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南アフリカ 「虹の国」はどこへ

2019-05-29 07:00:00 | 報道/ニュース

5月8日 国際報道2019


1994年 南アフリカ マンデラ大統領(当時)
「黒人も白人も胸を張って歩ける人間の尊厳が保証された社会
 虹の国を作ることを約束する。」
南アフリカでは黒人解放運動の闘士ネルソン・マンデラ氏が
アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃して
誰もが平等に暮らせる「虹の国」を宣言した。
それから25年
マンデラ氏の理想を受け継いで政権を担い続けてきたANCが逆風にさらされている。
新興国として注目される南アフリカだが
いぜん多くの黒人が貧困に苦しみ
白人との経済格差が大きいほか
相次ぐ汚職事件などで国民の間ではかつてないほどANC(アフリカ民族会議)への不満が高まっている。
こうしたなか
白人農家の土地の収用など急進左派的な主張を掲げるEFF(経済的開放の闘士)が
ANCへの批判を繰り返し
若者を中心に支持を伸ばしている。
(野党EFF マレマ党首)
「白人よ 富の独占はさせない。
 もしわれわれ黒人との富の共有を拒むなら破壊してやる。」
(南アフリカ ラマポーザ大統領)
「ANCのメッセージは“国の結束”だ。
 憎しみは持ち合わせていない。」
いつまでたっても縮まらない白人と黒人の経済格差への怒りがある。
世界銀行の統計によると
南アフリカは地球上でもっとも経済的に不平等な国である。
それとともに25年前にマンデラ氏が黒人初の大統領になって以来ANCが進めてきた人種の融和路線への批判が出ている。

南アフリカで最も長い歴史を誇る名門ケープタウン大学。
大学の中心部にはかつてイギリス植民地時代にこの地域を支配した」セシル・ローズの像があった。
しかし4年前大学当局はこの像を撤去した。
今も続く白人優位の社会・経済を象徴していると黒人の学生たちが批判したからである。
像の撤去を呼び掛けたソミヤさん。
ソミヤさんは白人政治家の名前を冠した大学の施設などもついて
名称の変更を求める運動を行っている。
イギリス人の名前が付けられているホールも
ソミヤさんたちの働き掛けで
かつて白人によって奴隷にされた黒人女性の名前に変えられることになった。
(ソミヤさん)
「民主的で自由な南アフリカを目指しているのに
 いつまでも欧州の圧政と植民地主義の歴史が押し付けられるのはおかしい。」
しかしこうした動きに白人の学生団体から反発が出ている。
団体の幹部ピーターズさん。
植民地主義を擁護するつもりはないというが
自分たちの伝統や文化が消し去られようとしていると憤っている。
(ピーターズさん)
「まるで白人の歴史を削除して書き直しているかのようだ。
 現政権の汚職や経済政策の失敗を隠すためやり玉にあげられている。」
黒人と白人のあいだの分断は今や南アフリカの社会全体に広がっている。
1600世帯が暮らす住宅街。
住民どうしの取り決めで
事実上 白人しか暮らせない。
さらにこの住宅街の中では独自の金券が発行され
黒人と白人の共存を掲げる政府と一線を引こうとしている。
この住宅街の物件を販売する不動産会社には
いま入居希望者がひっきりなしに見学に訪れている。
この住宅街に一昨年引っ越しt北ドゥトイトさん夫妻。
長年 黒人を雇って農園を営んできたが
その土地を手放してここへ移り住んだ。
この街は黒人を排除しているのではないかという問いに対して
夫妻は「自分たちの文化や価値観を大事にしたいだけだ」と答えた。
(リニー・ドゥトイトさん)
「誰にも邪魔されず穏やかに暮らしたいだけ。
 この国から“虹”は消えてしまったのです。」

 

 

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