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オーストリア 進む外出制限の緩和

2020-05-23 07:00:00 | 報道/ニュース

4月30日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


オーストリアで初めて感染者が確認されたのは2月下旬。
その後 3月16日から外出制限が続けられてきた。
1日の感染者数が3月下旬にピークに達した後 徐々に下がり
4月28日時点では2桁になっている。
オーストリアはヨーロッパでいち早く外出制限を段階的に緩和する措置を発表。
4月14日からは一部の店舗の営業が再開されている。

ウィーン中心部の繁華街。
買い物や散歩などを楽しむ家族連れの姿が一時に比べずいぶん目立つようになっている。
4月14日から外出制限の緩和を始めたオーストリア。
第一段階として
400㎡以下の小規模店舗やホームセンター
それに園芸用品店に限って営業の再開が認められた。
(市民)
「小規模な店の倒産が心配です。
 客が戻ることを願っています。」
(従業員)
「店がようやく再スタートです。」
創業130年
ハプスブルグ王朝の時代からウィーンで営業を続けてきた服飾店。
店長のシュネップさんは店の再開を待ち望んできた。
「先月は売り上げも半分まで落ち込んだので
 ようやく開店できてうれしいです。」
しかし感染対策の徹底が求められている。
従業員はマスクを着用し
入り口のドアやレジの周辺などを念入りに消毒。
政府が定めたルールに従い
一度に入店する客の人数も制限している。
警戒が続くなかシュネップさんが始めたのが手作りマスクの販売である。
老舗にとって初めての試みだという。
しかし営業再開から10日経っても店の経営は苦しいままである。
(店長 シュネップさん)
「客の入りはあまりよくありません。
 解雇された人が多く
 必要最低限のものしか買わないのでしょう。
 いまは厳しいです。」
経済活動の再開が進めば客も増えると信じるシュネップさん。
顔全体を覆うフェイスシールドの販売も計画し
老舗を守り抜きたいと考えている。
一方 5月中旬のさらなる制限緩和に期待する店もある。
ウィーン市内にある伝統料理のレストラン。
約12年前から著名な音楽家や地元の人に愛されてきた。
店長のブルーバさんは休業が長期化し不安を募らせている。
「100人ほどのお客さんでにぎわっていました。
 今年はもうないだろうね。」
店での飲食が一切禁止されるなかブルーバさんが思いついたのが
“ウィーン伝統料理を家で食べよう!”。
自慢の料理を弁当のように持ち帰ってもらうサービスである。
名物になっている子牛のカツレツや店自慢のポテトサラダなどを店頭で販売。
伝統の味を自宅で味わってもらおうという初めての試みである。
サービスの評判はまずまずだが
店全体の売り上げが9割も減少する厳しい状態が続いている。
(店長 ブルーバさん)
「とにかく早く店が再開できるようにしてほしいです。
 客は店内でマスクをすることになるのか
 当局の決定を待つしかないです。」
商工会議所のトップも制限緩和による経済の回復に期待を示している。
(商工会議所 総裁 ハラルド・マーラー氏)
「経済状況は徐々に良くはなっています。
 人と人との距離制限が緩和されれば
 経済は回復するでしょう。」

オーストリア政府がいち早く外出制限を打ち出し出口戦略を示したことは
国民にも評価されている。
世論調査会社ギャラップ・インターナショナルの
世界30の国と地域で
各国政府のコロナ対策の評価では
オーストリアはこの中で最も高い評価となった。
また制限が緩和されたあと行われた別の世論調査でも
オーストリアのクルツ政権を評価する声は8割に達している。
オーストリアは外出制限の措置を打ち出す一方で
大きな打撃を受ける企業の従業員やフリーランスへ
一時金の支払いや
賃金の80%以上を国が補償したりといった対策が
国民から評価されている。
そして第二波への対応の一環として感染予防の規制強化も図っている。
その1つがマスクの義務化である。
オーストリアはもともとテロ対策の観点から
「覆面禁止法」という法律でマスクはむしろ制限される法律があったが
ヨーロッパの中でも早い時期に義務化へと大胆に転換した。
これをオーストリア国民の意識を変えたことは間違いない。
オーストリア政府は5月から制限緩和の第2段階に入るとしていて
店舗面積に関わらず全ての商店の営業を認めている。
また外出制限の措置をさらに緩和し
これまでは同居する人との接触しか原則認めていなかったが
同居人以外とも距離を保つことを条件に屋外で会うことが認められる。
今後は5月中旬をめどにレストランも店舗での営業を認める予定で
さらには小中学校の再開も進めていくという出口戦略である。
オーストリアはこれを慎重に進め
失業率は一時12%を超えて戦後最悪を記録するなど
深刻な打撃を受けていた経済を少しでも正常化させたい考えである。
一方 周辺諸国に先んじて速いペースで緩和を進めているだけに
感染者の推移がどう変化するかが気になるところである。
市民や医療関係者からは
再び新型コロナウィルスの感染が広がってしまうのではないかと懸念する声も上がっている。
(市民)
「店の再開はよくないと思う。
 また人が密集してしまうし
 マスクを付けても感染リスクは高まります。」
制限緩和によってさらに人の動きが増えるとみられるだけに
当面は綱渡りの状況が続きそうである。
ヨーロッパではオーストリアに次いで
ドイツも一部緩和に乗り出したほか
フランスやスペインも5月から商店や学校を藍買いする計画を発表していて
オーストリアの出口戦略が成功に向かうか
今後も注目されそうである。



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