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南アフリカ 感染拡大でも経済活動再開へ

2020-05-24 07:00:00 | 報道/ニュース

4月30日 NHKBS1「国際報道2020」


アフリカで最も感染者の多い南アフリカ。
南アフリカ政府は3月27日にロックダウンを始めた。
それから1か月余
感染者は増え続け
4月29日には感染者は5,350人となっている。
南半球はこれから冬を迎える。
政府は感染のピークが7月から冬の終わりごろの9月の間に来ると予測している。
それにもかかわらず
南アフリカ政府は5月1日から
鉱山や製造業などで経済活動の一部を再開すると発表した。
活動を再開して150万人が仕事に復帰するとしている。
規制を緩和せざるを得ない現状とは。

ケープタウン。
商店へ押し寄せる人々や輸送トラックを襲撃し食料を略奪しているとされる映像。
ロックダウンが始まって1か月余。
略奪や暴動が増え続けている。
その背景には
ロックダウンで人々が窮地に立たされていることがある。
ヨハネスブルグ郊外にある貧しい黒人が暮らす地区。
ポヨさん(67)は
妻と娘
それに孫たち5人を養っている。
収入は日本円で約1万7,000円の年金だけ。
それでは到底足りない生活費は日雇いの仕事で賄ってきたが
ロックダウンでほとんどできなくなった。
(ポヨさん)
「世界共通のロックダウンに理解はできますが
 生活のことを考えるとお手上げです。」
国民の半数近くが貧困層という南アフリカ。
失業はそのまま生存の危機に直面している。
家族はロックダウンが始まってから1度だけNGOによる食料の配給を受けた。
数週間前に受け取った食料もわずかしか残っていない。
(ポヨさんの妻)
「昼ご飯を抜いて
 夜ご飯まで我慢させることもあります。
 孫たちは理由がわからず泣き続け
 近所から何かもらってしのぐこともあります。」
政府の調査では
国民の4人に1人が“食べ物を買う金が尽きた”としている。
失業手当の制度もあるが
いつ受け取れるのかははっきり分かっていない。
こうしたなかで事態は悪化。
略奪行為は学校にまで及んでいる。
ある高校では給食室の食糧やパソコンなどの備品まで盗まれ
証拠を消すためか火を放たれた。
子どもたちが勉強のために使う辞書などもすっかり焼けてしまった。
全国各地でこれまでに180以上の学校が被害にあった。
(校長)
「子どもの未来を奪っています。
 まさか学校が燃やされるなんて。」
治安を維持するため政府は
全土に2千人余配備した兵士を7万人にまで増員することにしている。
しかし治安部隊による人権侵害が相次ぎ
人々の政府への反発は高まっている。
地元メディアでは治安部隊による高圧的な態度や違反者への嫌がらせのような体罰が連日のように報道されている。
さらに自宅の庭先で住人がパトロール中の警察官たちに銃撃され死亡する事件も起きた。
警察官らは逮捕されたが
銃撃された理由は捜査中とされ未だにわかっていない。
これまでに治安部隊に銃撃されるなどして9人が死亡した。
ロックダウンの長期化で追い込まれる貧しい人たち。
政府は経済活動の一部再開に踏み切らざるを得なかったのである。
(南アフリカ ラマポーザ大統領)
「感染拡大防止のためにはロックダウンは最も効果的だろうが
 国民は食べていく必要がある。」

国民の受け止め方は複雑である。
ロックダウンの緩和が始まることを歓迎する声があり
中には経済活度のはもっと緩和を急ぐべきだとの声もある。
その一方で
感染者が増え続けているなか緩和している場合ではないという声もある。
こうした受け止めの違いは
その人の経済的な状況によるところが多いようである。
南アフリカは世界銀行の統計では
世界で最も貧富の格差が激しい不平等な国である。
富裕層は買いだめができ広い家に住んでいてロックダウンを過ごしているが
経済的に貧しい黒人が密集して暮らす地区では
治安が不安定化し緊張が高まっている。
格差と貧困の問題を放置してきたつけ
ロックダウンによってあらわになっている。
感染の広がりは覚悟の上ということのようである。
南アフリカ政府は当初から
ロックダウンしても感染者の数を減少させることはできず
できるのはピークを後ろにずらすことだけだとしている。
実際に今回
1か月余のロックダウンによって感染のピークを数か月ずらすことができ
その時間を利用して
医療や隔離の体制づくりをしているという。
そのうえで政府は緩和に合わせて
新たにマスクの着用を義務化するほか
外出禁止令などを出し
観戦爆発を防ぎたい考えである。
他のアフリカ諸国はおおむね南アフリカを同じような状況である。
ガーナやナイジェリアでも感染者数は増えているが
ロックダウンを緩和する動きが出ている。
南アフリカと同様
貧困層を中心に国民生活があまりにも困窮し
いわばギブアップした形である。
感染症は先進国だけで落ち着いても
途上国で広がれば
第2波 第3波として先進国にも波及する。
アフリカでの感染の広がりは決して対岸の火事ではなく
国際社会は支援を続けていくことが求められている。

 

 

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