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感染者急増のイスラエル 対策はばむ“教え”

2020-05-06 07:00:00 | 報道/ニュース

4月16日 NHKBS1「国際報道2020」


新型コロナウィルスは中東でも猛威を振るっている。
人口の多いイランとトルコでは感染者がいずれも約7万人となっている。
ここにきて急激に感染者が増加して中東で3番目に多くなっているのが
人口850万のイスラエルである。
イスラエルの感染者は3月上旬の時点では10人程度だった。
政府はこの段階で早めに対応して
3月12日には外国人の入国を事実上拒否する措置を取った。
その1週間後の3月19日には
買い物などを除いて外出を禁止するロックダウンを発表している。
さらに医療資材を大量に調達するために投入したのは
情報機関の「モサド」であったり
自宅隔離となった人を見張るために使ったのは
テロ容疑者の追跡に用いるサイバー技術だった。
いわばなりふり構わず対策を打ってきたわけだが
ところが4月16日現在の感染者数は1万2,000人超となった。
その背景には
科学に基づいた政府の規制よりも
宗教の教えを優先しようとする人々の存在があった。

イスラエルで急速に増えている感染者。
その約半分を占めるのが“超正統派”と呼ばれる人たちである。
超正統派はユダヤ教の教えを厳格に守った暮らしを送っている。
ほとんどの人が仕事に就かず兵役も免除され
宗教学校で教えを学ぶことに人生を捧げている。
こうした人たちはイスラエルの人口の12%を占める。
超正統派が暮らすエルサレム中心部のメアシェアリム地区では
いま警察の摘発が相次いでいる。
感染拡大を防ぐため
政府は礼拝施設や宗教学校の閉鎖を指示し
利用を禁止している。
しかし教えを守るためとして
こうしたルールに違反する人たちが後を絶たないのである。
(警察官)
「10人以上の集会は禁止だ。
 5,000シケル(約15万円)の罰金だ。
(超正統派)
「警察は神を信じないのか?」
 ユダヤ教の聖典は祈りをささげることこそが
 病気やパンデミックから身を守ることだとしているのだ。」
(警察官)
「保健省のルールを知らないのか?」
(超正統派)
「保健省など知ったことか!」
なかにはウィルスに感染しても隔離に従わない人もいる。
(警察官)
「我々警察は感染者がこの地区に逃げ込んだのを突き止めた。
 ルールに従わない感染者を確保した。」
超正統派はどうして政府の指示に従わないのか。
きっかけは権威を持つ聖職者の示した見解だった。
「政府の規則通り 宗教学校をやめるべき?」
(聖職者 カイム・カニエブスキー氏)
「それは神が許さない。」
「感染が怖い人がいます。」
「宗教学校の閉鎖はあってはならない。」
聖職者の見解に従い
超正統派の人たちはルール違反の行動を続けたのである。
また超正統派の人たちの情報へのアクセス手段が限られていることも
対策の浸透を妨げている。
頼りにするのは街なかの壁新聞。
教えに反するとして
インターネットの使用やテレビの視聴も禁じられている。
超正統派の感染は政権の中枢にまで広がり深刻化している。
ネタニヤフ首相は超正統派の支持者からなる政党を
重要な連立パートナーとして長年配慮してきた。
超正統派のリッツマン保健相はウィルス対策の責任者でありながら自らが感染。
禁止されている集団礼拝に参加したためだとされ
首相自身も隔離を余儀なくされたのである。
こうした事態に国民の間では超正統派への怒りとともに
それでも配慮を辞めないネタニヤフ首相を批判する声が上がっている。
(政治専門家 マツリアク氏)
「超正統派は感染防止のルールを全く守っていません。
 他の市民と同様に
 国の言うことに耳を傾させなければなりません。
 ネタニヤフ政権は超正統派との関係を見直すべきです。」
 
 

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