4月23日 キャッチ!世界のトップニュース
アジア開発銀行は
中国との貿易に大きく依存する東南アジア経済について
今年の視聴率を去年より0,2ポイント低い4,9%と予測。
東南アジア10か国のうちタイやベトナム マレーシアなど半数の国では
去年を下回る見通しを示している。
タイ商務省が毎年開いている国産品の輸出拡大を図る商談会。
今年は過去最大の約500社が参加し海外から来たバイヤーに地元の食品などを売り込んだ。
去年のGDPが4,1%と6年ぶりの高い水準となるなど好調なタイ経済。
しかし成長をけん引してきた輸出は
中国向けの不調が響き減速感を強めている。
今年1月の中国への輸出は前年同月比で約17%減った。
(タイ商務省 幹部)
「米中の貿易摩擦などの外部要因はわが国にはコントロールできません。」
マンゴーなどのドライフルーツを販売する食品会社。
売り上げの大半を中国への輸出が占めているが
去年の秋以降 注文が大きく減少。
去年1年間の販売実績は当初の見込みを25%下回った。
アメリカとの貿易摩擦が続く中国経済の減速の影響だと感じている。
(食品販売会社)
「米中の貿易摩擦は収入に直接の打撃です。」
商品の生産を委託している工場の経営者を訪ねた。
この工場は自社の商品だけでなく他社から委託された商品も生産しているが
食品販売会社のように中国への輸出が減ったという取引先は少なくないという。
中国に頼り切った販売戦略の見直しを迫られている食品販売会社は
日本などの新たな市場の開拓にともない商品の生産体制を整えてほしいと申し入れた。
(食品販売会社)
「新しい取引先を見つけました。
日本の有名小売業者です。
注文に備えて生産体制を準備してもらえますか?」
(製造会社CEO )
「生産拡大の準備はできています。」
(食品販売会社)
「中国の取引先はより慎重になっています。
中国との貿易リスクを減らすためにはより多くの国に対する販売戦略が必要です。」
一方 米中の貿易摩擦は中国企業の東南アジア進出を加速させている。
企業の会議室や学校の教室向けに液晶ディスプレイの製造販売を手掛ける中国メーカーは
この春からタイでも販売を始める。
タイの販路拡大とともにいま本社で準備を進めているのが
海外初の工場をタイに建設することである。
工場建設の背景には
米中貿易摩擦の長期化を受けて
商品の製造そのものを海外にシフトしようとする中国企業の動きがある。
(中国液晶メーカー タイ法人)
「この液晶パネルはアメリカ市場でも人気です。」
アメリカの制裁措置で中国の工場から輸出するこの製品も10%の完成がかかり輸出は大きく減少。
関税を避けるためにはタイでの工場建設が不可欠だと判断した。
3年後の稼働を目指し工場用地の選定も始めている。
(中国液晶メーカー タイ法人)
「我々の顧客のテクノロジー産業は価格にとても敏感です。
タイ工場の建設は米中貿易摩擦で生き残るためと
世界中からの需要に応えるための生存戦略なのです。」
東南アジアの国々にも広がる米中貿易摩擦の余波。
その影響を見極め如何に適応していくか。
企業の模索が続いている。
東南アジアでは輸出が減少する一方で国内需要は好調な国もあるため
景気が冷え込むとまでは言い切れない。
しかし中国が最大の貿易相手国であるだけに中国がリスク要因であることは間違いない。
中国側の統計でみても
東南アジアからの輸入は去年の秋以降 急ブレーキがかかっている。
中国のタイヤメーカーに天然ゴムを供給する企業からも注文が減っていて
新たな市場の開拓は待ったなしという声が聞かれる。
こうした事態が長期化すれば東南アジアの景気にさらに水を差しかねない。
中国ではここ数年 経済発展にともなって人件費が上がっている。
周辺国にビジネスを拡大する意味でも
東南アジア
特に製造業が盛んなタイやベトナムなどが工場の新たな進出先として注目されていた。
そうした中で起きた米中の貿易摩擦が中国企業の背中を押している。
東南アジアの国々としては人件費の安さや人材の優秀さをアピールして投資を呼び込みたいところである。
タイのほかにもベトナムなどで中国企業による工場建設の予定があるという。
東南アジアの国々は中国経済の減速は逆風だとしながらも
いわば“漁夫の利”を狙えるという楽観的な見方がある。
アメリカと中国が互いに関税をかけあうなかで両国の輸出を肩代わりできるのではないかととらえているようである。
しかし世界1位と2位の経済大国の対立は両国に大きなダメージを与えるだけでなく
その悪影響は世界経済に波及する。
そういう意味でも中国の景気減速の背景にあるアメリカとの貿易摩擦がこれ以上エスカレートせず
今のうちに収束してほしい。
そういう思いで東南アジアの国々は米中の協議の行方を注視している。