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中国伝統の土楼 受け継いだ生活を守る

2019-05-09 07:00:00 | 報道/ニュース

4月16日 国際報道2019


土楼(どろう)は中国福建省にある土の壁が特徴的な巨大建造物である。
土楼は大きいもので数百人が生活できる いわば大型マンション。
土楼を建設したのは
古くは4世紀ごろから戦乱を逃れこの地に移り住んだとされる人たち。
自然災害や野生動物などから身を守るため巨大な土の壁の中にコミュニティーを作ったのである。
そこでの密接な住民同士の関係は共同体の結束を強める役割も果たしてきた。
2008年には一部の土楼が世界文化遺産に登録され
国の内外から多くの観光客が訪れるようになっている。
(観光客)
「土楼は初めてで
 とても新鮮。
 先人たちの文化はすばらしいわ。」
ただ世界遺産に登録され保存されたのは46棟のみ。
福建省の地域だけで土楼は3,000余あるとされている。
世界文化遺産のある地区のはずれでは朽ち果てた土楼は野ざらしで残され雑草で埋もれてしまっている。
年月を経て劣化が激しくなった土楼から新しい住宅に引っ越す人が相次ぎ
危機に瀕している土楼は少なくない。
林さん(36)は自身も土楼で生まれ育った。
土楼ならではの住民同士が近い生活が幼い頃の思い出として今も脳裏に焼き付いている。
(林さん)
「おなかがすいたら隣や向かいの家でご飯を食べさせてもらいました。
 土楼の住民たちのつながりは良いものです。」
その後 土楼を出て北京に住んでいた林さん。
4年前
故郷の土楼が老朽化で崩れ始めたことを知り
先祖から受け継いだ暮らしを守りたいと
土楼の修復に取り掛かった。
建築学の名門大学の知人に設計を依頼。
資金は住民の寄付やインターネットを通じて調達し
ボランティアたちとともに崩れた壁を補強した。
引っ越しを考えていた住民もこれまでどうり生活できるようになったと言う。
(住民)
「皆とっても喜んでいます。
 住むのが快適になりました。
 雨漏りも気になりません。
 それに安全になりました。」
これを受けて林さんのもとには別の土楼の住民からも相談が次々と舞い込むようになった。
(住民)
「修理しないと雨が降れば崩壊してしまいます。」
しかし修復は時間のかかる地道な作業である。
外壁が去年起きた地震で大きく損傷した土楼は地盤沈下も確認された。
工事の進め方ひとつとっても住民同士が対立することがしばしば。
住民の合意を取り付けるのは容易ではない。
それでも林さんは土楼を後世に残すため粘り強く向き合っていく覚悟である。
(林さん)
「土楼が抱懐すれば
 数百年続く伝統を次世代に引き継げません。
 必ず歴史ある故郷の土楼を再建してつないでいかなければならないのです。」



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