5月8日 NHK「おはよう日本」
去年
政府に対して
民主化などを求める大規模なデモが繰り返されてきた香港。
新型コロナウィルスの感染拡大によって
街頭での活動が大きく制限される事態となっている。
厳しい状況のなか
デモの参加者たちは
意外な場所でも抗議活動を始めた。
ゲームをしているのは民主化運動のリーダーの1人である黄さん(23)。
6年前の雨傘運動以降
抗議活動の先頭に立ってきた黄さん。
新型コロナウィルスの影響で街頭での活動が制限されるなか
目をつけたのが“仮想空間”だった。
(民主活動家 黄さん)
「新型コロナウィルスによって街頭でのデモは難しくなりました。
だから“どうぶつの森”の島を舞台に
自由への要求を示すことにしたのです。」
ニンテンドースイッチの「あつまれ どうぶつの森」。
プレイヤーが無人島に移住し思い思いの生活を送るゲームである。
大きな特徴は
島を自由にデザインできることである。
黄さんはさっそく島に民主化運動のスローガンを掲げた。
“香港を盛り戻せ 時代の革命だ”
さらに
中国の習近平国家主席の画像を取り込んで・・・。
(黄さん)
「これは習近平。
中国の“愛国者”が見たら血圧上がるだろうね。」
自分で作った島を動画投稿サイトで紹介したところ
大きな反響を呼んだ。
(民主活動家 黄さん)
「スローガンや画像を検閲を受けずに飾ることができます。
人々の要求や思いを表現でき
すばらしいです。」
「どうぶつの森」を舞台にした抗議活動はネット上で広がりを見せている。
民主化を求める人々が
自分たちの思いを表現する
新たな場になっているのである。
こうした動きに神経をとがらせているとみられるのが中国政府である。
「どうぶつの森」は中国本土では発売されていないが
ネット通販のサイトでは
海外から輸入されたものが出回っていた。
ところが通販サイトのリストから
突如 商品が消えた。
理由は明らかになっていないが
中国当局の指示があったのではないかという憶測が出ている。
これに対し中国国内のSNSでは不満の声も上がっている。
“私たちにゲームで遊ぶ権利はないの?”
“もし紙にスローガンを書いたら
紙の使用を禁止するとでもいうのか?”
黄さんは「どうぶつの森」を使った抗議活動に大きな可能性を感じている。
(民主活動家 黄さん)
「中国政府は
国民が“どうぶつの森”で政治的要求をすることを恐れているのでしょうが
本当にばかげています。
この種の検閲は
表現の自由がないことを自分で認めているようなものです。
街頭に出ることができなくても
私たちは闘い続けます。」