4月21日 NHK「おはよう日本」
麦などを原料に作られた蒸留酒の「ジン」。
近年ではその地域ならではの材料を使う「クラフトジン」が次々に誕生している。
このブームのなか
秋田県では
全国的に知名度の高い秋田杉を使ったジンが開発された。
秋田杉を使ったジン。
去年1月
秋田工業専門学校や秋田県立大学
県などのメンバーで
プロジェクトがスタートした。
開発を主導した秋田工専の上松教授。
杉の活用などを研究してきた上松さん。
目をつけたのは葉の部分だった。
(秋田工業高等専門学校 上松教授)
「秋田杉の葉がボタニカル(ジンの香りづけの材料)として
世界的に認められて
輸出できることになれば
杉の葉に付加価値もついて
林業の活性化に役立つと期待している。」
まず取り組んだのが葉の香りの分析だった。
市販のジンの香りの成分上にスギの葉の香り成分が重なった。
秋田杉の香りがジンの香りにマッチしていたのである。
ジンは主に
元となる酒に香りづけの植物やスパイスを漬け込み
香り成分を抽出した液を蒸留して作られる。
今回は
スギの葉を漬け込んで
まるで森の中にいるように感じるジンを目指した。
レシピづくりを担ったのは秋田県総合食品研究センターの杉本研究員。
1時間ほどかかる試作の蒸留作業。
最初は“爽やか”
蒸留中盤は“森の奥”
そして終盤になると“酸性”。
刻一刻と変化する香り。
タイミングを逃すと
青い香りが強まり
カメムシのような香りがジンに入ってしまうという。
(秋田県総合食品研究センター 杉本主任研究員)
「香りが蒸留してるときにどんどん変わってくる。
そのときにどのポイントが必要なのかを見極めるというのが重要。
とってもそこが難しいと思う。」
去年7月からの試作で作ったのは30種類以上。
半年かけて12月にようやくレシピを完成させた。
そして実際の製品化へ。
湯沢市にある酒造会社にレシピが持ち込まれた。
酒造会社では分析データも含めてジンの製造にあたった。
(秋田県醗酵工業 佐々木さん)
「普通では思いつかなかったような材料の配合を組めたと思う。
上松先生も森の香りということを繰り返していたが
そちらをイメージするジンを作っていきたい。」
プロジェクトのメンバーが集まって品評会が開かれた。
出来栄えは
「ちゃんと杉の香りが識別できる。
はっきりと秋田杉の香りを確認することができたので
そのときはすごく内心うれしかった。」
(秋田工業高等専門学校 上松教授)
「秋田県が持っている世界一でアピールするべきだろうと
秋田杉を選んだ。
これで海外の人たちに“秋田”という名前を覚えてほしいと思う。」
製品化した酒造会社では
今回のレシピにさらに改良を加えたものを今後発売する予定だということである。