいかなる準備も怠りません。」