日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

プーチン大統領のロシア極東戦略

2013-09-05 08:00:00 | 海外ネットワーク
9月1日 おはよう日本

ロシアのサンクトペテルブルグで開かれるG20サミット。
安倍総理大臣とプーチン大統領の日露首脳会談も行われる見通しである。
今年4月に安倍総理大臣が日本の総理大臣として10年ぶりにモスクワを訪問し
この時の合意に基づいて北方領土問題をめぐる両国の交渉が再び始まった。
今後の交渉のひとつのカギを握るのはプーチン大統領の極東戦略である。
大統領はロシア極東・北方領土の発展を最重要課題の一つと位置付けていて
隣接するアジア太平洋地域の活力を自国の経済の発展に取り込もうとしている。

8月 ロシア極東地域を記録的な豪雨が襲った。
アムール川が氾濫し今も多くの街が水浸しになったままである。
堤防がほとんどの地域で整備されておらず
土嚢を積んで被害を防ごうとしたが洪水を止めることができなかった。
プーチン大統領は8月29日 急きょロシア極東に入り被災地を視察。
同行した閣僚たちに被災地の復興に全力を挙げるように指示をした。
経済成長からは取り残されたロシア極東地域は多くのインフラがソビエト時代のまま老朽化がすすんでいる。
人口もソビエト崩壊後の20年余で200万人近く減少した。
こうしたなかロシア極東では中国の経済的影響力が一層強まっている。
ウラジオストク中心部のチャイナマーケットには小さな店が400件以上並び
ロシア人買い物客でにぎわっている。
国境を挟んで中国から大量の安い日用品や食料品が流れ込み
市民生活は中国の製品なしには成り立たなくなっている。
8月には中国東北部とロシアを直接結ぶ3つ目の鉄道も開通。
中国からは機械や繊維などの工業製品が
ロシアからは原油や石炭などの資源が運ばれる。
ロシアにとって今や中国は最大の貿易相手国で巨大な中国経済への依存は強まる一方である。
中国一辺倒にならずに成長著しいアジア太平洋の経済成長をどうバランスよく取り込んでいくのか。
(ロシア プーチン大統領)
「極東地域の発展は我が国全体が発展するための優先事項だ。」
極東の経済をテコ入れしようと
今年プーチン大統領は2025年までに総額30兆円余の予算をつける方針を示した。
石油や天然ガスの資源開発だけでなく地元の産業の育成にも力を入れている。
ウラジオストクに日本の自動車メーカーや商社との合弁企業を相次いで設立。
競争力のある製造業の誘致にも成功した。
こうしたなかで大きく様変わりしいるのが北方領土である。
国後島では新たな住宅や道路などが次々と建設されている。
インフラ整備を進め新たな雇用を生み出し住民の定着を進めるのが狙いである。
一時は8,000人を割っていた人口は今では1万人を超え北方領土で最大となっている。
島で生まれる子供の数も年々増え続けている。
国後島で生まれ育って結婚し子どもを育てる人たちも多くなっている。
タチヤナ・カラリョーワさんん(36)もそのひとりで1年前に娘が生まれた。
生活水準が向上するなかで生まれ育った国後島への愛着を強めている。
(タチヤナ・カラリョーワさん)
「この5年間で広場も建物もみんな新しくなったわ。
 ロシア愛国者として国後島で生まれたものとして島はロシアの領土だと考えています。」

プーチン政権が北方領土に限らず極東開発に力を入れるのは
ソビエト崩壊後経済成長から取り残されたこの地域の環境を良くして
住民のロシアへの帰属意識を高める狙いがある。
その上で日本との交渉に臨もうという姿勢である。
G20で行われる日露首脳会談でプーチン首相としては経済協力について話し合いたい考えである。
(ロシア パノフ元駐日大使)
「両首脳は特に極東での経済協力について話し合うだろう。
 プーチン大統領は水力発電所の建設計画を示し
 日本企業も参加することができる。」
極東重視の姿勢はプーチン大統領が1日に断行した閣僚人事にも表れている。
長年この地域で影響力を持ってきたイシャ―エフ極東発展相を解任し
代わりに側近のトルトネフ前天然資源相を据えた。
プーチン大統領は今後北方領土交渉で2島以上を引き渡す歩み寄りをする場合
それを上回る利益を得たと国民に説得できる材料を得たいと思っている。
そこでまず日本から極東への積極的な投資を促したい考えである。
さらにアメリカのシェール革命を受けてロシアの天然ガスの輸出が伸び悩むなか
日本に石油や天然ガスをもっと買ってもらいたいと考えている。
プーチン大統領は日本がロシアにとって不可欠なパートナーと言えるまで関係を深めることができるのか
見定めていこうとしている。
 

 
コメント

残る人種偏見 米社会はいま

2013-09-04 08:00:02 | 報道/ニュース
8月29日 おはよう日本

人種差別撤廃を訴えたアメリカのキング牧師。
ちょうど50年前多くの人々の心に残る演説を行った。
私には夢がある
いつか子どもたちが肌の色ではなく
人格で評価される国に住むという夢だ

全米から25万人が集まったというこの有名な演説はその撤廃に大きな役割を果たしたと評価されている。
その同じ場所でオバマ大統領が演説し人種間の富の格差は縮まるどころか広がっていると述べ
経済格差の解消が重要だという認識を示した。
演説から50年に合わせてワシントンで行われた記念式典。
カーター元大統領やクリントン元大統領も参加した。
(アメリカ オバマ大統領)
「先人の歩みで地方議会や米議会が変わりホワイトハウスにまで変化がもたらされた。」
「黒人の失業率は白人の約2倍のままだ。
 富の格差は縮まるどころが広がっている。」
このように述べ経済格差の解消が重要だという認識を示した。
オバマ大統領が演説でこう述べたのは今なお残る人種に対する偏見が背景にある。
こうした中いまアメリカで警察官のある行為が問題になっている。

車に両手をつく2人の黒人。
ポケットの中も調べられる。
路上で不審だと感じた人を立ち止まらせて身体検査をする“ストップ アンド フリスク”。
これが人種差別ではないかと大きな問題になっている。
ニューヨークの警察は去年1年間で53万回“ストップ アンド フリスク”を行ったが
その84%は黒人とヒスパニックが対象だった。
連邦地方裁判所は8月12日 そのやり方が人種差別だと認定。
人種に基づいて職務質問の対象を決める暗黙のルールが存在する
と指摘し憲法違反だという判決を下したのである。
訴訟に加わったニコラス・パートさん(25)はこれまで10回近く“ストップ アンド フリスク”を受けた。
自宅を出た直後に警察官に呼び止められたこともあったという。
(ニコラス・パートさん)
「ちょうどこのあたりだった。
 メールを打っているところでいきなり現われ
 壁に手を付けるよう言われ身体検査をされ財布や携帯を調べられた。」
警察官からの説明はほとんどなく抵抗もしていないのに手錠をかけられた。
さらにパトカーの中に押し込まれ犯罪者扱いだったと言う。
(ニコラス・パートさん)
「救いようのない気持ちになった。
 怒りがこみ上げたし屈辱的だった。」
一方 ニューヨーク市は“ストップ アンド フリスク”の実施で犯罪件数を激減させてきたと主張。
裁判所の判決を不服として控訴した。
(ニューヨーク市 ブルームバーグ市長)
「裁判官は犯罪の現実を知らない。
 犯罪が起きる場所で職務質問するだけで
 不幸なことにそこには貧しいマイノリティが多いだけだ。」

こうしたなか新たな動きも出ている。
メガネにカメラが備わっていてボタンを押すと視界に映っているすべてが記録できる。
このカメラ付きのメガネは映像に加えて音声も鮮明に記録できる。
(警察官の声)
「なぜ呼び止められたか分かりますか。
 あの交差点は赤信号で右折してはだめですよ。」
アリゾナ州では去年10月から一部の警察官が試験的にカメラ付きメガネを装着しパトロールしている。
この取り組みを始めたところ警察官に対する苦情が3分の1に減ったという。
(メサ市警察 ミルステッド本部長)
「カメラの装着で警官はよりしっかりと対応するようになった。
 記録をとっていることでどんなふうに話すか注意するようになった。」
しかし識者の間では
カメラの導入は人種差別をなくすことにならない
という指摘も出ている。
(シンクタンク研究員 ヘザー・マクドナルドさん)
「問題は呼び止めた後の対応ではなくなぜその人を呼びとめたかだ。
 警察官が何を考慮し呼び止めたかまで
 カメラが記録できるとは思えない。」

さまざまな人種が暮らすアメリカ。
人種に対する偏見をどう無くしていくのか。
その模索が今も続いている。



コメント

存在強めるクルド人自治区

2013-09-03 08:00:00 | 海外ネットワーク
8月25日 NHK海外ネットワーク

国を持たない世界最大の民族クルド。
多くが住んでいるのはシリア・イラク・イラン・トルコと4つの国に分散し
人口は約3,000万人にのぼるとみられている。
独自の文化と言語を持つ民族だが自分たちの国は無い。
そのクルド人地域が中東の混乱をよそに発展を遂げて存在感を増している。
イラクからシリアを望む国境地帯にいまシリアから大勢のクルド人が押し寄せている。
シリア国内で続く内戦から逃れてきたのである。
この1週間に逃れてきたクルド人は4万人以上。
すぐさま支援の手が差し伸べられクルド難民たちはひとまず安どの表情を浮かべる。
そして新しい土地での暮らしに思いをはせる。
「ようやくたどり着いて安心した。
 ここは平和です。」
「兄弟がここにいて働いている。
 良い暮らしがしたい。」
クルド難民が押しかけたのはイラク北部「クルド人自治区」と呼ばれる同じ民俗が暮らす地域である。
自治区の治安はクルド人自らが守っている。
イラクの中央政府の治安部隊とは異なり女性兵士の姿も目立つ。
自治区の中心都市アルビルはイラクの他の地域で多発するテロとは無縁の世界である。
欧米や韓国のエネルギー企業などが相次いで進出し
ヨーロッパの主要都市との直行便も就航した。
人通りが絶えることがなくショッピングモールでは輸入ブランドが軒を連ねる。
(アルビルの市民)
「ここは中東一の大都会。」
「街の発展はみんなの誇り。」

クルド人には長い苦難の道のりがあった。
クルド人が国を持たない世界最大の民族となったのは第一次世界大戦後
当時のヨーロッパ列強の論理によってオスマン帝国が分割されたことが大きく影響している。
各国の統治の元で暮らすことになったクルド人は独自の言語の使用を禁じられるなど不当な扱いを受けた。
イラク北部でも1980年代に当時のフセイン政権の化学兵器による攻撃で5千人以上が殺害されている。
そんな状況を一変させたのが10年前のイラク戦争だった。
クルド人勢力はアメリカ軍に協力してフセイン政権を崩壊に追い込み今日の繁栄へと結びつけた。
そして今クルド人自治区は中央政府の頭越しに独自のエネルギー外交を展開し
さらなる発展を目指そうとしている。

クルド人自治区とトルコとの間を結ぶ幹線道路。
トルコに向かうタンクローリーが長い列を作り運んでいるのは自治区内で生産された石油。
自治政府はこの石油を切り札にして新たな取り組みに乗り出した。
クルド人自治区を貫く新しいパイプラインの工事は着々と進められ完成間近となっている。
自治政府はイラクの中央政府の反対を押し切り建設を進めてきた。
パイプラインは自治区に莫大な利益をもたらすだけでなく
この地域の政治力学を変えようとしている。
自治政府は自前のパイプラインを持っていないため
石油を輸出するためには中央政府のパイプラインに頼らざるを得なかった。
なんとか自由に石油を輸出・販売したいと自治政府は独自のパイプライン建設に踏み切った。
さらに中央政府の警告を無視して独自の油田開発にも力を入れている。
パイプラインは対立関係にあった隣国トルコとの関係改善にもつながっている。
自治政府の公務員フォアド・ロフォさんはかつてはトルコに警戒心を抱いていた。
トルコがクルド人武装組織の掃討を理由に自治区の越境攻撃を繰り返してきたからである。
(クルド人自治政府 公務員 フォアド・ロフォさん)
「トルコによる空爆で生活は苦しくなった。
 全面戦争になるのではと心配した。」
しかし今や状況は様変わりした。
公共工事の現場監督を務めるロフォさんは工事現場で毎日のようにトルコの建設業者と打ち合わせをしている。
自治区内の工事はトルコ企業がほぼ独占する形で受注しているからである。
自治区の発展にトルコの協力はもはや欠かせない。
(トルコの建設会社技師)
「トルコ人とクルド人の間にわだかまりはない。
 お互いを尊重しあう仲になれた。」
(クルド人自治政府 公務員 フォアド・ロフォさん)
「たくさんのトルコ企業が進出し最新の建設技術をもたらしてくれる。」
トルコとの対立を乗り越えたクルド人自治政府。
独自外交への自信を深めている。
(クルド人自治政府 ファレハ・ムスタファ外務長官)
「トルコと粘り強く対話し対話から友好関係へと導くことができた。
 我々クルド人は抑圧された過去を乗り越えより良い将来を切り開いていく。」

クルド人にとって統一した独立国家クルディスタンを立ち上げることは民族の悲願とされている。
しかし一気に独立に進むのはリスクが高く政府は周辺国との衝突を避けようと苦心している。
たとえば自治政府はパイプラインの存在をおおっぴらにすることでこれ以上中央政府を刺激したくないと
インタビューにはなかなか応じてくれず
自治政府関係者のインタニューにしても収録前は独立に向けた動きを雄弁に語っても
収録が始まると各国と協力したいと述べ本音を封じ込み低姿勢を演じているかのようである。
クルド人の動きに各国の中央政府は神経をとがらせている。
新しいパイプラインの建設についてもイラクの中央政府は
クルド人は本来ならばイラク国民全体のものであるはずの石油をいわば横取りして勝手に外国に売ろうとしている
などとして非難を強めている。
油田の権益ををめぐる対立からイラクの中央政府は去年から今年にかけ
クルド人自治区との境界に部隊を派遣しクルド人自治区の舞台と一触即発の事態になりかけた。
トルコにして経済的な利害からいまのところクルドとの関係を改善させているが
クルドの独立国家がたん叙するようなことは絶対に容認せず
分離独立の動きが本格化すれば武力で封じ込める構えを崩していない。
中東最大の民族問題とされるクルド。
クルド人が台頭するにつれ周辺国は警戒を強め
新たな紛争の火種になる危険をはらんだ動きともなっている。
コメント

国連事務総長の贔屓

2013-09-02 08:00:01 | 編集手帳
2013年8月28日 読売新聞

気に入った者を引き立てて力添えすることを「ひいき」という。
漢字では〈贔屓〉、
やけに「貝」の字が目につく。
貨幣としても通用した貝は古代人の宝物である。
時は移れど、
贔屓にもなにがしかの宝物がついて回るらしい。

政治家の宝物は国民の人気だろう。
その人が厳正中立であるべき立場を踏み外し、
自分の国をえこひいきしたのは、
宝物に目がくらんだせいかも知れない。

「正しい歴史(認識)が良き国家関係を維持する。
 日本の政治指導者には深い省察と、
 国際的な未来を見通す展望が必要だ」。
韓国出身の潘基文パンギムン国連事務総長が記者会見で安倍政権を批判した。

盧 武鉉(ノムヒョン)政権の外相として対日強硬路線を指揮した人だから、
そういう考えが腹にあっても不思議はないが、
いまの立場で口にするとは驚きである。
国連事務総長の値打ちがいくらか下がったのは間違いない。
この先、
いろいろなもめごとで調停役の責務を果たせるのか疑問が残る。

責務の責は、
とげを意味する「朿し」と「貝」とが合わさってできた文字という。
良心のとげが刺さった宝物を懐に収めたところで、
あとで胸が痛むだけだろう。
コメント

藤圭子さんの怨歌

2013-09-01 09:09:31 | 編集手帳
8月24日 編集手帳

8月は流れ星の季節である。
ペルセウス座流星群を見た方もあろう。
3回はおろか、
1回の願い事も唱え終わらぬうちに、
夜空に消えていく。
一瞬のきらめきは、
いつまでも記憶に残る。

その人を、
作家の五木寛之さんは「流れ星」にたとえた。
日本の歌謡史に光って消えた、と。
藤圭子さんが62歳で死去した。
自殺か、
とも報じられている。

「がんばれ」と励ましてくれる友はありがたいが、
愚痴を言い合う友が恋しいときもある。
歌も同じで、
「上を向いて歩こう」と肩を優しく叩たたいてくれる歌に感謝しつつ、
「どう咲きゃいいのさ、この私」の嘆き節に慰めてほしい夜もある。
藤さんの“怨歌(えんか)”がそうだったろう。

何処どこで生きてもひとり花
何処で生きてもいつか散る…
(詞・石坂まさを、曲・猪俣公章、
『女のブルース』)。
一緒にうつむき、
涙で酒を割ってくれた藤さんの歌を止血剤にして、
心の傷を癒やした人は多かろう。

〈星一つ命燃えつゝ流れけり〉(高浜虚子)。
聴き手の孤独と不幸に歌で寄り添ったその人にさえ、
人生の穏やかな秋を天は許してくれない。
生きるとはむずかしいものである。
コメント

“女性に教育を”

2013-09-01 08:00:02 | 報道/ニュース
8月24日 おはよう日本

(マララ・ユスフザイさん)
「1人の子ども 1人の教師 1冊の本 1本のペンで世界を変えることができます。」
国連で演説する1人の少女の呼びかけが世界に共感の輪を広げた。
女性の教育の権利を訴えイスラム過激派に去年10月銃撃されたマララ・ユスフザイさん。

マララさんの故郷パキスタンでは
学校を舞台に教育の大切さを訴えるユニークなアニメが注目を集めている。
パキスタン発のテレビアニメシリーズが先月から放送が始まり人気を集めている。
黒づくめの衣装をまとった主人公の女性が悪と戦う物語である。
主人公は普段は学校の教師。
悪役の男たちは女の子のための学校を閉鎖しようと企んでいる。
「女は家にいて掃除や洗濯をして料理を作っていればいいんだ。」
「学校を閉鎖したら運営費が俺たちのものになるぜ。」
学校の門には鍵がかけられてしまった。
「学校に行きたいの。 
 邪魔しないでよ。」
そこに現れたのが正義の味方。
身につけているのはイスラム教徒の女性の衣装のひとつブルカ
“ブルカ・アベンジャー”
教科書を武器に敵を懲らしめる。
ペンで校門の鍵を打ち砕いた。
「悪巧みももうおしまいよ!」
敵を退治した後テレビを見る子供たちに訴えかける。
「教育はあなたたちの権利よ。
 将来のために本とペンを友だちにしなさい。」

主人公の女性教師の声を担当するアニー・ジャフリさんは
海外の大学を卒業した後パキスタンでタレントとして活動している。
アニメを制作しているのは首都イスラマバードにあるスタッフ約30人のプロダクションである。
パキスタンから女性差別をなくそうと去年から製作を進めてきた。
製作が続くさなかの去年10月 
当時15歳のマララさんがイスラム過激派に頭を銃撃される事件が起きた。
ジャフリさんは強い衝撃を受けた。
自分も女性の教育の普及のために力を入れていこうと決意を新たにした。
(アニー・ジャフリさん)
「とても悲しい出来事だった。
 国中が大きなショックを受けた。
 女性が教育を受けられる社会にしていくには努力を続けなければならないと感じる。」
試写会では女性教師の活躍に子どもたちは大興奮。
「勉強は私たちの将来のために大事だとわかった。」
「学校の悪者を僕が倒してやりたかった。」

このアニメが人気を呼ぶなか女性たちにも新たな動きが出始めている。
マララさんの故郷であるパキスタン北西部のスワート地区で今年5月
一般の女性だけで村の物事を決める国内で初めての会合が開かれた。
これは“女性ジルガ”と呼ばれている。
ジルガは本来男性の長老だけが許される地域の意思決定機関である。
時には女性の結婚相手まで決めてきた。
今回初めて“女性ジルガ”を呼びかけたタバスム・アドナンさん。
マララさんが銃撃を受けた後も女性の権利のために戦う姿に勇気づけられたと言う。
この日のジルガでは女性が通える学校を増やすための運動を進めていくことを確認した。
(参加者)
「女性が教育を受ける大切さをみんなで話せてよかった。」
(タバスム・アドナンさん)
「女性自身が自分たちの権利を知り
 人生で何をすべきか決められるようになるべき。」

“女性ジルガ”に対しては地区の男性から批判の声もあがっているが
参加する女性は増えて700人にまで達している。
マララさんへの共感は世界に広がっていて
国連はマラらさんの誕生日7月12日を“教育の大切さを訴える日”にさだめ
この機運を盛り立てていこうとしている。

コメント