5月8日 おはよう日本
中国の若者の間で大流行したドラマ「延禧攻略」。
インターネットで配信され
視聴回数は延べ180億回を記録。
社会現象にまでなった。
ドラマの舞台は清の時代の宮廷である。
王宮の宮女たちが権力闘争を繰り広げのし上がろうとする姿を描いている。
高まる人気を背景に去年8月にはテレビでの放送も始まった。
(視聴者)
「おもしろい。
敵討ちがとても痛快です。」
「友だちも家族も周りはみんな見ています。」
ところが今年1月
共産党直系の新聞がこのドラマを批判する社説を掲載し波紋を広げた。
“宮廷文化の負の面を描くことの影響は軽視できない”
”権力闘争は社会主義の価値観と会わない”
社説を受けこのドラマのテレビ放送は途中で打ち切りに。
さらにネット動画の配信会社の間で
共産党の意向を忖度して
ほかの宮廷ドラマの配信まで自粛する動きが広がったのである。
締めつけの強化はインターネットの個人ユーザーにも及ぼうとしている。
日本のニコニコ動画に似た中国のサイト。
政府を批判するようなコメントでも検閲を経ずリアルタイムで投稿されてしまう。
政府の役人をからかうようなコメントも。
”女神 来た 来た”
”女神は正月太りしたようだ”
このサイトについても共産党は直系のメディアを通じて
1日数百万にのぼるコメント1つ1つ検閲すべきだと主張したのである。
さらに規制は芸術の分野にも及んでいた。
数千人の芸術家が暮らす北京郊外の宋荘地区。
画家の王さん。
2年前 突然政府の役人が来て作品を1つ1つ検閲したという。
その時 当局が問題とした絵。
フランスの画家ドラクロワがフランス革命の民衆の放棄を描いた作品をモチーフにパンダの放棄を描いた。
(画家 王さん)
「私は“文化を表現しただけだ”と説明しましたが
当局から絵に何らかの思想があると言われ
暴力を助長しているのではないかと追及されたのです。」
政府の許可がないと展覧会を開くことも難しくなった。
自分の描く絵の内容に当局がどう反応するか意識しながらキャンパスに向うようになったという。
(画家 王さん)
「以前より締めつけが厳しくなったと感じます。
作品を作るための開かれた自由な環境が欲しいのです。」
ドラマや芸術にまで管理を強める共産党。
中国社会はますます自由にものが言えなくなっている。