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“みんなに教育を 広がるマラらさんの思い”

2013-10-16 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月13日 NHK海外ネットワーク


(マララ・ユスフザイさん)
「私の夢はすべての子どもが教育を受けられること。
 今日の夢を明日の現実にしましょう。」
子どもたちの教育の重要性を訴えるパキスタンのマララ・ユスフザイさん。
1年前 女性の教育を否定するイスラム過激派に銃撃された。
一命を取り留めたマララさんは事件後に寄せられた寄付金でマララ基金を設立。
パキスタンの少女を学校に通わせる活動に乗り出した。
(マララ・ユスフザイさん)
「1人の子ども 1人の教師 1冊の本 1本のペンで世界を変えることができる。」
マララさんの願いは子どもたちが1人の例外もなく学校に子酔えるようになることだが
パキスタンの現状はどうか。

マララは頑張り屋さん
パキスタンの誇りマララ

女の子たちが歌う“マララの歌”。
パキスタン中部のパンジャブ州にある人口1000人ほどの村。
マララさんの写真が掲げられた去年出来たばかりの学校では女の子たちが読み書きの基本を学んでいる。
授業を行っているのはシャジア・ビビさん(27)。
地元の大学院で言語学などを学んだあと自分の知識を伝えたいと個人で塾を開き女の子たちに勉強を教えてきた。
そんな彼女の取り組みに賛同したNGOが資金を提供し1年前に学校を作ったのである。
3歳から17歳までの女の子約120人が通っている。
村の女性の識字率はわずか20%。
しかしここでは英語まで教えている。
シャジアさんはマラらさんの事件を受けて教育絵の思いを新たにしたと言う。
(シャジア・ビビさん)
「テレビでマララさんが教育のために命をかけているのを見た。
 小さな彼女にできるのなら私も村に教育を広められるのではと思った。」
しかし男性優位のパキスタン社会で女子学校の運営は簡単ではない。
女の子は学校に通わず家事をしていればいいと考えるのが農村部では一般的である。
この村では女の子の5人に1人しか学校に通っていない。
そこでシャジアさんは自ら子どもたちの家を訪ねて親たちを説得している。
この日は中学1年生のときから家事を手伝うため学校に来なくなった女の子の家庭を訪ねた。
(シャジア・ビビさん)
「教育の大切さはわかりますよね。」
(少女の母親)
「うちは貧しいのよ。」
(シャジア・ビビさん)
「男の子は通わせるのに女の子は通わせないのですか。」
女の子はいまも学校には来ていない。
シャジアさんはこのような家庭を何軒もまわっては教育の重要性を訴えている。
シャジアさんの説得で学校に通うようになった女の子は50人以上いる。
そのひとりメモナ・バシールさん(12)。
両親は当初 娘に教育をうけさせるよりも綿花畑で働き手になって家計を助けてほしいと思っていた。
しかしシャジアさんと話して考えが変わったのである。
(メモナさんの父親)
「女の子に教育を受けさせれば家庭や社会が良くなるとわかった。
 だから今は納得して娘を学校にやっている。」
(メモナ・バシールさん)
「他の子が学校に行っているのを見て私も行きたかった。
 両親が学校に行かせてくれてとても幸せ。」
一人でも多くの女の子を学校に通わせたい。
その思いは徐々に伝わり始めている。
(シャジア・ビビさん)
「貧しい家庭の少女や外出が許されない少女に教育をうけさせることが私の夢。
 達成すべき使命。」
しかしパキスタンの中でもマララさんの出身地北西部はイスラム過激派の活動が活発で状況がより深刻である。
女子学校を狙った爆破事件はこの2年間だけで100件以上起きている。
(警備員)
「見てください。
 ここで爆発があったんです。」
この女子学校は今年2月に爆破され今も閉鎖されたままである。
多くの子供がけがをした学校もある。
9月 校門の前に仕掛けられた爆弾が爆発。
下校中の女の子20人近くがけがをした。
窓ガラスは割れたままだが授業は再開。
まだ傷がいえない子供も多くいる。
アイーシャ・ハルークさん(9)は体中にけがをし今も自宅で療養中である。
事件当時アイーシャさんが着ていた服は血まみれで爆弾が飛んで来てできたと思われる穴も開いている。
(アイーシャ・ハルークさん)
「もも わきの下 首が痛い。
 爆発がまた起きるのではないかと怖い。
 今度あったら殺されてしまう。」
それでもアイーシャさんは怪我が治ったらすぐにでも学校に行きたいと考えている。
勉強して将来は医者になるのが夢。
(アイーシャ・ハルークさん)
「勉強すればマララさんみたいになれる。
 すべての子どもが学校に通えれば世の中が良くなると思う。」
イスラム過激派の脅威におびえながらも勉強がしたいと少女たち。
厳しい環境の中でマララさんは彼女たちの希望の光になっている。

ユネスコによると世界で初等教育を受けられずにいる子供の数は約5700万人にのぼる。
国別にみるとパキスタンはナイジェリアに次いで2番目に多く
このうち3分の2にあたる約300万人が女の子だということである。
国連は2015年までに世界のすべての子どもたちが初等教育を受けられるようにするという目標を掲げ
各地で学校の建設や教科書の配布といった支援を行ってきている。
しかし残念ながらあと2年でこの目標を達成するのは不可能と言える。
状況を根本的に変えるには紛争や貧困など
子どもたちが教育を阻んでいるさまざまな要因を国際社会が地道に取り除いていくしかないのが現状である。
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“屋上に緑を”上海でブーム

2013-10-15 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月6日 NHK海外ネットワーク


中国で環境意識が高まるなか上海では身近な環境の改善とビジネスを結びつけた取り組みが注目されている。

鳥のさえずりも聞こえる豊かな森。
実はごみ処理場の屋上である。
上海ではあちらこちらで屋上が緑に覆われた建物を見ることができる。
ショッピングセンターの屋上にも庭園が広がっている。
中学校の屋上では野菜を収穫する子どもたちの姿。
世界有数の経済都市上海はこれまで緑地の開発を積極的に進めてきた。
狙いは国際的なイメージアップである。
3年前 7千万人以上が訪れた上海万博のパビリオンは今では緑に覆われ公園として利用されている。
とりわけ最近注目を集めているのが狭い土地を有効に活用できる屋上の緑化。
上海市には屋上緑化にかけた費用の半分を補助する制度がある。
大気汚染の問題などで環境意識が高まるなか補助金の申請が増え続けている。
こうした屋上緑化のブームはビジネスチャンスにもつながっている。
上海向けの物件を手がけている建設会社 莫剣峰社長は新しいタイプのマンションを売り出そうとしている。
それは屋上だけでなく建物全体が緑に覆われたマンション。
都会にいながら自然を身近に感じられる暮らしを提案している。
緑あふれる環境は部屋の中にも。
トイレから出た廃水は浄化されて部屋の植物を育てるのにも使われる。
莫さんはこうしたマンションは従来よりも2割以上高い価格で売れると見込んでいる。
(マンションの建設会社 莫剣峰社長)
「環境にも優しく住み心地がとても良いんです。
 家でくつろぎながら緑を楽しめるグレードの高い家をどんどん建てたい。」
9月 莫さんは政府の支援で開かれた屋上緑化の取り組みを紹介する大会に招かれた。
取り組みが評価され表彰された莫さん。
政府は屋上緑化を進める人を後押しすることで上海でのブームが全国に広がることを期待している。
(中国建築省エネルギー協会 鄭会長)
「これまでの経済最優先ではなく発展と環境保護を両立させる方向に変わってきている。
 屋上の緑化を進めれば中国はさらに美しくなる。」

中国内陸部にある酒造会社。
屋上緑化をビジネスに生かそうという動きは地方にも広がってきている。
工場の屋上一面に広がっているのは田んぼ。
酒造りの経費削減につながるのである。
工場の中には酒を熟成させるためのカメが並んでいる。
酒を熟成させるには20度以下の涼しい環境を安定して保つ必要がある。
しかし工場内は夏には40度近くになることもあり冷房代に頭を悩ませてきた。
そこで屋上を田んぼにしたところ稲が直射日光を遮りさらに田んぼの水で気温の上昇が抑えられるようになった。
工場内の気温は7度も下がり電気代は半分で済むようになった。
田んぼのコメは食用に販売もでき一石二鳥だと言う。
(酒造会社の経営者)
「工場での酒造りに良い効果が出ている。
 省エネで大幅に節約できた。
 『環境に良い』というイメージで消費者に受けるだろう。」

ビジネスにも生かして広がる屋上緑化。
中国にしっかりと根付くことになるのか。
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向上し続ける高齢者の体力

2013-10-14 07:00:00 | 報道/ニュース
10月13日 ニュース7


体力と運動能力の文部省の調査結果。
小学6年生のソフトボール投げは40年ほど前と比べると
男子で5メートル(20m58㎝)
女子で4メートル(17m41㎝)短くなっている。
子どもの体力や運動能力は緩やかに回復する傾向があるが依然として低い水準である。
一方 65歳以上の高齢者はほとんどの種目で記録が向上し続けている。
たとえば6分間にどれだけの距離を歩くことができるかを見る種目。
65歳から69歳までの男性はこの種目の調査を始めた平成10年より37メートル伸びた。
70代の女性は42メートル伸びた。
全国に200の施設を持つスポーツクラブでは高齢の会員が増え続けている。
その背景として考えられるのが介護をうけたり入院したししないで過ごせる期間健康寿命への意識の高まりである。
(74歳男性)
「週に3回通っている。
 今のところは非常に調子はいい。」
(87歳女性)
「体力がつく。
 年を取って風邪もひかない。
 健康で長生き。」
スポーツクラブに加入している人の割合は文部科学省の調査によると
女性は65歳以上のすべての年代で40%を超えた。
男性も年齢が高いほど加入している人が多くなっている。
スポーツクラブのトレーナー 白戸拓也さんは
足腰を衰えさせないためには太ももの表側の筋肉を鍛えることが必要だと言う。
(白戸拓也さん)
「太もも表側の筋肉は30台をピークとすると
 60代で約半分
 70代では3分の1になる。
 ほとんどの方は歩く時に少しハルク幅が狭くなる。
 なるべく大股で歩くことを心掛けてください。」
日ごろのトレーニングの注意点も忘れてはいけない。
(白戸拓也さん)
「史腰の運動などをするときは必ず呼吸を止めないよう行ってください。
 心臓や体の負担を高めてしまいます。
 運動前に柔軟を行った方が筋肉や関節の負担が少なくなります。
 無理なく自分のペースで運動を。」


コメント

再生医療ビジネス 大手企業も参入

2013-10-13 07:00:00 | ビズ プラス
10月6日 BIZ+SUNDAY


かつての主力事業の技術を再生医療に生かそうとしている企業がある。
FUJIFILMである。
培養されたマウスの心臓の細胞。
培養にはこの会社の独自技術で開発した素材が使われている。
その材料となるのがたんぱく質のコラーゲン。
実は写真フィルムの主な材料がコラーゲンなのである。
(富士フィルム 再生医療研究所 吉岡康弘所長)
「この技術はずっと昔からやってきている。
 まさに写真の技術そのもの。
 再生医療にそのまま使えるのではということで展開してきている。」
この会社が再生医療に力を入れる背景には主力だった写真フィルムの売り上げの減少がある。
ピーク時には約2700億円あった売り上げが20分の1まで縮小している。
このため新たなビジネスを立ち上げることが急務となったのである。
9月 富士フィルムでは再生医療を事業化するために50人からなる専門部署を発足させた。
(富士フィルム 戸田雄三社長)
「フィルムで培ってきた技術をコラーゲンのサイエンスを極めた産業として応用できる。
 非常に大きなフィルムに代わる新しい世代の産業になると思っている。」

再生医療にビジネスチャンスを見出す企業はいま急増している。
再生医療の普及を目指す再生医療イノベーションフォーラム。
この2年で参加企業は4倍に増えた。
「再生医療を大きく育てられるような進め方を産業界として提案していく。」
参加企業は現在60社余。
細胞の培養施設などインフラを手掛けようというメーカー。
再生医療をめぐる保険の可能性を探る会社も参加している。
(再生医療イノベーションフォ-ラム 高橋稔副委員長)
「非常に様々な会社が入ってますます増えていく状況。
 それぞれに得意分野があるので
 得意分野を集めてオールジャパンの力で補完しながら
 産業の規模を立ち上げていこうと考えている。」
コメント

再生医療ビジネス 普及への課題は

2013-10-12 07:01:26 | ビズ プラス
10月6日 BIZ+SUNDAY


愛知県のベンチャー企業J-TECの会社のあるフロアーは建物を建てた9年前から使われていない。
培養した軟骨などを販売するまでに想定以上の長い時間がかかり事業が拡大できなかったkらである。
再生医療製品は国の承認をうけなければ販売できない。
安全性や有効性が重要だからである。
表皮は手掛けてから10年 
軟骨は13年かかった。
J-TEC創業から14年 黒字になったことは一度もない。
今年販売を始めた軟骨の売り上げが伸びれば2年後に黒字化する見通しである。
(J-TEC 小澤洋介社長)
「数年前までは何回かあった。
 これで息の根が止まってしまうかな。
 これはもしかしたら商品にならないかもしれないとか
 新しいことをやるには時間がかかる。」

再生医療に取り組む企業にとって承認を得る手続きの難しさは大きな課題である。
12年前に創業したセルシード。
人の細胞を培養しシート状に加工する技術の実用化を目指している。
この技術は目の角膜や食堂の粘膜の病気の治療に役立つと期待されている。
セルシードの長谷川幸雄社長は2006年に実用化に向け臨床試験に入ろうとした。
しかしそこには大きな壁があった。
長谷川さんは審査を行う機関から細胞シートの品質や安全性について膨大な資料を求められ
臨床試験に入るめどすら立たなかった。
このため長谷川さんは当時 審査の基準が比較的明確だったフランスで臨床試験に入ることにした。
実際にこれまで角膜を損傷した25人の患者の目に細胞シートを移植し一定の効果をあげている。
(セルシード 長谷川幸雄社長)
「日本でまだ経験が少なかったということを考えると
 欧米は非常に多くの臨床試験の経験を持っていたので
 我々としてはそういった情報を有効活用したいと考えた。
 欧州から事業を展開したいということで試験を始めた。」
こうしたなか政府は再生医療の環境整備に力を入れる方針を打ち出した。
(安倍首相)
「再生医療の実用化 産業化を力強く進めるため
 大胆に規制・制度を見直していきたい。」
長谷川さんは改めて日本で細胞シートの承認を目指すことにした。
(セルシード 長谷川幸雄社長)
「再生医療にとっては夜明け 元年。
 非常に重要な年になると思う。」
コメント

ips細胞 実用化はどこまで

2013-10-11 07:00:00 | ビズ プラス
10月6日 BIZ+SUNDAY


広島大学病院である画期的な再生医療が開発された。
高橋真由美さんは5年以上前から階段の上り下りに困るほど激しいひざの痛みに苦しんできた。
高橋さんは国体に出たこともあるバレーボール選手である。
競技を続ける中でひざを痛めた。
高橋さんは今年6月にこの病院でひざの軟骨を再生する新たな治療を受けた。
(高橋真由美さん)
「こういう手術というか方法もあると知ってビックリ。
 驚いた。」
直径2,5センチの体の外で培養したひざの軟骨。
この軟骨を痛めた部分に移植する。
軟骨はスポーツや事故で損傷すると元に戻ることはない。
患者は神経が刺激され強い痛みを感じる。
治療では足の軟骨の一部を採取し人工的に培養して増やす。
それを再び体に移植する。
時間が経つにつれひざの軟骨が修正される。
高橋さんはこの手術を受けた後 痛みが減りリハビリにも取り組んでいる。
(高橋真由美さん)
「2年後ぐらいにはバレーボールができると言われた。
 うれしかった。」
この再生医療を実現した越智光夫教授はこの手術を広く普及させたいと考えている。
そこで軟骨の培養を再生医療を手掛けるベンチャー企業に任せた。
(広島大学 整形外科 越智光夫教授)
「全国どこでもある程度この手術を受けることができる。
 日本の発展した技術をビジネスとして展開するのがいいと思う。」

軟骨の培養を手掛ける愛知県のベンチャー企業J-TEC 小澤洋介社長。
創業から14年。
越智教授から技術指導を受け軟骨の製品化に取り組んできた。
去年 国の承認を受け今年から販売を始めた。
病院で患者から採取された軟骨はこの会社で4週間かけて培養される。
軟骨の再生医療は今年 保険の適用が認められ患者の負担は十数万円程度。
この会社は1人当たり約200万円の売り上げになる。
(J-TEC 小澤洋介社長)
「大学を中心としていい技術や化学はいっぱいある。
 昔からずっとある。
 それを商品や産業にするには企業が絡まないとだめ。
 しっかり安全性を担保するとか品質を担保する。
 これは企業にぜひともまかせていただきたい。」

京都大学 山中伸弥教授のノーベル賞から1年。
ips細胞を使った再生医療を実用化しようという動きも各地で進んでいる。
東京大学の研究所に本社を構える医療ベンチャー メガカリオン。
ips細胞はあらゆる組織や臓器に変わるとされている。
この会社はips細胞から血液の成分のひとつ血小板を作り出している。
血小板は血液を固め出血を止める大事な役割を持っている。
人工的に作った血小板も血を固める能力がある。
血小板は手術には欠かせずその市場規模は先進国だけで2700億円にのぼる。
献血に頼ってきた血小板をips細胞から量産できれば大きなビジネスになる。
この会社は今年 国と民間で作るファンド産業革新機構から10億円の資金を受けた。
その資金をもとに新たな実験設備を整備する計画である。
(産業革新機構 マネージメントディレクター 芦田耕一さん)
「高いリスクだがリスクマネーを供給することによって成功すれば
 非常に大きな社会インパクトがあると考え投資をしている。」
(メガカリオン 三輪玄二郎社長)
「研究所の中で面白いことをやっているなというレベルから
 実際に社会で使えそうな技術だと認識が変わったと思う。
 ips細胞がビジネスになるとするとそれに必要なステージの半分までは来た。」
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TPP参加 インドネシアは消極的

2013-10-10 07:01:15 | 海外ネットワーク
10月6日 NHK海外ネットワーク


バリ島があるインドネシアはASEANで最大の人口と経済規模を有する国だがTPPの交渉には加わっていない。
経済の構造改革が進んでいない現状では国にとってかえって打撃になりかねないという警戒感がある。
アジアの新興国として目覚ましい発展をとげるインドネシア。
ここ数年6%以上の経済成長を続けている。
それをけん引しているのが世界第4位の人口2億4000万人の消費への意欲である。
去年 自動車の販売台数は100万台を突破。
日本の自動車メーカーも競って新型車を投入。
(ホンダ 伊東孝紳社長)
「市場の有望さを考えるとインドネシアは輸出拠点になりえる大事なマーケット。」
将来性豊かな市場として世界の注目を集めるインドネシア。
しかしTPPへの参加には消極的である。
背景には3年前から本格化した中国とASEANのFTA自由貿易協定の苦い経験がある。
中国製の安い製品が大量に流入し中国製品と競合する繊維業界など地場産業が大きなダメージを受けた。
職を失いかねないとして労働者も反発。
労働組合などの大規模な抗議デモが相次いだ。
国際競争力の弱さが浮き彫りとなったのである。
(インドネシア経営者協会 アントン・スピット副会長)
「当時インドネシアは中国とのFTAに加わるには準備不足だった。」
天然資源以外に柱となる産業がない経済基盤の弱さはいまも解消されていない。
内需による輸入は増える一方 輸出の主力である石炭などの資源価格が下落。
7月の貿易収支は1か月で過去最大になった。
この石炭会社は去年に比べ収益が10%ほど減っている。
(石炭会社社長)
「低コストの石炭会社しか生き残れなくなっている。
 多くの会社は減産か操業停止に追い込まれるだろう。」
ふくらみ続ける経常赤字を敬遠してインドネシアからは投資マネーが流出。
通貨ルピアはここ半年で15%以上下落した。
輸入品が値上がりし人々の暮らしを直撃している。
インドネシアで親しまれている食品テンペ。
納豆のように大豆を発酵させてつくり揚げたり炒めたりして食べる。
原料の大豆の7割ほどを輸入に頼っているため価格が高騰している。
「大豆が高くなってテンペも20%値上がりした。」
「ここのテンペは前よりも小さくなった気がする。」
中央銀行は6月から4か月連続で政策金利を引き上げることとなった。
経済成長が鈍ることになってでも通貨の下落を防ごうとしている。
投資マネーに翻弄されない競争力のある強い経済を目指すインドネシア。
政府はTPPに加われば市場の開放による地場産業への打撃や貿易赤字の拡大につながるのではと考えている。
(インドネシア バユ・クリスナムルティ商業大臣)
「インドネシアはTPPについては 現在 研究し評価を加えている。
 現状に合わせ慎重に検討しなければならない。」

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TPP参加国 ベトナムの思惑

2013-10-09 08:00:00 | 海外ネットワーク
10月6日 NHK海外ネットワーク


TPP交渉に参加している国の中で異色の存在ともいえるのがベトナム。
唯一の社会主義国で
国の豊かさを示す国民1人あたりの国内総生産も1500ドル余とほかの国々に遠く及ばない。
国有企業も多く高い関税によって国内産業を保護してきたベトナムは
なぜTPPの自由貿易圏作りに加わろうとしているのか。
ベトナムは5%を超える経済成長が続く。
平均年齢が若く今後も発展が見込まれる国である。
ベトナムは1980年代“ドイモイ”と呼ばれる改革開放路線を導入し急成長を遂げた。
しかし経済の態勢はいまも社会主義のままである。
経済の中核を担っているのは国有企業。
国有企業と民間企業は同じ条件で競わせるべきだとするTPP交渉でのアメリカの主張にも反対を続けている。
政府が積極的に情報を公開していないこともあって国民のTPPへの関心も高くはない。
「聞いたことはあるが詳しくは知らない。」
「食品の名前か何か?」
「いきなり聞かれても何も思い浮かばない。」
ベトナムがTPPに参加する狙いはどこにあるのか。
中国からの輸入はこの2年間で40%以上増えている。
ベトナムにとって中国は今や最大の貿易相手国。
ただ輸入が急増して貿易赤字が膨らみ続ければ中国経済に飲み込まれかねないという警戒感もある。
「品質は悪いし安全性も心配だけど安いので中国製品はどんどん入ってきている。」
一方 中国に対する輸出は海産物などの1次産品が中心である。
しかし衛生上の問題を中国側から指摘され一方的に輸出を止められるなど
ベトナムの業者が困惑することもしばしばあるという。
(中国との貿易を営むベトナムの会社代表)
「政策の変更で荷物が国境で止められることもある。
 貿易ではお互いの信頼関係が大切。」
経済成長がやや減速し始めたベトナム。
それだけにTPPを通してアメリカなど安定した輸出先を拡大し
中国頼みの貿易の在り方を見直したいというのが狙いである。
中国依存からの脱却に拍車をかけているのが南シナ海の島々の領有権をめぐる中国との対立である。
ハノイの歴史博物館では南沙諸島も西沙諸島も歴史的にベトナムのものだと説明する展示を行ってきた。
(グエン・ディン・チエン副館長)
「1904年の中国の地図を見ると中国の最南端は海南島だったことがわかる。
 南沙諸島と西沙諸島はもっと南にあり中国には領有権がないことを証明している。」
ベトナムでは南シナ海の海域で漁船が中国艦船から威嚇射撃を受ける例も後を絶たない。
ベトナムのTPP参加にはアメリカなどとの結びつきを強めることで中国をけん制する狙いもうかがえる。
(ベトナム ファム・チ・ラン元首相顧問)
「中国とはお互いにバランス良く発展していくことが大切。
 中国にはベトナムなど周辺国の権利を尊重してほしい。
 ベトナムが中国の隣人であるという現実は変えられないから。」


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韓国・中国 変わる墓事情

2013-10-08 07:00:04 | 海外ネットワーク
9月29日 NHK海外ネットワーク


韓国では今 場所をとらない新たな埋葬の方法が注目されている。
墓石を置かず芝生の下に遺灰をおさめた壺を埋める。
壺はトウモロコシなどの自然素材で作られていて亡くなった人は文字通り土に変えることになる。
(遺族)
「『人は土から生まれて土にかえる』という自然の理を生かすために選んだ。」
「祖父の願いだった。
 環境にやさしいのが何よりだ。」
儒教の影響もあり土葬が一般的だった韓国。
遺体を埋葬するたびに盛り土をしてきた。
場所をとるため全国にあるお墓の面積を足しあげると首都のソウルを上回る広さになる。
このままでは国中が墓だらけになってしまうと
韓国政府は法律で土葬を制限するようになった。
市民の間でも従来の土葬ではない方法を選ぶ人が増えている。

中国でもお墓を持つことが難しくなっている。
「土地は限られているし値上がりしてとても手が出ない。」
「住まいも高いがお墓はもっと高い。」
中国では産地や砂漠が多くお墓を建てるのに適した土地は国土の1割程度と限られている。
そこに都市部での人口増加やマンション開発などが拍車をかけ
この10年でお墓の価格は急騰した。
上海市では一般的なお墓ひとつあたりの値段が日本円で80万円余。
住民の平均年収のほぼ2倍にあたり簡単には手が届かない。
北京では3,000万円超の高額なお墓も登場した。
中国政府の支持を受けて全国の業者を指導している団体 中国埋葬協会も
土地が不足していることに危機感を募らせている。
(中国埋葬協会 副会長)
「中国では1年に900万人が亡くなっている。
 全員分の墓を用意したら大変なことになる。」
上海市の周祥瑶さん(67)は去年 妻の父親の遺骨を納めた。
「お義父さん
 この場所は気に入ってくれましたか。」
今回一般のお墓より格段に安い約1万5千円で埋葬する権利を購入した。
与えられたのは花壇の下のわずか30センチの区画。
義父は5年前に亡くなったが年金生活の周さんはお墓を買うことができずこれまで遺骨を火葬場に預けたままだったのである。
(周祥瑶さん)
「生前 義父は『骨は捨ててくれ』と言っていたがそんなことできるはずがない。
 どうしても埋葬してあげたかった。」
同じ花壇の下には他に6つの家族の遺骨が納められている。
埋葬の権利はいずれも期限付きで10年経つと他の家族に明け渡さなくてはならない。
お墓の問題は中国政府も真剣にとらえている。
3年ほど前から場所をとらない海への散骨“海葬”を国民に呼びかけている。
(遺族)
「きれいな海が大好きだった母の遺言なんです。」
大連市で行われた海への散骨合同海葬式には100人近くが参加した。
船代など散骨にかかる費用約1万9千円は地方政府が負担する。
遺骨は水に溶けやすい容器に入れて海に流す。
(遺族)
「亡くなった姉夫婦を思い出した。
 今度来たときは海に花を供える。」
海葬を奨励しようと一昨年 上海市には記念館まで建てられた。
館内では海葬の手順や散骨する場所などが紹介されている。
周恩来元首相などかつての指導者たちも海葬だったことを強調している。
(遺族)
「周恩来元首相や小平氏も海葬だった。
 国の言うことには従う。」
上海市は去年 遺族への奨励金をそれまでの5倍の約3万2千円に増やした。
海葬にかかる経費の他見舞金も含まれている。
中国で広まりつつある海葬。
しかしやはりお墓がないと寂しいという人たちに向けたサービスも始まった。
インターネット上のお墓参りである。
利用者は事前に購入したポイントで花を買ってお供えをすることができる。
故人が好きだった食べ物や趣味の車もお供えできる。
さらに自分の代わりにお墓参りをする人までも。
サービス開始から10か月ですでに20万人が利用している。
年間300円程度の料金で維持できることもあり今後利用者の増加が見込まれている。

日本 韓国 中国。
昔も今も亡くなった人をしのぶ気持ちに変わりはないがお墓や葬儀の形は様変わりしつつある。




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孤高の暖簾

2013-10-07 19:00:00 | 編集手帳
10月1日 編集手帳

女主人公・多加たかが言う。
「商人あきんどいうもんはどない大きな肚はら持ってても、
 算そろ 盤珠弾ばんだまはじく時だけは細こまこう汚きたのう弾くもんだす」。
山崎豊子さんの直木賞受賞作『花のれん』にある。

『白い巨塔』『華麗なる一族』など後年の代表作を読んだ目には、
主人公の口を借りて創作の秘密を語っているようにも映る。
戦後日本の“暗部”を丸ごと作品に取り込む大きな「肚」と、
物語の面白さを細かく弾いた「算盤」と――
どちらが欠けても山崎文学の魅力は語れまい。

詩人のオスカー・ワイルドは語ったという。
〈現実が芸術を模倣する〉。

戦闘機の機種選定を巡る政界と商社の癒着を描いた『不毛地帯』を連載中にロッキード疑惑が浮上するなど、
ワイルドの言葉そのままの先見性に満ちた作品群を残した。
夢中でページをめくらせた財前五郎教授や万俵まんぴょう大介頭取が咲かせる“悪の華”の、なんと妖しかったことか…。
山崎さんが88歳で亡くなった。

かつて山崎さんが書いた色紙に〈暖簾のれんは商人の命〉とある。
作家にとっても命であったろう。
誰の真似まねではなく、
誰にも真似できない孤高の暖簾を、
細腕で守り抜いた人である。
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“攻めの農業”コスト削減でコメの競争力向上

2013-10-07 07:05:27 | ビズ プラス
9月29日 BIZ+SUNDAY


米の生産コストを徹底的に抑え競争力を高めてきた農業生産法人がある。
従業員100人 年商10億円の西部開発農産である。
地元有数の会社に育て上げた会長の照井耕一さん。
耕作放棄地を積極的に買い上げコメの作付面積を拡大してきた。
その広さは205ヘクタール。
東京ドーム44個分。
東北では最大規模を誇る。
照井さんは耕作放棄地を減らすことで地域の農業と雇用の場を守りたいと考えている。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「受け入れる人もいない。
 全部うちの会社が引き受けている。
 この辺一帯はすべてうちの会社でやっている。」
照井さんは規模の拡大によって生産コストの大幅な削減に成功。
米60キロあたりにかかるコストは全国平均1万6000円に対して9552円。
約60%にまで抑えている。
今年 照井さんは新たなコスト削減策に取り組んでいる。
稲の直まき栽培である。
直まき栽培では田植えの前に苗を育てた水田を整備したりする必要がない。
専用の機会もアメリカから輸入し作業時間を短縮。
生産コス全体の15%の削減を見込んでいる。
しかしTPP交渉の結果 
仮により安い輸入米が入ってくれば効率化が追い付かず大きな影響を受けるのではと懸念している。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「やはりTPPは怖い。
 外国から入ってくる価格は5000円前後。
 そうなると3000円の差がある。
 仮に8000円でできたとしてもうちらは原価なので
 それの上積み 1000円2000円ないとやっていけない。
 経営は。」
会社を成長させるには製造業と同じように海外進出が欠かせない。
照井さんは今年ベトナムで日本の米の試験栽培に乗り出した。
照井さんが海外進出の舞台に選んだベトナムは
米の二期作三期作が可能で多くの収量が見込める。
照井さんの試算では米60キロ当たりの生産コストは4200円まで下げられると言う。
その上で目指すのはアジア各地への輸出である。
ASEAN東南アジア諸国連合では自由貿易協定が結ばれている。
ベトナムから富裕層が多いシンガポールやタイへコメを関税なしで輸出する戦略である。
さらにTPP交渉の結果次第ではアメリカやオーストラリアへ輸出していく構想である。
9月上旬 照井さんは栽培現場の視察に訪れた。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「TPPは基本的には反対。
 世の中がそういう情勢であれば避けて通れない。
 そうなったときに海外で食糧を生産する。
 会社として生きる道の一つの戦略にしたい。」
照井さんは現在首都ハノイ近郊の4軒の農家と契約している。
ひとめぼれやあきたこまちを栽培し米の生育具合を確認している。
「日本米は成長が早く作りやすい。」
この日 照井さんは稲の異変に気がついた。
黒くなっている部分には実が付いていない。
高温のもとでスコールが降ったため一部で受粉ができていなかったのである。
今後 日本の農業試験場で対策を検討することにした。
(西部開発農産 照井耕一会長)
「リスクがあるからこそやりがいがある。
 経営というのはどこかで求めなきゃとか何かをするとか
 そういうものを考えないとやっていけない。」
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“攻めの農業”外食産業との連携で全国ブランドへ

2013-10-06 07:00:00 | ビズ プラス
9月29日 BIZ+SUNDAY


宮崎県日南市で外食産業との連携を強化して収入を伸ばしている生産者がいる。
養鶏農家の湯浅勝明さん。
この5年間で収入は4倍になった。
(養鶏農家 湯浅勝明さん)
「かなり利益も確実に乗ってくるので楽しい。
 これ以上楽しい仕事はない。」
湯浅さんが飼育しているのは宮崎のブランド地鶏 みやざき地頭鶏(じとっこ)。
歯ごたえのある肉質が特徴で県が長年改良を重ね15年前に商品化。
しかし当初は知名度が低く売り上げは伸び悩んでいた。
(養鶏農家 湯浅勝明さん)
「最初の5年はまったく知名度がなくて
 おいしいのはわかっていたが全く売れていない状態。」
この地鶏の知名度を一気に引き上げたのが東京に本社を構える居酒屋チェーンである。
社長の米山久さんは現在140店舗を経営している。
9年前 米山さんが居酒屋の出店を計画していた時に出会ったのが宮崎の養鶏農家だった。
(エー・ピーカンパニー)
「良いものだけどブランドの認知度が低いのでクリエイティブな表現をしましょう。
 提案を生産者に直接する。
 生産者と一緒に作り上げていく。」
米山さんが経営する居酒屋は養鶏農家から直接仕入れることで地鶏を割安な価格で提供。
郷土料理である炭火焼で売り出したところ人気を集め居酒屋チェーン拡大の原動力となった。
その結果 みやざき地頭鶏は全国でも知られるブランド地鶏に育った。
さらに米山さんは供給体制も整えた。
居酒屋チェーンの拡大に伴い地鶏の生産は当初の3倍に増加した。
米山さんの会社では8千万円投資して養鶏農家にヒナを供給する施設を建設。
さらに今年は大型の食肉加工場も整備した。
湯浅さんの飼育数も4倍に急増。
来年も規模を拡大していく計画である。
(養鶏農家 湯浅勝明さん)
「外食産業を組むことによって
 市場というか一人一人のお客さんに
 一人でも多くの人に食べてもらう組織力。
 その広がりにはびっくりしている。」

米山さんの会社がいま力を入れているのが新たな農産物のブランド化である。
地方に埋もれた魅力的な食材を発掘し付加価値を付けて売り出す。
この日 商品開発の担当者が向かったのは宮崎県内のしいたけ農家。
この農家は通常より長い生育期間をかけ肉厚なしいたけを作っている。
担当者はこのしいたけの特徴を生かした新たなメニューを提案した。
「ここを切ってつくねを詰めて揚げて“しいたけ南蛮”にする。
 すごく試食会で好評。」
(しいたけ農家 大杉博文さん)
「現場を見てもらって作り手の話を十分に聞いて理解してもらって
 ありがたいと思う。」
米山さんの会社は東証一部上場を果たした。
企業規模の拡大が農家の収入増加にもつながるこのビジネスモデルでさらに成長したいという考えである。
(エー・ピーカンパニー 米山久社長)
「まだ全国には埋もれてる商材 我々を必要としている生産者がいる。
 そこを発掘 ブランディングしていって
 生産者の地位向上 地域活性化
 今までにない形を実現していきたい。」


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同期入行組

2013-10-05 08:00:00 | 編集手帳
9月29日 編集手帳

銀行員「半沢直樹」を主人公とする池井戸潤さんの小説は2冊がテレビドラマの原作になった。
先週で終わった話の続きが知りたくて3冊目の「ロスジェネの逆襲」(ダイヤモンド社)を読んでいる。

ドラマで主人公を窮地から救おうと、
時に自分の立場をかえりみずに奔走した同期入行組が、
この本にも登場する。
組織の中で上司と部下とが縦の関係なら、
同期は横の関係だ。

日露戦争中に生まれた唱歌「戦友」(真下飛泉作詞)に一節がある。
〈軍律きびしい中なれどこれが見捨てて置かりょうか〉。
戦場で倒れた友に、
軍律に反しても駆け寄る兵士の心情が歌われた。

河原宏著「日本人の『戦争』」(講談社学術文庫)はこの詞をひいていう。
「友を逝かせて己一人、
 退却し、
 降伏できないというヨコの友情関係」に日本軍の強さの源泉があった、と。
半沢直樹のドラマは日本人の伝統的心情を刺激したのかもしれない。

現実の同期の顔を頭に浮かべて、
そこまでは…と思った向きもあろうが、
上司のお供や部下へのおごりと違い、
打算抜きで飲めるのが同期であるのは疑いない。
秋の夜に一献傾けたくなった。
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“攻めの農業”顧客ニーズを発掘

2013-10-05 07:05:03 | ビズ プラス
9月29日 BIZ+SUNDAY


長野県御代田町に独自経営で売り上げを伸ばし全国の生産者から注目を集めている農業生産法人がある。
年商11億円を稼ぐトップリバー。
社長の嶋崎秀樹さんは脱サラ後13年前にこの会社を立ち上げた。
かつて大手菓子メーカーで営業をしていた嶋崎さん。
義理の父の手伝いで農業の世界に入った。
当時 農産物を売るという感覚に乏しい農業の現状に驚いたと言う。
(トップリバー 嶋崎秀樹社長)
「他の豪種では必ず営業がいる。
 営業のいない会社は無い。
 農業だけはいなかった。
 人材を育成しないと困るのではないか。」
会社設立とともに嶋崎さんが立ち上げたのが営業部。
6人の担当者が顧客の新規開拓からアフターサービスまで一手に担っている。
従来の生産者は農産物を主に農協に任せて顧客に販売してきた。
一方嶋崎さんの会社では営業担当者が顧客の外食産業やスーパーに出向いて直接契約。
安定的に供給する仕組みである。
取引先は70社に増えた。
営業担当の飯島毅さんがこの日向かったのは餃子のチェーン店。
年間約5トンのキャベツをおさめている。
仕入れ責任者が定期的に訪問して細かなニーズを探る。。
(餃子チェーン副社長)
「外葉が1枚2枚ついていた方が良い」
暑い季節はちょっとしたキズがあっても傷みやすいため
クッションの役割として外側の葉を残してほしいという要望だった。
飯島さんは取引先の声をすぐ生産現場に伝えた。
この日 大口の取引先である大手ファミリーレストランから新たな要望が寄せられた。
レタスはこれまでより柔らかい食感のものを供給してほしいと言うのである。
飯島さんは早速現場と相談。
その結果これまでより4日ほど早く収穫することにした。
現場にやってきたファミリーレストランの担当者。
要望通りのレタスになっているか確認した。
葉が薄くて柔らかい注文通りのレタスだった。
(サイゼリヤ 競売部 正垣将広青果担当部長)
「我々が欲しいレタスを理解してもらい
 それに向けて品種を選んだり造り方を変えてもらったり
 柔軟に前向きに対応してくれている。」
(トップリバー 営業部 飯島毅士さん)
「対面で話さないとわからないところもありますから
 まずそこから始めるのが重要。」
一方 大口顧客との直接取引には課題もある。
9月中旬台風18号が会社の畑を直撃。
収穫間近だったレタスが壊滅的な打撃を受け500万円の損害が出た。
社長の島崎さんは市場の3倍の価格でレタスをかき集めなんとか顧客に納めた。
いま嶋崎さんはこうしたリスクを減らそうと農地の分散化を図っている。
10月からは静岡県磐田市にも新たな農地を借りるなど安定供給きぃおう球につなげようとしている。
(トップリバー 嶋崎秀樹社長)
「お客さんが欲しいものを探して来たり
 毎日毎日のことだから調整する。
 そういうこと。
 その時代にあった時代に対応できる農業が生き残る。」
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真珠層の贈り物

2013-10-04 08:00:00 | 編集手帳
9月28日 編集手帳

真珠は痛める貝に宿るという。
身の内に入り込んだ小石などの異物に刺激を受け、
それを核にして貝は真珠をつくる。

肉に食い込む異物が痛くて、
少しでもやわらげたくて、
貝はあのなめらかな真珠質の膜で異物を覆うのか…と、
しろうと考えに想像するときがある。

人も同じだろう。
誰しも何かしらは災難や不幸の「異物」を胸に抱いている。
かけられた優しい言葉だったり、
友と交わすたわいない冗談だったり、
幼いわが子のカタコトだったり――
異物を覆う膜の一つひとつはどれもささやかなものだとしても、
それがあるから人はきょうを生きられる。

〈絹の上に一れんの真珠を置くなればもろもろの死の重きゆふぐれ〉(葛原妙子)。
重い「もろもろの死」を体験し、
いまも苦難の途上にある被災地の人々にとって、
プロ野球パ・リーグの楽天優勝はとりわけなめらかな真珠層の贈り物に違いない。

真珠は古い呼び名を「白しら 玉たま」という。
“白玉の歯にしみとほる”季節でもある。
今宵こよいは両腕を天に突き上げたマー君の残像を飛び切りの肴さかなにして、
目の高さに盃さかずきを掲げるとしよう。
東北のうまい地酒で満たし。
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