4月17日 国際報道2017
ドイツ政府は4月17日
今年の経済成長率の見通しを下方修正して
成長率は+0,5%と6年ぶりの水準にとどまる見込みだと発表した。
首都ベルリンは暖かい季節を迎え街の人たちも明るい表情。
失業率は5,1%と東西ドイツ統一後 最低水準。
賃上げも広がり小売りやサービス業などが好調で景気をけん引している。
ところが
(ドイツZDF)
「ドイツの景気上昇は終わった・・・。
国内の主要な経済研究所は成長率の見通しを引き下げました。
イギリスが“合意なき離脱”をすれば状況は悪化するとみられます。」
ドイツ経済襲う苦難① イギリスのEU離脱
ヨーロッパが頭を抱えるイギリスのEU離脱。
期日は再び延期され“合意なき離脱”はひとまず回避されたが
不透明な先行きはヨーロッパ最大の経済大国ドイツに暗雲をもたらしている。
ドイツはEU加盟国の中でもイギリスへの輸出が最も多く
“合意なき離脱”となれば関税の手続きや物流の混乱で大きな損失が出るとみられているからである。
さらにドイツ経済は主力の製造業が減速している。
ドイツの経済研究所が発表したドイツの景況感指数をみると
去年8月から7か月連続で下落している。
景気の現状にも見通しにも悲観的な見方が増えているということである。
製造業に何が起きているのか。
ドイツの製造業の主翼を担うのが自動車産業。
従業員約1万人の自動車部品メーカー。
中国やアメリカなどにも工場があり大手自動車メーカーと取引するほどの規模だが
中国の景気減速などのあおりを受けて受注が減っている。
ドイツ経済襲う苦難② 微衷貿易摩擦
中国への輸出依存度が高いドイツの産業にとって中国の景気減速は大きな痛手となっている。
このメーカーは去年の営業利益が前年から30%減少。
今年は2002年の上場以来初めて配当を見送った。
(自動車部品メーカー CEO)
「米中の協議はまったくの無益です。
こんな状況になっているのはアメリカの大統領のせいですよ。」
長期化するアメリカと中国の貿易摩擦が
“世界最大の自動車市場”と言われる中国の景気を直撃したのである。
(自動車部品メーカー CEO)
「中国は世界最大の自動車市場です。
中国市場の減速は世界経済に影響を与えます。
世界に誇るドイツの自動車製造業にとって中国は重要な市場なのです。」
堅調なドイツ経済が足元から揺らぎかねない状況に
メルケル首相は3月
中国の習近平国家主席と同席した首脳会談で強い懸念を示した。
(メエルケル首相)
「米中貿易協議の行方を関心を持ってみている。
協議がうまくいかなければドイツ経済にも影響が及ぶ。」
さらに専門家は
アメリカの標的になるのは中国だけではないと指摘する。
トランプ大統領はドイツの巨額の貿易黒字を繰り返し批判していて
新たな標的となる恐れもある。
(コメルツ銀行 チーフエコノミスト クレーマー氏)
「トランプ大統領による輸入車への関税上乗せ
その脅威はまだ終わっていません。
今はただ休戦しているだけです。
そして残念なことにEUにはまだあおりを受ける準備ができていないのです。」
冷え込む外需を内需がカバーして何とか持ちこたえているドイツ経済だが
製造業の落ち込みが続けば
今後 内需にも陰りが出てくるものとみられる。
製造業の回復がドイツ経済の先行きを左右しそうである。