4月23日 NHKBS1「国際報道2020」
イタリアでは新型コロナウィルスの感染者が
3月は1日6,000人以上も確認される日があった。
それが厳しい外出制限などによって
4月20日時点では増加のペースが緩やかになっている。
こうした状況を受けて経済活動の再会を求める声も強まっていて
コンテ首相は
5月4日以降 段階的に制限を緩和する意向を示している。
ただ課題の浮き彫りになっている。
防護服姿の看護師が働いている首都ローマのホテル。
新型コロナウィルスの感染者を隔離する施設として使われている。
滞在するのは軽症の患者や
退院して経過観察の必要がある患者。
ホテルのすぐそばにある病院では
医師が患者の体温や血液中の酸素濃度などをモニターしている。
(病院長)
「ホテルの利用は患者を退院させてのケアもでき
入院を待つ他の患者の受け入れを可能にする。」
厳しい外出制限などを続けながら
課題とされた医療体制の強化に取り組んできたイタリア。
全土で5,000床ほどだった集中治療室の病床は
9,000床余まで増設された。
経済活動の再開を求める声も強まるなか
感染の実態を把握しようと
ウィルスへの抗体があるかどうかを調べる抗体検査も始まっている。
しかしイタリア国立衛生研究所は
“外出制限を緩めれば感染が再び広がりかねない”と警告した。
(国立衛生研究所 所長)
「人口の90%以上は感染していないと推計され
多くの人がまだ感染しやすい状況だ。」
企業には
事業を再開した場合従業員の感染をどう防ぐか
重い課題が突き付けられている。
3月から休業が続くローマ近郊の機械メーカー。
ロボットアームなど工場向けの機械の生産で
日本円で年間23億円余の売り上げがある。
社長のマリーニさんは
操業再開後に従業員たちが十分な距離を取って仕事ができるよう
新たにスペースを設けた。
従業員が使うマスクも準備している。
1か月に必要な5,000枚の仕入れ先を確保したもののいまだ届かず
今後安定的に手に入る保証もない。
(機械メーカー マリーニ社長)
「従業員の命を危険にさらすことはできない。」
どのような対策を取れば操業を再開できるのか。
政府の指針も示されないなか
資金繰りは日に日に苦しくなっているという。
(機械メーカー マリーニ社長)
「これまでは経費を支払えてきたが
もし今後 新たな支援がなければ倒産しかねない。」
感染が再び広がるリスクが残るなか
深刻な打撃を受ける経済をどう立て直すのか。
イタリア政府は難しい舵取りを迫られている。