4月13日 NHK「おはよう日本」
新型コロナウィルスの死者・感染者共に世界で最も多くなったアメリカ。
いま大きな課題になっているのが
経済的な問題を抱えた人や不法移民など医療保険に加入できない無保険者の存在である。
その数約2,800万人。
人口の8%にのぼるとされている。
この無保険の人たちがPCR検査を受けるとなると
場合によると1,000ドル(約11万円)もかかってしまう。
人口に占める無保険者の割合が全米で最も高いテキサス州。
病院に頼ることが出来ない無保険者の1人
ダンスインストラクターのグティエレスさん。
感染を絶対に避けようと家に閉じこもり
他人との接触を一切避ける生活を続けている。
(グティエレスさん)
「触れ合ったり握手するなど他人との接触を避けているんです。
自己防衛のためです。」
水や食料など最低限必要な物資を買いだめし自宅にこもっているという。
「2週間は持つと思いますし
なくなったらネットで注文して補充します。」
しかし事態の収束が見えない中で
いずれ自分も感染するのではないかと不安な日々を送っている。
「今は自分が感染しているのか全く分からない。
命に係わる状況になれば病院に行くかもしれないが
そうなれば貯金の多くが消えてしまう。
入院や高度な治療を受けることになれば巨額な費用がかかり
私の貯金ではまかなえない。」
実際 無保険者が病院から高額な代金を請求されたケースも起きている。
症状が出たため検査と治療を受けたところ
3万5,000ドル(約400万円)請求された人もいて
波紋が人がっている。
テキサス州の無保険者への医療支援団体。
感染した場合の治療費ついて心配する無保険者から問い合わせが相次いでいるが
実際に受診するケースは少なく
症状が手遅れになることを懸念している。
(医療支援団体 カマチョ事務局長)
「無保険者が検査を受けるのを先延ばしにして
ここに来ることにはもう病状が悪化しているといった事態にならないか
心配だ。」
無保険者の中でもとりわけ多いのが不法移民の人たちである。
18年前 メキシコからやって来たラミレスさん。
夫は2月に移民局に逮捕され収監されている。
現在は10歳の娘と2人暮らしである。
感染拡大が最も深刻なニューヨークに暮らしているが
病院には絶対に行かないという。
(ラミレスさん)
「滞在資格がないので病院に行って逮捕されるのが怖いのです。
体調が悪くなっても病院には行かないつもりです。」
公衆衛生の専門家は
無保険の人たちが適切な医療を受けられないまま社会生活を続ければ
さらなる感染拡大を招きかねないと警告している。
(南カリフォルニア大学 クスノー教授)
「こうした人たちは潜在的にウィルスを持ったまま仕事や学校へ行く。
誰がそうなのか知る由もない。
感染者が仕事のため社会に出続ければ
感染を広めることになってしまう。」